知らなきゃ損!小規模宅地特例で相続税がこんなに減る!

最近の相続事情
近年の地価上昇や不動産価格の高騰・日経平均株価の上昇を背景に、個人が保有する財産の価値が高まっており、相続財産の中で不動産・有価証券が占める割合が増えています。このため相続財産額が基礎控除内で収まらず相 続税の負担増加が問題となっています。
国税庁が公表している「報道発表資料 令和5年分 相続税の申告実績の概要」によると、課税対 象になる被相続人は、死亡者数1,576,016人の内、9.9%にあたる155,740人、10人のうち1人 が相続税の対象になっています。
相続財産の金額の構成で一番多いのは「現金・預貯金」で、全体の35.1%を占め、次に土地31.5%、 有価証券17.1%、家屋5.0%と続きます。以下では、相続財産の土地の評価額を下げる特例を紹 介します。
『小規模宅地特例』ってなに?
『小規模宅地特例』という言葉を聞いたことがありますか?正確には、「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」という名称です。
被相続人の自宅や事業に使用していた宅地等の財産は、通常の取引価額を基準に計算した評価額をそのまま相続税の計算に適用すると相続税が高額になり、相続人は、納税資金を確保するために自宅や事業用の不動産を売却しなければ相続税を支払えなくなることも考えられます。
そこで一定の要件を満たした宅地等については、限度面積まで80%又は50%引きの評価額で相続税を計算することができる特例です。相続税の負担を軽減することで、配偶者や残された家族がその家に住み続け、また事業を継続できるように創設された制度です。
対象になる土地の種類
小規模宅地等の特例の対象となる宅地等は大きく分けて、被相続人が相続開始直前の利用区分に応じて以下の4つに分類されます。小規模宅地等の特例は、あくまでも相続税の納税のために事業用や居住用の土地を手放すような事態を防ぐための制度なので、大きな面積の土地までは税制面で援助する必要はないという考え方のもと、特例を適用できる面積の上限と減額割合が宅地の利用区分に応じて下記のように定められています。たとえば、居住用の土地なら 330 ㎡まで80%減額できます。
特定居住用宅地等:被相続人の自宅として使っていた宅地等に対する特例
特定事業用宅地等:被相続人の個人事業(貸付用を除く)として使っていた宅地等に対する特例
特定同族会社事業用宅地等:被相続人の会社(同族会社)として使っていた宅地等に対する特例
貸付事業用宅地等:被相続人が貸地又は貸家など貸付用としていた宅地等に対する特例

上記表記載の限度面積を超えた分については、小規模宅地等の特例による減額は適用されません。
相続する宅地が複数あり限度面積を超える場合は、なるべく1㎡単価の高い宅地から適用を受けるとよりお得な特例の恩恵が受けることができます。
特例の対象宅地が複数ある場合、居住用の宅地と事業用の宅地はそのまま併用が可能です。あわせて730㎡まで80%減額できるのです。一方で、賃貸不動産の敷地は他の宅地とそのまま併用できず限度面積の計算を行う必要があります。
特例を使うことができるのは?[特定居住用宅地等のケース]
今回は、被相続人が居住用として使用していた宅地を相続や遺贈で取得した場合についてご説明します。以下の適用対象者が、要件を全て満たすことで特例を使うことが出来ます。
①配偶者 ②同居親族 ③別居親族(いわゆる家なき子)です。
この特例を適用するための要件はとても重要で対象者によって要件も変わりますので、しっかりと確認しておくことがポイントになります。

特例を適用した場合の土地の評価額がどう変わる?
下記表で3つの例を示します。
① 土地の面積が330㎡以下場合
② 土地の面積が330㎡超の場合
③土地の面積が330㎡超の一つの土地を2人で相続する場合

➢この特例を適用した場合の相続税額の減額例

相続税額が、なんと約1/10になりました。土地の評価額が大幅に下がるので、相続税の負担も顕著に軽減されます。特に都市部の高価格宅地ほど、節税効果が大きくなります。これほど、相続税を減らすことのできる特例ですが利用する際に留意する点がいくつかあります。

➢特例を利用する際に気を付けておくポイント
① 相続発生時に被相続人が、老人ホームに入居していた場合は、以下の要件を満たしていれば、この特例を使うことが出来ます。
・亡くなる時点で要介護認定や要支援認定、障害支援区分の認定を受けていること(有効期限が切れていないことに注意)
・入居している老人ホームが「老人福祉法等に法令の規程に基づく施設」であること
・被相続人が上記の施設に入所後、その宅地等が事業用又は新たに被相続人等以外の人の居住用になっていないこと
② 親子で2世帯住宅に住んでいた場合、建物が共有登記であること。区分所有登記だと同居しているとはみなされず特例を使えません。
③ 生前に相続時課税精算制度を利用して、この土地を贈与されていた場合は使えません。
④ 小規模宅地等の特例は、宅地等の取得者が決まっていないと適用をすることができません。
遺言によって宅地等の取得者が決まっていれば、問題ありませんが、遺言がない場合には、遺産分割協議によって財産の取得者を決める必要があります。遺産分割がまとまらない場合、とりあえず申告期限内に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付して申告し、3年以内に分割できたときにこの特例を適用することができます。
⑤ 分譲マンションでも所有する土地部分には特例を使用することができます。ただし、分譲マンションの場合は、マンション全体の土地を所有者全員で分けて所有しているので該当する土地の大きさもその分小さくなります。そのため、戸建てに比べれば、相続税評価額に適用される金額の恩恵は小さくなると考えられます。

