お薬代をなんとかお安くしたい!

人生 100年時代に突入しました。
100歳まで元気で生きていきたいと願っても、加齢とともに、
病院、薬のお世話になる機会が増えることは否めません。
かくいう私も、すでに眼科、耳鼻科に月1~2回は通院しています。

いつもと同じ治療、同じ診察、同じ投薬なのに。
10円多い。たかが10円。されど10円。今夜はこの疑問できっと眠れない。そこで勇気を出して、「あのー、いつも、530円なんですけど、医療費が値上がりしましたか?」と質問。数秒後、事務のお姉さんがにっこり微笑んで「今回から、ジェネリックのお薬を頼めますよ。」
「えっ? ジェネリックのお薬はお安いと聞いていますが」
「はい、お薬代はお安くなりますよ。」「????」分からないまま、
薬局へ。お薬をいただくと「1,200円です」、「いつもより500円安い!」
病院でいただいた請求書兼領収書をあらためて見直すと、投薬の欄の保険点数が68点(前回)→71点(今回)となっています。そして 処方箋(薬局へお薬手帳といっしょに持っていくために病院から渡される書類)の処方変更不可のチェックが外されています。担当医師がジェネリック医薬品(後発医薬品)の処方の許可をしたのです。つまり、医師(病院)は30円(3点×10円)報酬が増え、私(3割負担)の支払いは10円増えましたが、お薬代を含めると490円も安くなりました。
ここで ジェネリック医薬品についてお話しします。

「ジェネリック医薬品(後発医薬品)」は、「新薬(先発医薬品)」の特許が切れた後に販売される、新薬と同じ有効成分、同じ効き目の価格の安いお薬です。「ジェネリック」とは「一般的な」という意味で、「ジェネリック医薬品」とは一般的に広く使用され、効能や安全性が確立された医薬品の事を意味します。新薬は、開発した会社が特許を取ると、20~25年の間、その会社が独占的に製造・販売できます。この特許が切れた後、開発した会社とは別の会社が同じ有効成分を使って製造・販売するお薬が、ジェネリック医薬品です。私は、ジェネリック医薬品に変更しましたが、効能は変わりません(注:個人差はあるかもしれません)。開発にかかる期間は、新薬が9~17年かかりますが、ジェネリック医薬品は すでに新薬で有効性や安全性が確認された有効成分を使って開発されるので、開発期間が3~5年と短く(つまり期間が短い分)開発にかかるコストも大幅に抑えられます。よって国が価格を新薬の約2~5割に設定しています。公的医療保険機関が大いに推奨するのがわかります。しかし、ジェネリック医薬品の情報が医師、薬局へとまだ不足という問題があり、普及率も欧米に比べ低いようです。さらなる、制度の改善に期待しましょう。

 

お薬代を更に節約する方法をいくつか紹介します。

 

① 医療費控除・・・確定申告をしなければなりません。
申告する方やその方と生計を一にする配偶者その他の親族のために、平成30年中(1/1から12/31)に支払った
医療費(薬代も含めます)がある場合は、次のとおり計算した金額を医療費控除として、所得金額から差し引くことができます。

平成29年分の確定申告から、医療費の領収書の代わりに、「医療費控除の明細書」を提出し、領収書は自宅で5年間保存しなければなりません。

② セルフメディケーション税制・・・・確定申告をしなければなりません。
2017年1月にスタートした制度です。医療費控除の特例です。スイッチOTC成分が含まれた薬を、1年間に家族合計で1万2000円を超えて購入した場合に、医療費控除の確定申告をすることで、税金を安くすることができる制度です。

上記の①と②はどちらかひとつだけ選択です。平成30年分の確定申告期間は2月18日(月)から3月15日(金)までとなっています。しかし、①も②も そもそも所得税を支払っていない人には還付されません。

③ 高額療養費制度・・・制度が複雑
毎月の医療費が高額になったときに利用できます。医療機関に1カ月(暦月)支払う自己負担限度額が一定額を超えると、超えた部分の額が公的医療保険から払い戻しが受けられます。「多数回該当」「世帯合算」でさらに負担軽減となります。とにかく、この制度ははっきり言ってとても複雑です。領収書などをすべて保管し、加入の公的医療保険の担当窓口で確認するのが、ベストです。公的医療保険は5つあります。1つ目は市区町村が運営する、主に自営業の人が加入する「国民健康保険」。2つ目が、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」で、中小企業に勤める人のためのものです。3つ目が、大企業に勤める人のための「組合健保」、4つ目が公務員のための「共済組合」です。そして 最後の5つ目として、75歳以上の高齢者が加入する「後期高齢者医療制度」。皆様はどの公的医療保険に加入されていますか?

④「特定疾病」「特定疾患」の医療費助成制度・・・調剤も含みます
難病の患者を、国や都道府県が助成する制度です。2017年4月から対象となる指定疾病は330疾病に拡大されました。詳細はお住まいの都道府県におたずね下さい。

さて、現在 我が国は少子高齢化が進み、高齢者人口の占める割合が増え、2025年には、65歳以上の方の人口は3,657万人になるそうです。 年金におきましては、65歳以上の方ひとりを20歳から64歳の方が1.8人で支えることになると推計されています。これでもかなり苦しいのに、2050年には、一人が一人をささえることになるのではとも予測されています。深刻な問題です。
医療費も同じです。健康保険制度の破綻も心配されます。医療費の節約は一家計だけでなく、大きくは社会の安定へと繋がっていきます。ジェネリック医薬品を希望するにはお医者様、または薬局にて「ジェネリックでお願いします」と言うだけです。保険証やお薬手帳にジェネリック医薬品のシールを貼るのもいい方法です。簡単です。人生100年時代に突入しました。ここで少し、お薬代を真剣に考えましょう。

CFP 楠本智子