公社債・公社債投資信託の税制が変わる!とどうなるか

 

 理事 重田です。暫くお休みとなっていたブログを再開します。今後は再び月1回メンバーが

交替で執筆予定ですのでご期待ください。また、新メンバーも加入しFPみらいは新たな1歩を

踏み出そうとしています。再開第1号は最近証券会社等でしきりに宣伝されている表題の件に

ついて、変わるとどうなるのかを考えてみたいと思います。

 

主な変更内容

 1 公社債・公社債投資信託の譲渡益が課税対象(申告分離課税)となる。現在は非課税。

   (20%の申告分離課税となる、実際は復興特別所得税の負担もあるので20.315%)

     申告分離課税:他の所得とは合算せず分離して、その所得単打区で税額を計算し納税

          する制度。

  2 公社債・公社債投資の売買や償還にかかわる損益、利子や配当金が、上場株式等の譲渡損

   益や配当等と通算出来るようになる。

   また、確定申告を行うことで、損失の3年間の繰越控除が可能となる。

 3 債券・公社債投信の「特定口座」での管理が可能になる。(現在は不可)

          債券の例:国債・地方債・外国国債・外国地方債・公募公社債

          円建て債券・外貨建て債券 等

     公社債投信の例:MRF・MMF・外貨MMF・公社債投信 等

     特定口座とは:いわゆる一般の証券取引口座とは別に証券会社等に設定する口座。

           この口座の取引は証券会社等が売買損益や配当金等を計算してくれる。

           更にこのうち「源泉徴収有り」を選択すると納税手続きも証券会社等

           が行う。(利用には証券会社等への申し込みが必要)

 

 4 実施時期は1~3のいずれも平成28年1月から。

  以上が主な内容だが一番肝心なのは1・4の変更です。つまりあと半年しかない今年中に

為替益を含めた評価益が出ている(売却すれば譲渡益が出る)債券・公社債投信は売却しないと

来年1月からは売却益に対して20.315%の所得税がかかりますという訳です。

  特に筆者が点検をお勧めしたいのが外貨建て債券・投信の保有者です。この1年近くの円安によって円貨換算金額が購入時より上がっている(為替評価益が出ている)ケースが多いのではないかと思われます。為替益も売却すれば譲渡益の一部になるので保有債券・投資信託を点検してみる事

をお勧めしたいと思います。

 公社債の損益と上場株式等の損益との「損益通算」が始まる。

 これまでの現行の公社債に対する課税は以下のようにバラバラでした。

  公社債の譲渡損益・・・ 非課税(上場株式等との通算不可)

       償還差益・・・ 総合課税(累進税率適用・通算不可)

                      利子 等・・・ 源泉分離課税(20%・通算不可)

  これが平成28年1月からは 上記3つ共に 申告分離課税一本に統一される訳です。

 そして、税制の大きな流れの中で大切なのは「金融所得課税の一体化」という流れが具体化して

きたということです。(変更点の2番参照)

 これまで例えば債券の償還によって30万円の償還益があり、株式の売却で50万円の損失があっても、30万円は総合課税の対象となり株式売却損50万円と相殺・通算することはできません

でした。しかし、一般に債券・株式は金融資産の中核であり比率こそ違え多くの投資家等が保有

していることを勘案すればこの変更は大きな意味を持つことになると思われます。

                          平成27年7月 理事 重田 勉