いくつかのポイントを記載しました。この特例の要件は非常に細かく決められていて複雑な上に多くの提出書類が必要です。また、小規模宅地等の特例の要件は亡くなると亡くなったの状況で判断します。更にその要件はたびたび税制改正されており特例が適用されないこともあるので、早めに将来の相続のことを考えて、現在の状況で小規模宅地等の特例を受けられるのか、または特例を受けられるようにするためにはどのような方法があるのか相続に詳しい税理士に早めに相談してみることをおすすめします。

➢まずは、相続財産を確認することから始めましょう!
まずは、相続財産に土地が含まれているならば、被相続人の居住している土地の評価額を含めた全体の財産額を確認しましょう。そもそも財産額が基礎控除額を下回る場合は、相続税がかからないので、特例を受ける必要はありません。基礎控除額を超えそうならば、このブログを参考にされてご準備ください。この相続税優遇特例=「小規模宅地等の特例」を使って相続税がゼロになった場合でも相続税を申告する必要があります。

2025年10月 CFP 石黒貴子

【参考サイト】
・相続税を計算するための土地の評価方法・・・No.4602 土地家屋の評価|国税庁
・相財産を相続した場合の税金の計算と相続税の速算表・・・財産を相続したとき|国税庁

『年収の壁』何がどう変わったのか 

「年収の壁」とは数年前から耳にする言葉だが、最近では昨年の衆議院選挙で国民民主党が「手取りを増やす」を選挙スローガンとして103万円の壁を取り上げたことで、皆さんの記憶にも残っていることと思う。
このブログでも2023年10月に「『年収の壁』について考える」と題して掲載したが、その後制度変更もあったので、改めて「年収の壁」について説明しよう。
年収の壁は複雑だが、ここでは極力簡潔に、分かりやすい説明とした。
年収の壁についての説明として、つぎの4点にまとめた。
1)年収の壁は一つではない。(分け方によるが7種類以上ある)
2)年収の壁は、「税金の壁」と「社会保険の壁」の大きく分けて二つある。
3)今年の税制改正で変更になったのは「税金の壁」
4)一番大きな壁は「130万円の壁」
それぞれについて説明を行おう。
1)年収の壁は一つではない
まず年収の壁とは何かということをおさらいすると、参考資料2によれば:
「手取り収入が減らないように年収を抑えようと意識する金額のボーダー
ライン」と説明されている。
ただ年収の壁と一言で言っても、壁は一つではない。下図は厚生労働省の資料(参考資料1)だが、これを見ると7種類もの壁があることが分かる。

この厚生労働省の資料は、年収の壁を3つに分類している。すなわち;
A.税金に関わる壁
B.社会保険に関わる壁
C.配偶者手当に関わる壁
  である。本ブログでは、3つのうち税金の壁と社会保険の壁の2つを
取り上げる。
2)年収の壁は、「税金の壁」と「社会保険の壁」の大きく分けて二つある
 年収が増えて、ある一定の額になると、それまで負担しなかった税金や
社会保険料が掛かかり手取り収入が減少する。そこで、働く人が手取り
収入が減らないように年収を抑えようと意識する金額が年収の壁であった。
① 税金の壁
 収入が増えて初めて税金が掛かるのは、実は住民税(所得割)だ。
給与所得者にとって住民税が掛かるボーダーラインの収入は100万円である。
(住んでいる地域により多少異なる)《税制改正前の額》
住民税を計算する際に必要経費として、課税限度額(45万円)と給与所得控除
(55万円)の合計額である100万円までは、住民税は掛からない。
言い換えれば、100万円を超える収入には住民税が掛かってくる。

収入が増えて次に税金として掛かるのは所得税だ。所得税も住民税と同様に
一定の収入までは掛からない。

所得税の場合の必要経費(控除額)は、基礎控除(48万円)と
給与所得控除(35万円)の合計の103万円である。《税制改正前の金額》
つまり103万円までの収入には所得税は掛からない。裏を返せば
103万円を超えると所得税が掛かるところから、『103万円の壁』
と呼ばれていた。
② 社会保険の壁
 103万円から、さらに収入が増えて106万円以上となると働いている
会社の規模等により社会保険が掛かかってくる。
パートで働く主婦やアルバイトの学生では、106万円以下の収入であれば
ご主人や親の扶養内であり、自ら社会保険を負担しなくとも良かったものが
106万円以上の収入となると自分で負担することとなる。
 実は、この社会保険料の負担が税金の負担に比べて、格段に多い。
これも厚生労働省の資料からの引用だが、およそ15%手取りが減少する
試算が示されている。(参考資料2より)

所得税で比較してみると、収入が103万円から106万円に増えても1500円
程度しか増えないが、社会保険料は一気に収入の15%減少してしまう。
もちろん社会保険料を納めることで、将来の年金が増えるとか、怪我や病気
をした際に傷病手当金をもらえるなどのメリットはある。
だがパートで働く主婦やアルバイトの学生にとっては、このメリットよりも
目先の手取り額が優先される結果、働きびかえが起きることになる。
3)今年の税制改革で変更になったのは「税金の壁」
 昨年の衆議院議員選挙の際に国民民主党が『手取りを増やす』を
スローガンに掲げて、大幅に当選議員を増やした。
過半数割れをした政府与党(自民党・公明党)は単独で予算を国会で通すことが
出来ず、野党である国民民主党の意見を取り入れざるを得なくなった。
国民民主党の要求は、103万円から178万円へ大幅に壁を引き上げるもの
だったが、結果的に収入額により減税額が異なるものとなった。
年収200万円の方については、160万円の壁に変わった結果となった。
(資料4)
ちなみに、住民税については10万円引き上げられて110万円が課税最低収入
となった。

