先日、ラジオ日経の「ご意見伺います」というアンケートで「100年債に興味がありますか?」 というのがありました。
世界的な金利低下を受けて、国家や企業では、償還期間が今まで以上に長い「超超長期債」(?)の発行を検討、あるいは現実化させており、米国でも100年債の発行を検討しているとの報道もあったことがアンケートの背景でした。 アンケートの結果は回答者の8割の人が興味なし という結果でした。
確かに100年後どうなっているかわかりませんから当然のような気もします。 そのアンケートコメントのなかに「100年定期と何が違うの?・・・」とかいう話もあり、 100年定期について調べてみました。
100年定期で検索してみると・・・
新潟貯蓄銀行(新潟市、現第四銀行)が1915年(大正4年)に募集した「超長期」の100年定期預金は 利率6%の複利で2015年に満期を迎えて1円が100年後に339倍となったとのことです。 当時は小学校教師の初任給が9円位とのことから、当時の1円は現在ざっくり約2万円です。それが、インフレ時代を経過し100年後2015年に339倍に増えて339円を貰っても・・・
ということで、証書を持っている人は 換金せずに記念に証書を保管しているというようなニュース
もうひとつの100年定期は、さらに古くて明治33年に「1円」の価格で発行されたもの。長野県・茅野市役所にその証書が保管されているそうです。その証書は100年で、元金が1万倍になるという年利9.75%(複利)高利率です。 明治33年の警察官の初任給も9円位なので、こちらの場合も、当時の1円は現在価値だと約2万円、それが100年後に1万円として戻ってきたことになります。
ということで、どちらも物価上昇に追いついてないという結果でした。
それじゃ、金(ゴールド)を買っていたらどうか? 日本が1897年(明治30年)に貨幣法を制定したとき、金(ゴールド)の値段は0.75グラム=1円でした。現在の地金価格はというと2019年09月13日現在税込買取価格は1gで5,593 円です。0.75gでは4195円です。2万で買ったものが4195円、最近金価格が上昇しているといっても、こちらもマイナスでした。 株式に投資していたら?と思い日経平均100年前を検索してみましたが、 こちらは1949年スタートということで、まだ100年経っておらず比較できませんでした。
現在の債券市場では、満期まで持っていると、元利合計でマイナスになるという債券が債券発行残高の4分の1にも達するというような異常な事態です。このため債券バブルだという記事も多くみられます。 例えばドイツの指標10年物国債はクーポン0%で100の額面に対して2019年8月には107台で取引されていたとのこと。これは10年間利息がもらえない上に、10年後には7%元本割れとなる事が確約されている金融商品です。
既に、2年前に100年債が発行されたオーストリアの債券価格推移が下記です。この債券価格は今年に入って右肩上がりに8割上昇しています。
現在の取引の多くは、短期で値上がりすると見込んだ投資家が買いを入れてるから値上がりしているということのようですので、いずれはバブルが弾けると予想されますが、それがいつやってくるのかはわかりません。
債券バブルが崩壊したあと、生き残ったマネーは割安な株式を求めてやってくるかもしれません。 株式の長期投資でその恩恵を受ける準備をしておくのもひとつの方法です。
人生100年時代、時代の先を予測して、それにあわせた資産形成と資産寿命を考えるのが大事です。
2019年9月 CFP 磯野正美