長生きリスクに備えるには
現在65歳の男性の平均余命は約20年だそうである。しかし、これは平均であって4人に
1人は90歳以上まで生きる可能性がある。長生き出来るのは長寿として歓迎するべきことなの
だろうが、余裕をもって人生を過ごすには健康や資金対策が必要なのもよく言われる事実。
例えば退職金等で2,000万円の預金がある65歳の男性が年金の補填に毎月10万円づつ
取り崩してゆくと82歳で預金は0となる。(平均寿命は85歳だった。)
だから投資信託等を使って資金を運用し続けなければ老後破綻すると以前から言われ
ているのだが、ではどう運用したらいいのかという具体論となるとあまり聞かない。
リタイア世代の運用はどうするべきなのか?65歳で2,000万円の金融資産を持つ場合、
年率3%で運用すれば88歳まで年間120万円の取り崩しが可能という試算がある。年率5%
なら資産寿命は99歳まで伸びるという。
では3%のリターン(投資収益)を得るにはどうしたらいいのかが一番の関心事だろうが
Jリートのようにミドルリスクかつミドルリターンでほとんど年3%以上の運用リターンをあげている投資対象もある。だからこそ主な投資主は地方銀行等の資金運用機関なのだ。
これまで投資信託でJリートに投資するものを勧めてこなかったのは日本のこれに投資す
るものは「毎月分配」をうたい、元金を配当に回してでも高い運用利回りで主にシニア層の
毎月小遣いを欲しいという層に売り込んできたからだ。しかしこのやり方も無理が祟り?配当金の引き下げが始まると同時に残高は急減傾向にある。結局特定の(株式等の)資産ではリスクが高すぎるので資産の分散(バランス型投資信託等)が必要ということになる。
今回は退職世代の老後破綻を避けつつおこずかいも欲しい世代が求める運用方法を探すという
趣旨でこのブログを執筆している。結果的にほぼこの要望を満たす投資信託は既にあった。それ
が上記掲載の表中の2件の投資信託である。両ファンド共に年率3%で運用しつつ年6回の分配
がある。これを奇数月に設定すれば分配金と年金で毎月こづかい(生活費)が入ることになる。
設定が浅く実績面で若干難があるが野村のターゲット・・は純資産も515憶円と支持を得ていることが分かる。隔月50円の分配なら10,000千円投資すれば5万円使うことが出来る。この5万円を多いと見るか足りないと考えるかは人によって違うだろうが、運用収益の分配とは本来この程度と見るほうが自然なのではないだろうか。
上記「野村ターゲットターゲットインカムファンド」の投資対象
世界各国の債券等・世界各国の株式等を投資対象とする投資信託証券に投資する。
(ファンドオブファンズ)
世界各国の不動産投資信託証券(REIT)・企業向け貸付債権(バンクローン)を投資
対象とする投資信託証券に投資する場合がある。
分配金の分配方針
分配金は分配方針にもとづき「分配対象額」から支払われる
分配方針「分配金額は分配対象額の範囲内で、基準価額水準に関わらず原則として
利子・配当等収益の範囲内で委託会社が決定。ただし、基準価額水準によっ
ては分配対象額の範囲内で、売買益等を分配する場合がある。」
分配対象額=経費控除後の配当等収益+経費控除後の評価益含む売買益+
分配準備積立金+収益調整金
(注)目論見書によると「ファンドは計算期間中に発生した運用収益(経費控除後の配当等収
益及び評価益を含む売買益)を超えて分配を行う場合がある。」との記載あり。
最後の注記にあるように日本に於いてはまだ元金からの払い戻しが認められているため元金の
目減りリスクが完全には排除されていないが、分配方針を見る限りが妥当な分配が行われると
思われる。また目標利回りを年率3%と妥当な水準に置いていることがこれまでの高分配
毎月分配分配型投資信託と違うところだ。
リタイア世代のお小遣いニーズ需要は確かにあり、これまで日本では不幸にもこれに合った
投資信託が無かったため、勢い多くのシニア世代は高分配の「毎月分配型投資信託」を購入し、残念ながら気が付いたら元金が減っていた残念な事例が指摘されている。
「運用しながら小遣いも引き出せる投資信託」はある!いや出てきた。FPも商品研究しましょう。
CFP 重田 勉