税金面では所得税・住民税の他に、特定親族特別控除の新設などの
目に見える変化が見られた。
一方、社会保険の壁は、従来の補助制度(資料3)はあるものの、今回制度が
変わる変更はなかった。これは社会保険料は年金制度に関わる事項でもある
ので、安易に変更できないものであると推測する。
今後、年金制度改正の場で議論されるものと思われる。
4)一番大きな壁は『130万円の壁』
 前項で106万円が社会保険の壁だと説明した。106万円の壁ついては、
106万円を超えるとすべての人が社会保険料を負担する訳では無い。
詳細は参考資料2を参考にしていただきたいが、勤めている会社の規模や
週に働く時間によって負担するか否かが決まる。
 ところが年収が130万円を超えると、すべての人が社会保険を支払う義務が生じることとなる。
また各種扶養手当などが、年収130万円を境として適用するか否かの境界と
なるので、一番大きな壁は『130万円の壁』と言えるのではないだろうか。
これまで説明してきた内容を、まとめると;
 1.「年収の壁」とは、年収が一定の額を超えると税金や社会保険料の負担 
   が始まり、パートで働く主婦やアルバイトをする学生などが一定の
年収の額を超えないように、働く時間を調整すること。
年収の壁を意識して、働きびかえによる労働力不足が問題化している。
   2.「年収の壁」は100万円(昨年までの値)から掛かり始める住民税
  (所得割)、103万円(昨年までの値)から掛かる所得税があるが、
   手取り額に一番影響するのは年収106万円を超えると掛かる
社会保険料である。
   3.2025年税制改正で、住民税・所得税などは一定の引き上げが行われた
     が、社会保険の「106万円の壁」は抜本的な改正は行われていない。

  今後、最低賃金額の引き上げや社会保険について改正が行われた際には、
  年収の壁に大きく影響するので、随時ブログで説明して行きたい。

                          CFP 前川敏郎

   《参考資料》
 1.『年収の壁について知ろう』 厚生労働省
 2.「年収の壁」対策がスタート!
   パートやアルバイトはどうなる? 政府広報オンライン
 3.年収の壁・支援強化パッケージ  厚生労働省ホームページ
 4.令和7年度税制改正大綱 (自由民主党・公明党)

金融資産の終活はどうするのが良いか

 老後資金の運用や取り崩し戦略について考えるとき大切なのは「いかに資産寿命を長くするか」ということになる。長生きリスクやインフレリスクが高まっている中で寿命が来る前に資産寿命が尽きるリスクも高まってきている。
 老後資金の運用・取り崩し方で「65~70歳くらいからは投資をせず現金化して取り崩してゆく」というイメージを抱く人が多いようだが、これは勧められる戦略ではないと思う。この方法では資金を眠らせておくことになり、インフレによってその価値が目減りしてしまうことになる。では、どうすればよいのだろうか?
 「投資は生涯にわたって継続する」
 資産寿命を延ばすには、保有している投資信託等を全部売却しないで、運用を継続し生涯にわたって投資・運用を継続してゆく必要がある。この意味で改正された新NISAは非課税期間が無期限となり「生涯投資をサポートしてくれる制度になった」ので、新NISAを賢くフルに活用することで資産寿命を延ばしてゆきたい。そして大部分のNISAは投資信託を使った積み立て投資で行われていると考えられるのでこのブログではその前提で取り崩し戦略を考えたい。
 「どう取り崩してゆくのがよいか」
それは「一気に売却するのではなく、必要な分だけ取り崩す」こと。こうすることで残りの資産から資産所得が引き続き得られることになる。また、取り崩しの開始時期は多くの場合65~70歳前後の家計の収支がマイナスになる時期が適していると思われる。
定期的な取り崩し法は3つ
1、 定額解約:一定期間ごとに一定の金額で解約してゆく方法
  例、毎月5万円、毎年120万円 等
2、定率解約:一定期間ごとに保有資産残高の一定割合で解約してゆく方法
  例、毎年残高の3%、5%  等
3、定口数解約:一定期間ごとに一定の工数を解約してゆく方法
  例、毎月1万口、毎年10万口  等
定額解約は取り崩し額が常に一定なので分かりやすく計画を立てやすいというメリットがある。定率解約は一定期間ごとに保有資産残高の何%かを解約してゆくので、保有資産残高が減ってゆくのに合わせて取り崩し額も減ってゆく。このメリットのため資産寿命を延ばす効果が出る。しかし、受け取る金額が変動するため家計の管理がしづらい、基本的に保有資産残高が減ってゆくので、取り崩し金額も減ってゆき家計は苦しくなってゆく点はデメリットといえる。
3番目の定口数解約は「保有する100万口を10年間毎年1回の均等割りで解約して終了」というようにいつまでに使い切るというイメージを固めておきたい人に向いている。
ではどの方法が良いのか?
 多くの金融機関や専門家が過去の株価指数などのインデックスを基にシミュレーションしたところ、「一定期間経過後の取り崩し総額+資産残高」で優位になった順番は①定率②定額③定口数となったということです。定率解約は相場上昇時に多くの金額、下落時に少ない金額を取り崩すので投資効率が高くなる傾向があり、その特徴が優位になったと思われます。しかし、家計の管理・計画をする際には「金額が一定である」ほうが分かりやすく安心感もあります。また、株式を中心とするポートフォリオであれば中長期的に資産は成長してゆく可能性が高く、定額解約でも資産寿命を延ばす効果は期待できます。こうなると定額解約はベストではないがよりベターな選択になるのではないかと思われます。
                          CFP 重田 勉

