「貯蓄から資産形成へ」・・・「金融処分庁」から「金融育成庁」へ

もう、十数年前から「貯蓄から投資へ」と云われ続けてきましたが、 いまだ日本の金融資産の大半は預貯金に偏っています。

昨年9月に金融庁から発行された金融レポート、その中で「貯蓄から資産形成へ」という項目に注目です。
このレポートの中に、「貯蓄から投資へ」という言葉は消えて、「貯蓄から資産形成へ」となってます。
2016 年初に金融庁で行ったアンケート調査では、投資未経験者のうち、約8割が「有価証券への投資は資産形成のために必要ない」と回答しており、その理由としては「そもそも投資に興味がない」が約6割、「投資はリスクがあり怖い」、「投資の知識がない」がそれぞれ約3割とのことです。

また、別の調査では、投資教育を受けたことのない者が約7割を占めており、そのうち約3分の2が、「金融や投資の知識を身に付けたいと思わない」とも回答している。

レオス・キャピタルワークス・藤野英人氏の講演録などによると、これには、金融庁の幹部もびっくりしているようで、「貯蓄から投資へ」というキャンペーンをずっとやってきたけど。「俺たちは何してきたんだ?」ということで、このデータでとてもショックを受けていたということを話されていたようです。

税制面での後押しをして、個人型確定拠出年金(iDeCo)加入者範囲拡大や、積立NISAを創設して預貯金一辺倒からの脱却を促そうとしていますが、そもそも、必要ない、知りたいと思わない人にどのように伝えるのか。
やはり、社会に出る前の学校教育の一環として学校の場で金融・投資に関する基礎知識を学ぶ機会を作るのが重要だと思います。

尚、金融庁自身も、このレポートの中で、いわゆる「金融処分庁」的な発想から「金融育成庁」に転換すると宣言しています。

参考
平成27事務年度金融レポート
http://www.fsa.go.jp/news/28/20160915-4/01.pdf

藤野英人氏の講演録
http://logmi.jp/179568

 

CFP 磯野正美