経済的自由と早期退職のための4%ルールとは?

みなさん、FIRE(ファイア)って聞いたことありますか?

FIREとはFinancial Independence, Retire Earlyの略で経済的自由を得て早期リタイアを目標とするライフスタイルのことです。

米国ミレニアル世代の間で以前からブームになっており、日本でも近年になって関連本などが出版されたこともあり、最近耳にする機会が増えました。

これはお金を貯めて贅沢をして暮らすというより、自由を求めて生活するという生き方です。

本来の定年を迎えて退職後にその資産をどう運用していくかというより、40代、50代、早い人は30代で早期リタイアして生活する。そのために、貯蓄率を高めて必要になるお金を貯めていくという生活スタイルです。

いくら貯めれば働かなくて暮らせるのか?

それが、テーマに上げた4%ルールというものに関係します。

例えば年間240万円の生活費なら240万円÷4%=6000万円

を貯めれば、働かなくても大丈夫ということです。

ちょっとまって!

6000万円貯めても、働かないで毎年240万円取り崩していったら25年で残高ゼロになるんじゃない? って思われるかもしれませんが、確かに貯めたお金を運用しないで
タンス預金にしてたらそうなりますよね。でも、貯めたお金をタンス預金でなく、運用したら結果は変わってくるのです。

古くは、1998年にアメリカのトリニティ大学の教授ら3人が「トリニティ・スタディ
という研究でこんな答えを導きだした。 」

1926年から1995年の70年間を対象期間として株式50%債券50%のポートフォリオ
にして4%取り崩していくと95%の確率で資産が残っている。

この研究テーマは、もともと「Retirement Savings: Choosing a Withdrawal Rate That Is Sustainable」「リタイア貯蓄:持続可能な引き出し率の選択」ということです。

せっかく退職金をもらっても、そこからどのくらい毎年引き出すのが良いのか? 沢山使えば短い期間で退職金が枯渇してしまします。

みなさん、ドルコスト平均法って聞いたことがありますよね。資産形成のために毎月同じ金額を投資していくと、結果的に安い時に沢山買えるので効率よくお金を貯められるというもの。代表的なものに「つみたてNISA」とかがあります。

でも貯めるときに有効な定額積立というのは、実は、取り崩すときには逆にデメリットになるのです。

取り崩しは定額ではなく定率で取り崩すのが理論的には資産が長持ちするのです。

でも、市況が悪化して資産が2割減少したので生活費も2割減で生活するというのも現実的にはちょっと難しいですよね。

そこで、定額で引き出しながら、資産を長持ちさせるにはリタイア時の何%位の資産を毎年引き出して生活するのが良いのかが研究されたのです。

その結果株式50%債券50%でポートフォリオを形成して、毎年4%ずつ引き出すと、95%の確率で30年間資金は枯渇しないとの結果が出たのです。

4%というのは、毎年の残高の4%ではなく、退職時の資産の4%です。先の例であげた年間生活費が240万円で6000万円貯めた人は毎年240万円ずつ取り崩していくということです。

でも、95%の確立で大丈夫ってことは、20人に1人はダメなひともいるということ。

ここで、確率論が出てくるのは西暦何年に退職したかによって、実際は成果が異なるからです。

退職時が不況期だと、株式市況も低迷、そんなとき定額で引き出すと、市況悪化によって元本が目減りしているときに引き出すので、元本に対する引き出し率が大きくなってしまいます。

その結果、その後好況となって株式市況とかが好転しても、元金を減らしてしまっているので、市況好転の恩恵を十分に受けられなくなってしまいます。

また、40歳で早期リタイアして30年間の保証だと70歳までしかOKじゃないの?

という疑問もわいてきますよね。

それと、データも、そんな25年以上も前のデータじゃ今と違うのでは?

ということで、その後、1981年から2016年までのデータを扱って分析したものもあります。

それによると株式を75%債券25%位で4%ずつ引き出すと30年では99%、60年で85%の確立で資産が残るということです。

ここでいう株式とはS&P500債券はアメリカ国債での検証です。

4%というのも、インフレ率を加味されたおり、実際の米国の過去のインフレ率平均2-3% 運用利回り6-7%で4%ということです。

日本最近の状況だと平均インフレ率は米国より低いので5%位の運用でインフレ率1%と位と想定してもよさそうです。

「FIRE 早期リタイア」 などで検索すると30代で5年後に早期リタイアを目指している人のブログだとか、いろいろ見つかると思います。

完全にリタイアでなくセミリタイアなどという年収を今の半分位でもいいからストレスなく働くという働き方と、この早期リタイアで資産運用との併用なども提案されています。

セミリタイアなら目指す資産は半分ですむから、より現実味を帯びてきます。

先ほどの、年間生活費240万円の例だと6000万円貯めないとリタイア出来ませんでしたが、目標額は3000万円で済むことになります。

「三菱サラリーマン」で検索してみて下さい。

ブログとかが見つかるとおもいますが、三菱系の会社を30歳で早期リタイアしたひとのブログで、昨年下記本も出版してます。

★「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門

  30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法」実務教育出版 

その他にもFIRE関連で主なものを下記にあげておきます。

★「FIRE 最強の早期リタイア術 最速でお金から自由になれる究極メソッド 」

  クリスティー・シェン (著), ブライス・リャン (著), 岩本 正明 (翻訳)

★「FIRE 最速で経済的自立を実現する方法」

   グラント・サバティエ (著), 岩本正明 (翻訳)

CFP 磯野正美