迷惑メールとフィッシング詐欺

 みなさまは最近迷惑メールが増えたなって感じていませんか?
私のところにも過去から迷惑メールはありましたが、最近急に多くなりました。
その都度、迷惑メールに対しては、同じアドレスからのものは自動的に次回から迷惑メールフォルダーに 振分けられるよう設定しているのですが、アドレスの一部だけをランダムな文字列などにして この設定をしてもすり抜けて届くメールが多かったです。
迷惑メールのアドレスをみると最後が「.cn」で中国からのメールアドレスから配信されているようで、 この「.cn」で終わるメールアドレスは、自動的に迷惑メールフォルダーに振り分けられるようにしたいと思っていいましたが、
いろいろ検索してみて、そのような設定が出来ることがわかったので紹介します。

 私が使用しているメールソフトはMicrosoft Outlookです。
その他のメールソフトを使用している人は、別な方法になるかと思いますが
たぶん、同様な設定が可能だと思います。
以下の文章は、Microsoft Outlookを前提にした迷惑メールへの対応です。
Microsoft Outlookはメールソフトの中でも一番シェアが高いと思われるで、
この記事を見ている人の中にも使用している人も多いのではないでしょうか。

 最近、多くなった本来の会社を装った、明らかに迷惑メールでフィッシング詐欺に
とわかるものは、次回から受信フォルダーに入らずに迷惑メールフォルダーに入るように、 下記のように迷惑メールリストに登録してました。
➀メールタイトルを右クリックして、そこから迷惑メールを選び、受信拒否リストに追加
②選択項目から迷惑メールをクリック
➂出てきた対応方法から受信拒否リストを選ぶ

でも、この方法だとアドレスの一部をランダムに変えた下記のようなメールが多いと、毎回処理するのが大変です。

そこで、このアドレスの最後が「.cn」で終わるメールは中国発のメールなので、最後の文字が「.cn」で終わるものを自動的に 迷惑メールフォルダに入れることが出来ないかと方法を探してみたら下記の方法が見つかりました。
ただ、この方法は中国のサイトからネット通販などでお買い物をしている人には、正規のメールも迷惑メールに入ってしますので お勧め出来ません。


「.cn」で終わるメールを迷惑フォルダーに自動的に振り分ける方法

1.[ホーム]タブの[削除]グループの[迷惑メール]をクリックして[迷惑メールのオプション]をクリックします。

2.[迷惑メールオプション]ダイアログボックスの[インターナショナル]タブを開き、 [ブロックするトップレベルドメインリスト]ボタンをクリックします。

3.ブロックする国のトップレベルドメイン(この場合はCN)にチェックを入れて[OK]ボタンをクリックします。

最近は、証券会社を装って、早く二重認証を設定しないと・・
というメールも多いので、メール本文にあるリンク先は絶対にクリックしないようにしましょう!

CFP 磯野 正美


令和7年年頭所感

 皆様本年もどうぞ宜しくお願いします。
 さて、このごろ喧しい話題がいわゆる年収103万円の壁問題です。
年初こそ少し静かになりましたが、昨年末は次年度税制大綱の決定までいろいろな報道がされていました。
 そもそも年収103万円(月額約86千円)を超えないように働いている人(主に世帯主に扶養されている主婦やアルバイトの学生等)は約100万人以下と推測されています。それでも有権者としての勢力では侮れないようです。
 今後年度末に向けて政府・自民党・公明党と国民民主党との駆け引きが続くのでしょうが、年末に自民党が決めた税制大綱では123万円と20万円の増加案を中心に議論が進むと思われます。国民民主党の主張する173万円への引き上げは税収減が大きすぎ実現は難しいと推測されます。
 いずれにしても今回の年収103万円の壁問題は私たちに良い教訓を示してくれたと思います。いかに過去30年間デフレ等の問題があったとしても、約30年間所得税の基礎控除と給与所得控除が一定のままであったことは政府・政党・国民の怠慢であったと言わざるを得ないと思うのです。この間国民民主党の言うように最低賃金は
1.7 倍になったのですから。欧米諸国では毎年のように基礎控除や給与所得控除の額が検討・変更されているのです。ですから一気に1.7倍ということではなく数年かけて引き揚げてゆくというような妥当な出口に向かうことを期待しております。
 読書感想
 最近読んだ本で紹介したい本があります。スコット・ギャロウェイ著「THE ALGEBRA OF WEALTH」(邦訳名、一生お金を吸い寄せる富の方程式)ダイヤモンド社刊、2024年12月初版刊行。ALGEBRAとは一般的には代数学と訳されることが多いようですが本書では方程式と訳しているようです。著者のスコット・ギャロウェイ氏はニュウヨーク大学スターン経営大学院教授で過去には「THE FOUR GAGA](4騎士が創り変えた世界)が日本でも15万部のベストセラーとなったことでも知られている。
 本書の主な主張は以下の方程式に表されている。
 富=フオーカス+(ストイシズム×時間×分散投資)
これを分かりやすく言い換えると
「富=仕事に集中して収入を高める+無駄遣いしない節度ある生活×複利の力を生かした長期的な投資×分散投資でリスクを減らす」となる。
本書では富とは経済的自立という目的を実現する手段と規定し、経済的な不安がないことが富だとしている。
 この方程式は考えてみればごくごく当然のことを言っているように見える。FPの方やファイナンスについて関心がある人ならば後半の複利の力を生かした長期的な投資や分散投資でリスクを減らすという語句は腹に落ちやすいのではないか。
 その他、長期投資のベンチマーク(指標銘柄)としてはS&P500が良く、その水準は8%だともいう。それは過去20年間のS&P500の平均リターンが8%であるからだと主張する。だが、これはアメリカの話であって日本特に私にとっての目指すべき平均リターンは4~5%程度ではないかと感じる。
 また、この様な本ではあまり触れることが少ない利益が出ている場合の対処法も示している。これは一言で言うなら「積極的に利益を確定しよう」となる。利益が出たらその一定部分を換金して、他の資産に分散投資することを勧めている。
 よく聞く話が、今この銘柄がいくら儲かっている、いた、というももの。評価益のままではいつなくなってしまうかもしれない。実現益にしてこそ利益確定したことになる。この部分は私のかねてからの思いと合致するものがあると感じました。                            

