人生はまさにマラソンだ!!

 新聞各紙に「健康に関する記事や執筆」また「事業継承に関するセミナーや対策」に関する記事がない日がないと言えるほど掲載されています。今月のブログは私の担当となり、人生&企業経営がいつまでも健康であり続けるにはどうするのが良いのか、最近の動きや私の経験を踏まえてまとめさせていただきます。
 まず人間の一生について考えてみましょう。若いときやお医者さんに無縁の健康な時は、あまり気になりませんが、ある一定年齢に達し定期健康診断での結果や、手術あるいは入院を経験して、初めて健康であることのありがたさに気付くものです。
 日本は世界一の長寿国と言われていますが、数字でその内容について見てみましょう。さて人間の寿命には、その名称により内容が異なります。
・平均余命:各年齢の人が平均してあと何年生きられるかの期待値をいう
・平均寿命:その年に生まれた0歳児の平均余命をいう
・健康寿命:健康上の問題で日常生活が制限されない期間を示す
本年5月19日世界保健機構(WHO:加盟国194の国と地域)が発表した平均寿命(世界健康統計・2015年)では、日本が男女平均で83.7歳と世界一の長寿国を確保し、2位はスイス83.4歳、3位はシンガポール83.1歳となっています。男女別でみると、男性長寿国1位はスイスで81.3歳、日本は80.5歳で6位、一方女性は日本が1位で86.8歳です。世界平均で見ると男女平均で71.4歳、男性69.1歳、女性73.8歳となっています。
 我が国における平均寿命の推移を見ると、1991年は男性75.92歳、女性81.90歳となっていて、この四半世紀で実に男女とも約5年寿命が延びています。厚労省の試算では、75歳まで生きる人の割合は女性87.3%・男性74.1%、90歳では女性48.3%・男性24.2%になる予想で、実に女性の2人に1人・男性の4人に1人が90歳まで生きられる時代を迎えます。昨年9月13日(敬老の日)時点における100歳以上の人口は6万人(内女性87%)を超え、現役で活躍されている著名人も多くおられ、今後は“人生100年”が現実味を帯びてきています。
 昨年の国勢調査において、我が国の総人口12711万人のうち65歳以上の人口(高齢者という)は3392万人、高齢化率は26.7%となっていますが、高齢者人口は2042年にピークを迎え3878万人と推計されていて、実に2.5人に1人が65歳以上、4人に1人が75歳以上と見込まれています。しかしその頃には現在75歳以上の方の名称(後期高齢者という)・区分を含め変更になっているかもしれませんね?
 次に、平均余命について見てみましょう。果たして自分はあと何年位生きられるのでしょうか??
現在の年齢を基に10歳刻みで見ると下記の通りとなります。(注:平成26年簡易生命表より抜粋)
男性・・50歳 32.18歳、60歳 23.36歳、70歳 15.49歳、80歳 8.79歳、90歳 4.35歳
女性・・ 同 37.96歳、  同 28.68歳、 同 19.81歳、 同11.71歳、 同 5.66歳
あと何年生きられるか?おおよそ分かったものの、健康で日常生活が送れること、また現在の資産から金銭面ある程度余裕をもった生活が送れる見通しが立てば一安心です。がしかし、マイナス金利時代を迎え、将来のライフプランをもう一度再確認をしてみてはいかがでしょうか?また相続財産が気がかりであれば、専門家にご相談をお薦めします。
 それでは誰しもが一番気がかりな健康寿命ついて考えてみましょう。健康寿命の定義「健康上の大きな制限なく自立して日常生活が送れる」とは、若干の物忘れはあったとしても認知症とはかかわりなく、また日常の生活・身の回りのことが基本的に全て自分で処理できる健康体すなわち要介護状態(2015年3月時点で認定を受けた人606万人・国民の20人に1人)にないことになります。厚労省が算出する健康寿命は男性71.19歳、女性74.21歳〔係数2013年〕となっており、平均寿命とは男女ともおおよそ10歳かい離しています。
 脳も体も健康に! 平均寿命と健康寿命のギヤップ解消(平均寿命-健康寿命=限りなくゼロ歳に近づける)に向け健康の「維持・増進」をするには日頃どのようなことを心がけ・訓練・対策等が必要でしょうか? ドクター・薬剤師・各種研究家等から数多くの処方箋・提言がなされています。しかし、余りにも綿密で覚えるのも難しく、なお、更にそれらを継続してやり通すことはかなりハードルが高いです。専門家ではないですが、私が体験・実践してきて誰もがやり通すことができると思われトレーニングが、新聞にも掲載されていたことから、以下の三点を紹介しますので、心掛けて実行してはどうでしょう!!
