生涯現役を目指して!!

私が担当した前回(本年6月)のブログは、タイトル“人生はまさにマラソンのようなもの!!”と題し、人間の一生について記述しました。内容としては、人間の寿命「人生100年」いかに健康であり続けるにはどうしたらよいのか?また、企業にあっては従業員が心身とも健康で活き生き働き続けられるようにする必要性について全体をまとめました。

今回はその第2弾として、政府が進める「働き方改革・・・一億総活躍社会を目指して」から最近の労働面における改革を知っていただき、タイトルを“生涯現役を目指して”と題して、二つの観点からいかに働き続けるかについて考えてみます。

我が国は少子化が進み人口減少時代をむかえ、2015年国勢調査では75歳以上の人口は1612万人と総人口の「8人に1人」を占め、14歳以下の子ども1588万人を上回りました。生産年齢人口(15歳~64歳)が年々減少する中で、労働市場を支えているは65歳以上の高年齢者となっています。総務省の労働力調査(20169月・・1028日発表)によると、労働力人口は総数6701万人うち65歳以上が784万人(全体の11.7%・前年比6.7%増)と年々増えています。65歳以上の人口に占める就業者の割合(就業率)は、22.7%(男性31.3%前年同月比+32万人、女性16.2%同+17万人)であり、とりわけ女性の活躍の余地があると思われます。

 政府が進める働き方改革のテーマとして9項目が掲げられ、その内①同じ仕事に同じ賃金を支払う「同一労働同一賃金」の実現 ②長時間労働の是正 ③高齢者の就労促進、の3項目が目玉となっておりますが、今回のテーマに直接係わりのある③について確認してみましょう。

 雇用保険は現在の雇用状況(20169月・・失業率3.0%、有効求人倍率1.8倍、完全失業者204万人・・76ヶ月連続減少)を反映して失業給付などの支出額が低水準で推移していることから求職者給付が減少し、雇用保険の積立金は過去最高の6.4兆円となっています。国としてはそれらを踏まえ雇用保険制度を改訂(①保険料率の改定 ②対象者の拡大 ③給付金水準の拡充)しています。

まず、雇用保険料率の引き下げ(一般の事業:11/1000・・・うち労働者負担4/1000、事業主負担を含めて2.5/1000引き下げ)は、平成284月から実施されており、さらに、平成29年度から31年度までの3年間で更に0.2%引き下げられます・・年収400万の会社員なら年4000円程度の負担減が見込まれます。

次に、平成2911日以降、現行は適用除外となっている65歳以上の雇用者についても雇用保険の適用対象となります。なお雇用保険への加入は①勤務時間・週20時間以上 ②31日以上の雇用が見込まれる 人が対象です。

それによって受けられるメリットとしては?

〇失業すると、高年齢求職者給付金が支給される:賃金の50%~80%、最大50日分

〇家族の介護で休業すると介護休業給付金が支給される:賃金の67%、最大93日分

 (給付率も平成288月以降に介護休業を開始した場合40%➡67%に引き上げ)

また介護を理由による離職者(年間約10万人)が多いことから、育児・介護休業法も改正(施行:平成2911日)されます。

改正のポイントとは下記の通りです。(育児に関する部分は省略)

①介護休業の分割取得

 対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限として、分割して取得可能

②介護休暇の取得単位の柔軟化

 半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能

③所定労働時間の短縮措置等

 介護休業とは別に、利用開始から3年間の間で2回以上の利用が可能

④所定外労働の制限(残業の免除)

 介護のための所定外労働の制限(残業の免除)について、対象家族1人につき、介護終了まで利用できる所定外労働の制限を新設

これらが導入されると90歳前後の親の介護をしたとしても、高齢の従業員も安心して働くことができるかもしれません。

一方、労働者の就業環境向上に対する国の支援策として、導入する企業向けに「介護離職防止支援助成金」が新設(平成28年第2次補正予算成立:詳細は平成281019日付け厚生労働省ホームページで確認してください)されました。その内容は

 〇1ヶ月以上の介護休業を取得した後復職した場合一人当たり40万円(中小企業60万円)

 〇深夜勤務・残業の制限を3ヶ月以上抑制した場合一人当たり20万円(中小企業30万円)

これらにより介護しながら働く従業員や、雇用している企業もホットひと安心できるかもしれません。

平成2541日から、希望者全員の65歳まで継続雇用が確保され(実際に勤務する人は80%位のようです)、最近では定年制の廃止および65歳以上定年企業数は全体の18.7%と年々増加(厚労省平成28年「高年齢者の雇用状況」・・61日現在)しています。制度・背景等においては追い風となっていますが、果たして自分に合った仕事を見出せるでしょうか?そこが一番の課題ですね!なんといってもおおよそ40年間の仕事経験が活かせる職種が無難であり、これから新しいことを覚えるは、その年になってなかなか厳しいものがあるでしょう。だだ、気がかりは、場合によって以前の部下が上司となり、指示命令する立場が逆転することが多くなると思います。そのことだけは、しっかりわきまえましょう。

さて、老後生活を考えてみましょう。老後の生活を年金頼みでは、非常に厳しいのが現状です。既に高齢者(65歳以上)になられている人は年金を満額受け取られていますが、年金の支給開始年齢は、定額部分が平成134月から、報酬比例部分が平成254月から引き上げがスタートし、最終的には65歳に引き上げられます。現時点(平成2811月)において、男性は昭和3042日~3241日生まれの人が62歳になって報酬比例部分のみ受け取っています。(女性の支給年齢引き上げは5年遅れ)

厚生労働省発表によると、2016年の公的年金受取額は、夫婦2人のモデル世帯で月額221,504円となっています。この額をもらえるのは、夫が平均的収入(賞与を含む月額換算42.8万円)で40年間働き、妻が専業主婦のケースです。一方総務省の家計調査(平成27年)によると「高齢夫婦無職世帯で月間に支出している金額」は、275千円となっており、毎月5.5万円位が不足となります。また、生命保険文化センターの「生活保障に関する調査」によれば、ゆとりある老後生活に必要な金額(希望額)は、月額35万円で、豊かな生活の上を見ればきりがありませんが、よく言われているように老後資金としては3,000万円位確保する必要があるかもと思われます。その半分ぐらいは退職金で確保されたとしても、残りは現役時代の蓄えか、または働いてある程度の収入確保をしなければなりません。

平均寿命もこの20年間で男性4.4歳、女性4.2歳延びており、昔の65歳の方と今の65歳の方を比較すると外見からお年を聞いてまずはビックリ、そして健康で働き続けられる体力・気力も持ち合わせている方が多くなっています。十分な裏付けがあり働く必要がないとして、全く働かないのは如何なものでしょうか?

 人生100歳も見えてくる中で、老化(認知症)を防ぎいつまでも健康で長寿でいられるには、自分自身が心から満足感を持てる何かを見出すことではないでしょうか。それは仕事であるかもしれません、または、地域との交流・ボランティア活動による社会貢献・趣味など、あらゆる面において、心から充実した気持ちを持てるものを見つけ出してください。

いろいろ書いてきましたが、人生十人十色いや百人百色ですね。人からうらやまれる[生涯現役を目指して]頑張りたいものです。

 

            社会保険労務士・行政書士・AFP  若林富雄