以上
CFP 重田 勉


イチオシ! エンディングノート

    ~法的に価値はないが自由度抜群で書きやすいし、さらに・・・~
「エンディングノート」は「終活」のひとつのアイテムと言われています。
昨今、世界中で政治、経済に波乱が起き、戦争も続いています。さらに、今夏はいつもと違う予測不能な台風も出現しました。また、突然に友人が大病を患ったなどの連絡がありませんでしたか? 日々、うっすらと不安を感じて過ごしている方がいらっしゃったら、始めましょう「終活」を。そうは言っても、何から始めればいいか分からない方が多いと思いますが、一般的に取り組みやすいと言われている「エンディングノート」(初心者向け)をお勧めします。当該ノートは公的機関で配布されている物もありますが、わたしは市販品を購入し、パソコン・スマホへのデータ入力ではなく、ひさしぶりに鉛筆と消しゴムを握っての手作業で作成しました。

「エンディングノート」には3つの大切な役割があるようです。
① 自分の情報を記入することで自分自身の今の状態を再確認します。
万一の場合の連絡先(親戚・友人・会費を納めている所属グループ)、主治医と服薬(おくすり手帳がある)、使用中のカード情報、通帳(分かる範囲で印鑑)、光熱費などの口座引き落し先、定期購入商品や月極め支払いの通信会社、保険、年金、有価証券、不動産、PCとスマホ(IDとパスワード)、クレジットカード、ポイントカード、ホームページ、SNSなど。箪笥やバッグからそれぞれを取り出してランダムに記入していきます。最初からノートに一覧表があるから何も考えずに記入が進みます。間違えても、消しゴムを使って、訂正や削除も簡単にできます。しかし、作業中、自分のことが意外にわかってない事に気づきます。「えっ、そうなんだ」状態です。私に万一の事が起こったら、家族はなおさらです。

② 万一の場合に引き継ぐべき事を家族にお願いする。
たとえば、自分の荷物、ペット、介護、告知、延命治療、臓器移植、葬儀、お墓、供養、遺言書、家系図などです。私に何かあったとき、残された家族がさまざまなつらい判断を迫られる可能性があると思います。自分の考えを書き留めて置くと家族の苦悩を大幅に減らすことができるのではないでしょうか。なかには難しく悲しい決断を記入する箇所もあり、不安と寂しい気持ちになりますが、そこは残された家族のことを考えて、きっぱりと記入しましょう。家族へのお役立ち相続ツールです。

③ 最後に、今後、私はどう生きていくかを考えます。
現在及び今後の収入・支出のシミュレーション、家族の生年月日他(これは間違いなくキチンと書きましょう。間違えられた本人が悲しみます)、自分の歴史(物語り風に大げさにドラマの主役になった気分で書く)、やってみたいこと(たくさんあればあるほど良い)、やってみること(今後の行動の決心と宣言)、皆さんへの個別メッセージ(素直な気持ちと多めの感謝を)など自由にわがままにざっくばらんに記入します。これからの人生に希望が湧いてきます。

 前半は少々寂しい気持ちになりますが、後半になると非常に楽しく、なぜか元気になってきます。そして、記入を完了すると今まで後回しにしていた他の「終活」である断捨離(アルバム、本や衣類,物の整理)が自然にできる、いやいや、せざるを得ない状態になると思います。だって、それらは今後生きていくのに邪魔な物だからです。
「エンディングノートは今を生きる糧になります」
これからももっと、楽しく、愉快に過ごしましょう。
以上が年齢的にもそろそろと思いながらも後回しにしているあなたに「エンディングノート」をお勧めする理由です。
残念ながら、なかには、③の「今後の収入・支出のシミュレーション」から老後に一抹の不安を感じる方がいらっしゃるかもしれません。
その際は是非、「FPみらい」へ迷わず、ご相談ください。
なお、「エンディングノート」はいつでも自由に書き換えができます。時々は見直すことも大事です。


分譲マンションの相続税評価額計算ルールの見直し~相続税の負担が増える可能性があります~

2023年度の税制改正で分譲マンションの相続税評価額の算定方法が見直され、2024年1月1日以降に発生する相続、贈与、遺贈について、新ルールが適用されています。
これは、分譲マンションの相続税評価額と市場価格との乖離を利用した相続税の過度の節税が問題となっていたためです。

従来の評価方法では、分譲マンション一室の相続税評価額は建物の固定資産税評価額と、路線価から算出した敷地利用権の価額を合計したものであったため、高層分譲マンションのように住居戸数が多く建物全体の敷地面積に対する各住居部分の面積の割合が小さくなる場合、相続税評価額が低くなりがちになります。また、市場価格は建物の階数や所在階数は反映されますが築年数の反映が不十分となり、高層の建物で高層階の物件は築年数によらず高くなりやすい状況となっていました。
新ルールによる相続税評価額は、市場価格との乖離が少なくなるよう従来の相続税評価額に、建物の築年数、総階数、所在階、敷地持分狭小度を反映し算出した区分所有補正率を掛けたものとなります。

1.分譲マンション一室の相続税評価額算定方法

1.1従来ルールによる相続税評価額

従来ルールによる相続税評価額

=区分所有建物の価額   +    敷地利用権の価額   

(固定資産税評価額)   (敷地全体の価額 x 敷地権の割合)