① 体力維持:ウオーキング
② 頭の体操:数字の計算
③ 気 持 ち:ときめく心を持ち、わくわくするコミュ二ケーションを保つ
 さて、この三つのことを同時にやるには、どうすればよいか考えてみましょう。答えは簡単です。要は、毎日ウオーキングをしながら、小学生低学年のように数字の計算をし、更に仲間または顔見知りとの会話を心掛け楽しもうというものです。それではどのように実行するか解説します。
 まず、一日当たりどのくらい歩けばよいのでしょうか? 歩き過ぎから翌日に疲労感を残さないようにするには、個人差はありますが一日8.000歩ぐらいにとどめておきましょう。人の歩幅は50センチ~55センチと考えられ、距離は約4キロメートルになります。歩くときは、できれば腕を振りまた途中インターバルで早歩きをして、一キロ15分とし一時間以内としましょう。さて、脳のトレーニングとしては、歩きながら行きかう車のナンバープレートを読み取り、プラス・マイナス・掛け算・割り算して頭を使いましょう。そして、歩く仲間がいれば、気軽に会話しながら、また知り合いに会えば気軽に話しかけ社会性を持ちましょう。以上が健康増進のポイントとしてお勧めします。ただし、天候や体調が悪いときは休みましょう。
 次に、企業経営における寿命はどうでしょうか?
日本には老舗と言われる「100年企業」が世界一多く20,000社を超えています。皆さんも良くご存じの羊かんの虎屋さんは490年、宇津救命丸さんは420年、創業から年を重ねています。我が国における企業数は現在約380万社、内中小企業が99.6%を占め、企業数は毎年5万社減少しています。統計的に企業の生存率は、創業して1年後で60%、3年後38%、10年後5%、30年後0.025%と生き残るのは非常に厳しい状況で、企業経営の3資源「人」「物」「金」をいかに使いきるかが問われています。
 そのような状況にあって、国は企業における人の面からの「健康経営」を掲げその促進に力を入れています。
健康経営とは ○ 従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践する経営手法のこと
○ 従業員等の健康増進や労働衛生等への取り組みに係わる支出をコストではなく、経営的な投資として前向きにとらえること
すなわち、健康経営に取り組むことで、従業員の活力向上や生産性の向上等、組織の活性化、中長期的な業績・企業価値の向上の実現を目指すものです。親が子供の体調や健康状態を最も気にするのと同じように、企業にあって経営者は、従業員が心身とも健康で活き生き働けるようにすることが求められる。
 CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)、CFO(最高財務責任者)と同じようにCHO(チーフ・ヘルス・オフィサー、最高健康責任者)を置く企業や行政も現れています。健康経営への実践的な取り組みは、各社の固有・個別の問題解決に向け行われています。自社の課題解決に向けて、専門家や健康経営アドバイザーの協力を得て、自社の未来えいごうの発展に繋げてください。
以下に健康経営の取り組み事例〔総労働時間の削減〕を3例ご紹介します。
1.有給休暇の取得推進:経団連・公務員・他多くの企業で実施
・日本の取得率は欧米に比し低く、「3日増」を表明
2.退社から翌日の出社まで一定時間の間隔を取る仕組み「勤務間インターバル制度」を導入:KDD
他で実施
・EU(欧州連合)は1993年に制定・導入しており、休息時間は11時間確保している。
3.「朝型勤務」の導入:伊藤忠商事
・22:00~5:00の勤務禁止、5:00~8:00勤務の深夜割増の支給、朝食の無料配布
政府は「一億総活躍プラン」を掲げ、労働面の改革に向けて、奨励金・助成金の新設・拡充に努めています。新聞記事に目を配られ、また専門家にご相談いただき、それらの政策で導入できるものがあれば、積極的に活用しましょう。
 スポーツとしてのマラソン大会は一般的に42.195キロメートルをいい、一流ランナーは2時間10分を切らなければなりません(通常サブテンといいます)。アマチュアランナーは3時間を切ること(サブスリーといいます)を大目標に、頑張っています。しかし、上には上がありウルトラマラソンとして日本各地でも100キロマラソンが開催され多くの市民ランナーが自分の限界に挑戦しています。世界に目を向けると更に上があり、ギリシャのスパルスタロン(246キロメートル、制限時間36時間)が有名です。ちなみに私は53歳の時にフルマラソン3時間4分で走り、100キロマラソンを2回走破しました。
 「人生100年」また「事業継承による企業経営100年」は、まさに長い永いマラソンであり、山ありまた谷もあるかもしれませんが、【継続は力なり】最善を求めて頑張りましょう。

社会保険労務士・行政書士・AFP  若 林 富 雄