昨年末からの日本株上昇で思うこと

昨年末から新年にかけての最大の話題は安倍政権の誕生とその経済再生方針、それを受けた円安の進展・更にそれを好感した日本株の復調でしょう。1月18日時点では日経平均は当面の目途と言われていた1万1千円近くまで上昇している。昨年11月末時点は9千円を前後していたのだから一か月半で約2千円も上昇したことになる。これは率にすれば約22%、やっと日本株も世界の上昇から出遅れていた状況から追いつきつつあるようです。

この状況を見て心穏やかでいられなくなるのが我々一般人の気持ちでしょう。ある人はここをピークとみて売りを検討し、ある人は上昇局面に入ったようだから買ってみようかなと思う。または早まって昨年売らなければ良かったと思っている人がいるかも知れません。

私は元々個別株を狙うタイプではなく、ETFやインデックス型投資信託を中心に日本株に投資しています(額は少ないが・・)。これは個別株で儲かる銘柄を探すことは難しく、そこに拘ると生活の時間が相当そこにかかってしまうと考えるからです。自分の暮らしを豊かにしてゆくためには貯蓄だけでなく、投資によって資産を増やしてゆく必要がありますが、だからといって生活のかなりの部分を銘柄研究等にとられるのは本意としていません。

また、パッシブ型の投信の方が手数料も安く、日本株は情報を得やすく、指数を指標にすることによって自分の損益・勝ち負けが分かりやすい利点があるためです(購入時点の株価水準を覚えておけば良いのですから。)

私としては日経平均が1万2千~1万3千円に上昇した時点をピークと設定し、そこで処分(売却)する予定です。問題はいつそこに到達するかの予測ですが、私も参加した勉強会の講師を務めた著名株式評論家のK女史は参院選が終わるまでは大丈夫だろうとのご宣託でした。私もこの見解には賛成で、自民党政権は参院選勝利のためにも経済を刺激し、高株価を維持してゆかなければならないとみるからです。

ただ今回の日本株上昇局面でも忘れてはいけない点は感じます。それはかつてのオランダのチューリップバブルの話。最後のババ(高値)をつかまないように、人気化しているようだから買ってみようというのは1つのバブルのような動きのどの局面か考えることが必要だと思います。目端の利く人は既に昨年末衆院選で自民党が勝つと言われた時期に買っているでしょう。また、長期投資をしている人はリーマンショック後の2008・2009年から今回の上昇局面を待ち続けていて、やっと古漬けの漬物を食べられると喜んでいるかも知れません。

(重田 勉)

派遣社員の年金作り

先週から、日経新聞に「働けない若者の危機 第4部氷河期時代」として若者の経済力について連載されています。

「就職氷河期を経験した現在の30代の多くは、結婚適齢期を迎えても十分な収入を得られず、30代男性の民間平均給与は469万円で、1997年ピークの15%減(国税庁2011年調査)。多くの女性は“結婚して専業主婦になりたい”と考えているけれども、現実は男性の20%、女性の54%が非正規雇用。経済的な不安が結婚をためらわせ、その結果、2010年時点で35~39歳の未婚率は男性36%、女性23%に達した。」

(日経新聞2013年1月15日朝刊より)

では、どうしたらよいのでしょうか? 婚活はしているけど、もしかしたら“おひとりさまになるかもしれない”と不安になってきたあなた。そういうあなたは、54%の中の女性派遣社員? このままずるずるいくと、ますます正社員の道は厳しくなり、どっぷり派遣の道へと突入します。

30代後半になると、その派遣さえすぐには見つからなくなってきます。(怖がらせてごめんなさい!)そろそろ「自分の老後は自分で守る」という意識が必要かも! そこで私がおすすめするのが、派遣社員で退職金のない方(2号)の“確定拠出年金個人型”です。掛けていない場合と、掛けた場合の比較をしてみます。

 

(下記数字の単位は円)