1.2 新ルールによる相続税評価額

 新ルールによる相続税評価額=従来ルールによる相続税評価額 x 区分所有補正率

 1)区分所有補正率

 区分所有補正率は、分譲マンションの多数の売買実例をもとに予測した市場価格と、従来ルールによる相続税評価額からの乖離の比率である評価乖離率を計算し、その逆数である評価水準(=1/評価乖離率)から求めます。

評価水準は、評価乖離率の逆数であるため市場価格が従来ルールによる相続税評価額よりも大きいと評価水準の値は小さくなります。

  評価水準     区分所有補正率

0.6未満      評価乖離率x0.6

0.6以上1以下      1 

1超        評価乖離率   

新ルールによる相続税評価額は、従来ルールで算出した相続税評価額が市場価格の60%未満の場合は市場価格の60%に引き上げられ、60%以上100%以下の場合は補正はなく、100%を超える場合は100%に引き下げられます。

2)評価乖離率の計算式

 区分所有補正率を求める際の基となる評価乖離率は以下の数式をもとに計算されます。

築年数にはマイナスの係数が掛けられていますので、築年数が大きいと評価乖離率が下がります。 建物の総階数と所在階にはプラスの係数が掛けられていますので、これらの数字が大きいほど評価乖離率は上がります。建物の敷地面積全体に対する各居住部分の敷地利用権の面積の比率である敷地持分狭小度については、マイナスの係数が掛けられていますが、高層マンションのように敷地持分狭小度の数値が小さい場合は、評価乖離率は下がりにくいことになります。

評価乖離率

=築年数x△0.033+総階数指数x0.239+所在階x0.018+敷地持分狭小度x△1.195

総階数指数:総階数/33

2.新ルールによる相続税評価額の計算

分譲マンションの相続税評価額が新ルールの適用によりどれだけ影響を受けるかを具体的な事例で見てゆきます。

事例は、国税庁の「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議」で使用された数値を使用しています。

    所在地 総階数 所在階数 築年数 専有面積 市場価格  相続税評価額* 乖離率  事例1 東京都  43階  23階   9年  67.17㎡ 11,900万円 3,720万円   3.20倍

事例2 福岡県  9階  9階   22年  78.20㎡  3,500万円  1,483万円   2.36倍

事例3  広島県  10階  8階      6年   71.59㎡  2,240万円   954万円   2.34倍

*従来ルール適用

1)新ルールによる相続税評価額

     評価乖離率  相続税評価額  

事例1  3.41倍   7,611万円    

事例2  2.07倍   1,842万円

事例3  2.59倍   1,483万円

新ルールによる相続税評価額は、超高層分譲マンションである事例1では従来ルールによる相続税評価額の2.0倍となり、新ルール適用の影響が最も大きく表れていますが、事例2および3でも各々1.2倍、1.6倍となっており、新ルール適用により分譲マンションの相続税評価額が影響を受けるのは超高層分譲マンションだけではないことがわかります。

区分所有補正率は、国税庁のサイト「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」で簡単に計算することができます。また、従来ルールによる相続税評価額は、お住いの市役所から送付される「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)納税通知書」や登記簿等から計算できます。

「居住用の区分所有財産の評価に係る区分所有補正率の計算明細書」サイト

新ルールではお住まいが分譲マンションの方は相続税評価額が高くなる可能性があるため、相続税評価額を具体的に計算することで相続税対策を早めに検討されてみてはいかがでしょうか?

CFP 岩船康則

新NISA始めてますか?早くスタートした方がこんなにお得に!

 ここに架空の高校での同級生二人(AさんとBさん)がいます。

 Aさんは高校卒業後18歳で、すぐに会社に勤め始め新NISAを開始
生活をきりつめ、毎年120万円積立を15年間行いました。
NISA累計投資限度額は1,800万円なので、そこまで15年間投資を行った後は、 投資は一切せずに、給料は全部使って自由な生活を続け定年を迎えました。

 一方Bさんは大学院まで進み、その後一流企業に勤め24歳から新NISAを開始しました。 BさんもAさん同様一年間の毎年120万円積立、 新NISA限度額1,800万円になるまで積立完了しました。 積立完了した38歳の時にAさんと会って、 その時の資産額を聞いてみると、Aさんは4,757万円で、 自分は、まだ3,170万円とだいぶ負けていたので、NISA枠を使い切ったあとも、 生活は質素のまま暮らし課税口座である特定口座で 毎年120万円 積立を継続していきました。
65歳定年を迎えた時の累計投資額は5,040万円となりました。

  そこで、お互い65歳になり定年退社した時、久しぶりにAさんと会って、資産の額を比べました。
BさんはAさんよりずっと多く投資し続けてきたので、当然自分が多いと思ったのですが、 結果は以下の通りでした。

Aさんの投資額 15年間1,800万円
Bさんの投資額 42年間5,040万円
65歳時点のAさんの評価額 2億9,558万円(無税で全額受け取れる)
65歳時点のBさんの評価額 2億9,171万円(課税口座で積立分の税金1,266万円控除後)

 たった、6年遅くNISAを開始しただけなのに、Aさんは1800万円投資してその後、
一切投資しないのにBさんはその後もずっと投資続けたにも関わらず、 65歳時点ではまだ追いつけませんでした。
 この例では、7%で運用するという前提でシミュレーションしました。
7%という数字は過去30年の全世界株式(オルカン)は8.7%(注1)なので、 そんなに非現実的な数字ではありません。
注1:円ベース配当込み 2024年1月時点 株式会社インベストメントブリッジ WEB「いろはにマネー」より 全世界株式30年平均

 これは、「複利の効果がどれだけ凄いか」がわかるお話だと思います。

この物語はリック・イーデルマン著の「家庭の金銭学」という本に出てくる、 複利の凄さを教える有名なジャックとジルの投資話をNISA版にアレンジしたものです。

 今回の例では、極端に投資にウェイトを置いていますが、 実際には若い時に色々な体験を積むのも人生を豊かにすることになるので、 バランスを取って適度に積立を行っていくことが大事です。
最近では、ポイントで投信積立も出来る証券会社もあるので、 まずは証券口座を開設して少額でもスタートすることが大事だと思います。.

