派遣社員の年金作り

先週から、日経新聞に「働けない若者の危機 第4部氷河期時代」として若者の経済力について連載されています。

「就職氷河期を経験した現在の30代の多くは、結婚適齢期を迎えても十分な収入を得られず、30代男性の民間平均給与は469万円で、1997年ピークの15%減(国税庁2011年調査)。多くの女性は“結婚して専業主婦になりたい”と考えているけれども、現実は男性の20%、女性の54%が非正規雇用。経済的な不安が結婚をためらわせ、その結果、2010年時点で35~39歳の未婚率は男性36%、女性23%に達した。」

(日経新聞2013年1月15日朝刊より)

では、どうしたらよいのでしょうか? 婚活はしているけど、もしかしたら“おひとりさまになるかもしれない”と不安になってきたあなた。そういうあなたは、54%の中の女性派遣社員? このままずるずるいくと、ますます正社員の道は厳しくなり、どっぷり派遣の道へと突入します。

30代後半になると、その派遣さえすぐには見つからなくなってきます。(怖がらせてごめんなさい!)そろそろ「自分の老後は自分で守る」という意識が必要かも! そこで私がおすすめするのが、派遣社員で退職金のない方(2号)の“確定拠出年金個人型”です。掛けていない場合と、掛けた場合の比較をしてみます。

 

(下記数字の単位は円)


タイプ①

月収20万円で年収240万円を想定(けんぽ17等級、厚生年金13等級で計算)

<所得税>

① 支払金額 2,400,000

② 給与所得(給与所得控除後の金額) 1,500,000 {2,400,000-(2,400,000×30%+180,000)}

③ 所得控除額 686,456(基礎控除380,000、社会保険306,456、)

④ 源泉徴収税額 40,600 {(②-③)×5%}

<住民税>

① 支払金額 2,400,000

② 給与所得 1,500,000

③ 所得控除額 636,456(基礎控除330,000、社会保険306,456)

④ 住民税 86,300{(②-③)×10%}


タイプ②

確定拠出年金個人型を税額控除できる最大月額23,000(23,000×12=276,000)掛けると。

<所得税>

① ②は同じ

③所得控除額 962,456(基礎控除380,000、社会保険306,456、確定拠出年金276,000)

④源泉徴収税額 26,800{(②-③)×5%}

<住民税>

① ②は同じ

③所得控除額 912,456(基礎控除330,000、社会保険306,456、確定拠出年金276,000)

④住民税 58,700{(②-③)×10%}


タイプ①-タイプ②=(40,600+86,300)-(26,800+58,700)=41,400

1年で41,400円の節税になります!!   →  20年掛けたら828,000円も!! 他にも、掛けている間の運用益は非課税だし、受け取るときは年金形式なら公的年金扱い、一時金受取なら退職金扱いなので、とてもお得です。是非取り入れてみてください。

(佐藤 広子)

共働き妻が死んでも夫は遺族年金を貰えない?

最近はご夫婦とも仕事を持っているダブルインカム(非扶養)のご家庭が増えています。生命保険の見直し相談に来られて驚かれることは、奥様の万が一のための保障です。

初歩的なお話ですが、遺族年金は家族に万が一のことがあった場合に残された遺族の生活を国が保障する制度です。夫婦で家計を支える共働きの場合、妻に万が一のことがあっても、夫は遺族年金を貰えないということがあるのです。ここで少し、共働き妻が死亡した場合の遺族年金について解説します。

「遺された家族の生活を保障する年金」としての遺族年金には、大きく遺族基礎年金(国民年金)と遺族厚生年金(厚生年金保険)の2つの制度があります。

 

共働き夫婦で妻が死亡した場合の遺族年金は?

今日の年金制度は、夫が家計を支える家計主であって、夫が死亡した場合に遺された遺族である妻や子どもに、どのような年金がいくら支給されるかという視点で制度が成り立っています。
そのため、夫婦共働きでお互いに厚生年金に加入している場合、遺族年金はどのようになるのかわかりにくい部分であります。そこで、共働き夫婦で妻が死亡した場合の遺族年金について整理してみました。

共働きで子どもがいる夫婦の場合

遺族基礎年金

遺族基礎年金が支給されるのは、子のある妻または子となっています。そのため、夫には支給されず、子どもに対してのみ、18歳到達年度末(障害者 の場合は20歳未満)まで支給されます。ただし、父親と同居している場合は、子どもへの遺族基礎年金も支給停止する決まりになっているため、結果、遺族基礎年金は貰えないことになります。

遺族厚生年金

遺族厚生年金が支給されるのは、妻、子・孫又は55歳以上の夫・父母・祖父母となっています。そのため、夫には支給されず、子どもに対して、18歳到達年度末(障害者の場合は20歳未満)まで支給されます。

共働きで子どものいない夫婦の場合

遺族基礎年金

遺族基礎年金が支給されるのは、子のある妻または子となっています。そのため、子どもがいない夫には遺族基礎年金は支給されません

遺族厚生年金

夫に遺族厚生年金が支給されるのは、妻が死亡時に夫が55歳以上の場合となっています。但し、支給開始は60歳からとなっています。
共働きの夫婦で子どもがいない場合で、妻に万が一があっても、遺族基礎年金は貰えず、遺族厚生年金も、妻死亡時の夫の年齢が55歳以上でなければ貰えないということになります。夫は妻の遺族年金を頼りにできないといえます。

 

夫に対する遺族保障は少ない!

共働き夫婦で妻が死亡した場合、夫が貰える遺族年金は意外と少ない(貰えない)ということがわかりました。

遺族年金は、家計を支える者に万が一の場合に、遺された家族の生活を保障する制度です。普通に考えれば、妻に万が一のことがあった場合でも、夫も妻と同様に遺族年金が貰えると考えがちですが、現実の年金制度はそうなっていないのが実情です。妻には寡婦年金や高年齢寡婦加算のように手厚い保障が用意されていますが、夫への遺族保障は不十分です。

これは、年金制度設計時の家族と家計の考え方が、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という発想だからです。世の中が大きく変わり、現在の家族・家計の支え方の実情に合わなくなっているといえます。

 

共働きならではの家計のリスク対策を!

最近は、夫婦共働きの世帯が増えてきました。勤労者世帯に関していえば、片働き世帯よりも共働き世帯の方が多くなっています。共働き世帯の中でも、夫婦2人の収入で日々の生活費や子育て費用、住宅購入費用などの家計を平等に負担している世帯が一般的になってきました。

夫婦が同じ年収で家計を支えている場合、夫に万が一があった場合と妻に万が一があった場合で、貰える遺族年金から考えると、家計に与える影響がずいぶん異なるということになります。そのことを念頭において、万が一の場合の家計のリスク対策を考える必要があります。

(石山 斉)