タイプ①

月収20万円で年収240万円を想定(けんぽ17等級、厚生年金13等級で計算)

<所得税>

① 支払金額 2,400,000

② 給与所得(給与所得控除後の金額) 1,500,000 {2,400,000-(2,400,000×30%+180,000)}

③ 所得控除額 686,456(基礎控除380,000、社会保険306,456、)

④ 源泉徴収税額 40,600 {(②-③)×5%}

<住民税>

① 支払金額 2,400,000

② 給与所得 1,500,000

③ 所得控除額 636,456(基礎控除330,000、社会保険306,456)

④ 住民税 86,300{(②-③)×10%}


タイプ②

確定拠出年金個人型を税額控除できる最大月額23,000(23,000×12=276,000)掛けると。

<所得税>

① ②は同じ

③所得控除額 962,456(基礎控除380,000、社会保険306,456、確定拠出年金276,000)

④源泉徴収税額 26,800{(②-③)×5%}

<住民税>

① ②は同じ

③所得控除額 912,456(基礎控除330,000、社会保険306,456、確定拠出年金276,000)

④住民税 58,700{(②-③)×10%}


タイプ①-タイプ②=(40,600+86,300)-(26,800+58,700)=41,400

1年で41,400円の節税になります!!   →  20年掛けたら828,000円も!! 他にも、掛けている間の運用益は非課税だし、受け取るときは年金形式なら公的年金扱い、一時金受取なら退職金扱いなので、とてもお得です。是非取り入れてみてください。

(佐藤 広子)

やっぱり「介護は突然やってきた」

介護は突然やってくると言いますが、家族にそのような状態が来ると急に身近な事柄となります。なんとなくアタマの中ではわかっていても、実際に体験するとなるほどこういうことかと実感します。

知人のケアマネージャーからもアドバイスを受けたことも含め、いくつか注意すべきことを挙げてみます。

  • 関係者が多くてびっくりしますが、中心は自分たちだと自覚しましょう
  • 家族の思いを大切にし、どのような生活が望ましいかを関係者に伝えましょう
  • 慌てずに必要なことから少しずつ始めましょう

 

■関係者が多くてびっくりしますが、中心は自分たちだと自覚しましょう

介護状態は病院でスタートすることが多いと思います。それは、骨折などのケガによって入院し、特に高齢者になるほどリハビリによってもこれまでどおりの生活が送れるほどには回復できないからです。

介護を受ける場合、ケアマネージャーが付いてケアプランというものを立ててくれます。要介護者のリハビリや、自宅で生活するためのバリアフリー化などの相談に乗ってくれます。

ベッドや車イスは購入するのでなく、レンタルすることができます。玄関から自宅に車イスで出たり入ったりするためのスロープもレンタルできます。簡易トイレは購入することになりますが、このような一連の介護用品を扱う業者が必要で、特に希望がなければ病院から紹介を受けることができます。

そして、退院後もリハビリする場合は自宅での訪問リハビリを行い、デイケアサービスを受ける場合はそのような施設の選択も必要です。

病院ではそのような関係者がすでにそろっており、一気に話が進んでいきます。退院直前の会議では関係者が多くて圧倒されます。実際、私の母は

「あんなに人がいたら(家族の他に7人)、言いたいことも言えない」

とこぼしていました。
でも、決して圧倒されてはいけません。自分たちの生活のために集まってくれた人たちなのです。彼らは、できれば自分たちのサービスを利用してくれることを期待していると思いますが、それを使うことが前提ではありません。サービスを受けるのも、お金を払うのも自分たちなのです。一人で会議に出ることが心配であれば誰かに付き添ってもらうなど、良い話し合いができるようにしましょう。

 