CFP 磯野 正美

転職・中途退職された方!企業型DC(企業型確定拠出年金)を放置していませんか? ~自動移換はデメリットしかありません~

◆企業型DC導入企業数・DC加入者数が増加している
『企業型DC(企業型確定拠出年金)』とは、企業が従業員の退職金や年金を支援するために導入する福利厚生制度です。企業が掛金を毎月拠出し、その運用は、従業員自身が行います。拠出金は確定していますが、将来受け取る退職金や年金は運用成績次第で増やせる可能性があるため、「確定拠出年金Defined Contribution」と呼ばれています。
企業型DCは、会社が規約を定めれば従業員が一定の範囲で上乗せして拠出することも可能で、年々導入企業が増え、加入者数も増加しています。厚生労働省の確定拠出年金統計資料によれば令和5年3月現在、企業型の規約数は、7,049件。企業型DC加入者数は、805万人。正規従業員(3,615万人)の4.5人に1人が加入していることになります。

◆自動移換者数が増加

企業型DCに加入されていた方が、転職などで会社を退職すると加入資格を失います。資格喪失してから6ヶ月以内に手続きを行わないと、積み立てられた年金資産は、国民年金基金連合会に自動的に移換され(『自動移換』)その後は運用されない等デメリットがあります。
国民年金基金連合会の資料(右表)によると令和3年3末までは、自動移換者数が正規移換者数を上回っていました。令和5年3月末時点の自動移換者数は、118万人、その内66万人の口座には資産があるまま放置されている状況です。

◆自動移換されるとデメリットしかありません
①運用されない。(➢運用機会を逸する・運用益非課税メリットが享受できない)
運用していた年金資産は、いったん全て売却され現金化されます。その後に国民年金基金連合会に移換されるので
投資信託などの運用ができません。DCは、運用益が非課税になるメリットがあるのに享受できないだけでなくインフ
レが進むと資産価値が目減りしてしまいます。
②手数料が差し引かれる。
自動移換される際には国民年金基金連合会に事務手数料として1,048円、特定運営管理機関に対して3,300円の手数料が徴収されます。自動移換されてから4ヶ月後の月末までに移換などの手続きをしなければ、その後は月額52円の管理手数料が年金資産から徴収され続けます。(例:11月に自動移換→翌年3月分から徴収される)
自動移換された場合でもその資産を企業型や個人型(イデコ)へ移換することは可能ですが、手数料が発生します。

③受給開始の時期が遅くなる可能性ある。
確定拠出年金の老齢給付金を受け取るには、10年以上の通算加入者等期間が必要です。自動移換中は老齢給付金を受け取るための加入者期間に算入されません。そのため、通算加入者等期間が10年未満であれば、最大65歳まで受給できない可能性があります。
④「退職所得控除」の金額が減る可能性がある。
自動移換中は「退職所得控除」の計算に必要な勤続年数に算入されないため、一時金受取時の税制優遇効果が低下する可能性があります。
◆自動移換を回避する手続き期限の6ケ月以内とは?
自動移換手続きの期限は、前職の加入者資格を喪失した月の翌月から起算して6ヶ月以内(下表参照)です。

『自動移換』されると国民年金基金連合会から「自動移換通知」が送付され、その後年1回「定期通知」が送られてきます。通知には、資産の状況や手数料などが記載されています。

◆企業型DC加入者が退職した場合の移換先
・選択肢としては、下記の図のようになります。退職後の転職先や職種によって移換先や掛金上限額も異なります。

・積み立てた年金資産は、原則60歳まで引き出すことはできません。【E】の脱退一時金を受け取るという選択肢もありますが、法律に定める要件をすべて満たす必要があり、通常では、選択肢として考え難いです。

◆『自動移換』による年金資産の放置回避への取組・救済措置
・『自動移換』が増加している背景には、退職時の忙しさや手続きの煩雑さ以外で、制度の理解不足があると考えられます。厚生労働省では、「企業が掛け金を負担するため、自分の資産という認識に乏しく、自覚なく放置する人が多い。」として、事業主および運営管理機関に対し、退職者に対する移換手続きの説明・勧奨を行うよう指導しています。
国民年金基金連合会でも、自動移換者に対して、年1回送付する通知の中で、2017年1月から個人確定拠出年金(iDeCo)の加入範囲が拡大され、より多くの退職者が加入可能になっている旨等を周知しています。
・自動移換を減少させる取り組みとして、自動移換する前に別の確定拠出年金の口座が開設されていることが判明した場合、 もしくは既に自動移換された方が新たに確定拠出年金口座を開設した場合、自動的にその確定拠出年金口座へ移換されるようになりました。

