金投資のおすすめ

   2016年に入り、原油価格低下や中国経済の減速感の継続等により世界的に金融・資本市場が混乱し、リスク回避のための世界的な株安の流れが続いています。

日本株も1月29日の日銀のマイナス金利導入発表以降も本格的な株価の回復には至らず、筆者がこの原稿を作成している2月12日には日経平均の終値が15000円を割り、2014年10月以来1年4か月ぶりの安値を記録しました。

 2015年末に金融アナリストによる2016年の株価予測が発表されていますが、2016年前半は、追加の金融緩和や参議院選挙前の政策期待から日本株の好調を予想する関係者が多かったように思います。株価は、予測が困難な国際情勢の急激な変化をはじめ種々の要因に左右されるため、見通すのは容易ではありません。

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一方、金価格の推移を見てみますと、株価とは粗無関係な動きをしていることが分かります。以下の図はここ1年間、10年間及び40年間の日経平均と金価格の推移を比較したものですがこの傾向が読み取れます。

 金の価格はこの1年を見ると下落傾向でしたが、2016年1月下旬以降、金融市場の不安定な動きの中で米国景気の先行きへの懸念からマネーのリスク回避姿勢が強まり、金が買われ、東京市場でも10月末以来約3か月ぶりの高値を付けています。また10年間の期間では金価格は、日経平均に比較し上昇傾向であることが分かります。

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より長期的にみますと金は、1979年のソ連のアフガン侵攻やイラン革命、1980年のイラン・イラク戦争等国際緊張の高まりによる「有事の金」が買われドル建ての金価格が大きく上昇しました。

1980年以降も国際緊張が高まるごとに上昇したものの、それ以降20年間は強いドルへの信頼が高く金価格の低下傾向が続きましたが、2001年9月の米国での同時多発テロ以降「有事の金」が復活し、その後も中東での国際情勢の緊張や金融不安が拡大する中、金価格は2012年まで大きく上昇しました。

2013年に入るとシェール革命等による米国の中期的な経済成長を見込んだ米国株式への資金移動等により金価格は下落し、2015年11月末にはニューヨーク金市場で1100ドルを割る状況になりましたが、2016年に入り株式相場の急落や為替相場の乱高下等金融リスクの高まりの下で、安全資産である金が買われ金価格は上昇する展開となっています。

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さて、投資を行う際の伝統的なアセットクラスには日本株式、日本債券、海外株式、海外債権等があり、各アセットクラスの値動きの相関関係やリスクから、アセットクラスの比率を決めてゆくことになりますが、これに、金を加えてはいかがでしょうか? 

金鉱山会社により設立され世界的に金地金の販売促進を行っている非営利団体のワールド・ゴールドカウンシルで、2000年1月から2011年6月までの期間について金と各資産クラスとの円ベースでの月次リターンの相関関係の分析が行われております。

それによれば、データの外れ値を除いた金との相関係数は、日本株式は0.09、日本債券は-0.07、外国株式は0.04、外国債券は0.33と、外国債券以外の各アセットクラスは金とは相関関係がないと言えるとしています。 

 

金投資には、月々積み立てを行う純金積立、金地金、手軽に金の売買が可能な金ETF等種々の方法がありますので、不安定な国際金融情勢の中、皆様も資産のリスク管理のため金資産を一定の割合で保有することを考えられてはいかがでしようか?

 

                                              CFP 康