■家族の思いを大切にし、どのような生活が望ましいかを関係者に伝えましょう

上のこと関わりますが、大切なのは自分たちの生活です。介護によってこれまでのように生活できないことは受け入れるとしても、その先どのような生活を送りたいか、という本人と家族の意思が大切です。人と交流し楽しい生活を送りたい人もいれば、不便ではあっても自宅で生活したい人など、考え方は人それぞれでしょう。
大事なことは、どのような生活を送りたいかを本人と家族で話し合って、それを実現してもらうためにケアマネージャを中心とする関係者に正しく伝えることです。
正しく伝えることができればきちんと対応してくれます。

 

■慌てずに必要なことから少しずつ始めましょう

介護が必要になると、車イスを押しやすいように床のバリアフリー化をしましょうとか、車イスでの生活のためにテーブルの生活に変えましょう、と言ったアドバイスされることがあります。でも、決して一気にやってしまわなくていいと思います。
確かに、要介護者が自宅にいてバリアフリーの工事をするのはたいへんなことは間違いないと思いますが、頭のなかで考えることと実際は違うことが多いです。それでなくても生活に変化が出ますから、まずは要介護者にとって必要と思われることだけ対応してスタートしてみても良いのではないかと思います。意外とやれてしまうこともあるでしょうし、足りないものをあとからやっても大丈夫なのです。

(源田 公平)

住宅ローンの見直し、今がチャンス?

年が明け、いよいよ安倍新政権が本格的に動き出します。
昨年12月の選挙で自民党が圧勝した後、安倍新総理の強く推し進める金融緩和措置への期待から円安・株高傾向が続いており、このままいくと国債の価格が下がり、長期金利が上がる可能性があります。

実は、昨年12月にフラット35(返済期間21年~35年)の金利が過去最低の1.81%だったのを御存知でしたでしょうか?各金融機関でもこの低金利で、他機関からの借換案件の増強にかなり力を入れてサービス・施策を行っているみたいです。

ある人の例ですが、10年前に2,300万円を35年ローンで旧住宅金融公庫で借りていて、当初10年間の金利が2.55%で11年目からは3.50%になるということで、慌てて借換を検討したそうです。

<その結果>

項目 借換前 借換後
ローン残高 1,840万円
返済期間 25年11か月 25年0か月
適用金利 2.55(3.50)% 2.00%
月々返済額 80,680(89,530)円 77,997円
返済総額 27,746,480円 23,399,100円
借換諸費用 500,000円

 

返済期間は約1年弱(11か月)短縮し、返済総額の差(返済総額 27,746,480円-23,399,100円=4,347,380円)も諸費用50万円を差し引いても380万円以上、年間約15.4万円もの負担軽減となったそうです。さらに、ローン返済とは別に毎年6万円以上払っていた団体信用生命保険の保険料も借換先金融機関が負担してくれるので、その差はかなり大きいです。

実はこの、「ある人」というのは自分なんです。一般的に住宅ローンの借換えでメリットが出る条件として、

「金利差1%以上、借入残額1,000万円以上、残済期間10年以上」

と言われています。私の場合も、ピッタリ条件に当てはまるのでこの様な成果となりましたが、いろいろ調べていく中で今は条件に関係なく、借換えメリットがある場合もあれば、条件に該当していても逆に借換え出来ないケースもあるという事がわかりました。

住宅ローンの見直しで重要なポイントとなるのは、ライフ・プランニングです。「家族構成や退職年齢、リタイヤ後の計画等」によって変わってきます。
例えば教育ローンや車のローンがあると、返済負担率の関係でNGとなる場合もありますし、定年が近い方は金利差がわずかでも、繰上返済する為に手数料等条件の良い金融機関に借換えたほうが良い場合もあります。

2013年、金融緩和で長期金利がさらに下がるか、初めに記した通り債権から株式に資金シフトし長期金利が上昇するか予測は難しいですが、住宅ローンの見直しには、各金融機関の融資条件・サービス等情報収集とライフ・プランニングが不可欠ということですね。

自分だけでは難しそうと思われる方は、どうぞファイナンシャル・プランナー他専門家へご相談を!

(小野 宏治)