◆アクションを起こすのは、ご自身です。
・退職後、その資産を期限内に移換する必要があることをお話してきました。企業型DCは、持ち運ぶこと(ポータビリティ)が出来るので、きちんと手続きをすることで、年金資産を継続して積立運用し資産形成をすることができます。
・移換手続きでは、運用している資産をいったん解約して預け替えることになります。それまで運用していた商品を売却して現金化し、移管先の制度の商品ラインアップの中から選択した商品を購入することになります。残念なことに売却のタイミングを指定することができないので、例えば投資信託を選んで運用をしている場合は、市場の状況によっては含み損の商品を売却してキャッシュにするため、損失を確定してしまうことになります。転職を予定している場合は、運用状況の良い状態の時にスイッチングして定期預金などの元本確保型の商品に資産を置いておくようすることで、残高が急激に減ることを防ぐことが出来ます。
・転職先に企業型DCがあれば、移管する箱はありますが、移管先としてiDeCo口座開設される方は、早速、行動開始です。iDeCo口座開設には、1~2ヶ月位かかります。iDeCo口座は1人一つの口座しか開設できません。年金資産運用口座として長いお付き合いになるので、商品のラインナップ・口座管理手数料・サポートサービス・その他の付加価値を比較して自分に合った金融機関を選ぶことが大切です。
・企業型DCに加入していた人は、退職した企業からの郵便物やメールなどは必ず確認してください。
退職した企業が積立ててくれた「大切な自分のお金」です。『自動移換』されて、残念なことにならないように、行動しましょう。
・ご自分が「自動移換」されているかもと思われた方は、下記サイトをご参照いただきくか、自動移換者専用コールセンター 03-5958-3736へ問い合わせしてみてください。
『自動移換』されてからでも移換して資産形成を継続することができます。

特定運営管理機関 (jis-t.co.jp)

180万円の壁をご存知ですか?

~59歳まで130万円の壁、60歳以上では180万円の壁になります!~

○○円の壁、と言われますが、いくつの壁があるのでしょうか。
大きく分けて、税法上の壁と社会保険上の2つの壁があります。その中でさらに複数の壁が存在しますが、今回は、60歳以上になると出てくる180万円の壁についてお話ししたいと思います。(図の青矢印部分です)

130万円の壁とは、社会保険の扶養に入れる年収の基準を表した言葉です。
社会保険上の扶養条件は次のように定められています。
≪社会保険上の扶養条件≫

表内の太字のとおり、60歳以上になると、扶養条件の年収が180万円未満に変わりますが、実はあまり知られていません。
扶養されている方が配偶者の場合、59歳までは、年金と健康保険料を自身で納入する事なく加入できましたが、60歳(厳密には60歳の誕生日の前日)になると厚生年金第3号被保険者の加入資格はなくなります。ですから60歳以降の扶養については、年収が180万円未満であれば、「配偶者の勤務先の健康保険に入ることができる」という意味になります。
扶養の条件について気をつけておきたい点がありますので、順に説明していきましょう。

【配偶者の年収の減少に注意!】
仮に、夫が扶養者、妻が被扶養者で同居している場合、年収180万円未満“かつ”収入が扶養者の1/2が条件ですので、夫に360万円以上の年収があれば、妻は年収180万円未満までが対象となります。しかし夫の収入が350万円であれば、妻の年収は175万円未満となる点に注意が必要です。雇用条件等に変化が起きることの多い60歳以降では、夫の年収の増減に伴って妻の収入条件が変わることに留意しましょう。
≪被扶養者自身の収入増加≫

60歳以降に給与以外に増える収入として、昭和41年4月1日以前生まれの方は、65歳以前に特別支給の老齢厚生年金があります。その他、個々の加入状況により、厚生年金基金や個人年金保険の受け取りがあれば、その合計が180万円未満かつ扶養者の年収の1/2であることが扶養の条件となります。65歳以降働く場合、本来の年金支給を加えると収入基準を超えてしまう可能性が高まります。その場合年金受給時期の引き下げを検討してもよいでしょう。

また、年収130万円(60歳以上では180万円)の壁を越えないよう就業調整をする方への対応として、年収の壁・支援強化パッケージと名付けられた施策が作られています。
【職場の状況等による一時的な給与収入増についての国の対応】
パート・アルバイトで働く方が繁忙期に労働時間を延ばすなどにより収入が一時的に上がったとしても、事業主がその旨を証明することで引き続き被扶養者認定されるものです。
(詳しくは厚生労働省HP:年収の壁・支援強化パッケージ

こうした施策がある一方で、10月からは更に加入対象者を増やす改正が行われます。
【2024年10月の改正に注目】
すでに2016年10月から従業員501人以上、2022年10月から従業員101人以上の勤め先で働くパート・アルバイトの方は社会保険の加入対象になっていますが、2024年10月から新たに、従業員51人~100人の企業で働くパート・アルバイトの方が社会保険の加入対象になります。なお、従業員数50人以下の企業においても、従業員と企業が合意することで51人以上の企業等と同じ加入要件にすることができるようになります。
≪対象となる従業員の要件≫

詳しくは社会保険適用拡大ガイド

社会保険加入対象者拡大の動きはこの10月の改正にとどまらず、今後は、従業員数など企業規模の要件をも撤廃する方針を固めています。また、7/3に発表された、5年ごとに行われる年金の定期健診、「財政検証」の結果では、パート労働者の加入要件である、企業規模要件・賃金要件・個人事業所の要件・週の所定労働時間要件などを撤廃した場合について、それぞれ試算と効果が示されています。支え手である加入者を増やして制度の安定を目指します。

60歳以上の方が180万円の壁を越えるなどで扶養条件から外れると、社会保険料負担(約15%)が発生し、手取り収入が減少します。では、メリットはないのでしょうか?
60歳になると第3号被保険者の資格はなくなると前述しましたが、厚生年金第1号被保険者としては70歳
になるまで加入することができますので、納付の月数に応じて年金受取額が増加します。また、自身で健康保険被保険者になることで傷病手当金の支給対象になります。

60歳以降も継続して働く人は年々増えています。ご自身の健康状態・給与以外の収入状況、ご家族の状況などもふまえ、配偶者や子どもの被扶養者になる、または被保険者として自分の年金を増やしながら働く、など今後のライフプランを考えてみてはいかがでしょう。

詳しくは厚生労働省HP 

および配偶者の勤務先の健康保険組合にご確認ください。