65歳以上の方!『雇用保険マルチジョブホルダー制度』を活用しましょう!

『雇用保険制度』について
まずは、雇用保険について少しお話します。
雇用保険とは労働者の生活や雇用の安定を図るための公的保険のひとつです。保険料は、労働者と事業主で負担し、その比率は、約1:2の割合です。例えば、月額給与20万円の方ですと、労働者の保険料は、月額600円です。(2022年10月から料率が上がり、1,000円になります。)他の社会保険料ほど高くない割に、失業給付、育児介護給付、教育訓練給付・・・等有難い給付があり、労働者を支援してくれる公的保険です。
雇用保険の適用事業に雇用される労働者は、原則として、その意志にかかわらず被保険者となります。
但し、一つの事業所で、所定労働時間が週20時間以上である方でかつ同一の事業主に継続して31日以上雇用が見込まれる方が加入対象です。
つまりこのルールですと、複数の会社で働く時間を合計することで所定労働時間が、週20時間以上の勤務となる人は雇用保険の対象外です。そうなると失業給付等、様々な給付を受給することができません。

『雇用保険マルチジョブホルダー制度』
上記の雇用保険の適用要件を緩和したのが、『雇用保険マルチジョブホルダー制度』です。
複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者が、2つの事業所(各事業所における1週間の所定労働時間が、5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みを満たす場合に適用されます。

【厚労省HP「雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット」より】

『高年齢被保険者』と『マルチ高年齢被保険者』の比較
従来の雇用保険制度の要件にあてはまる労働者が65歳以上になると『高年齢被保険者』と呼ばれます。『マルチ高年齢被保険者』との相違を表にまとめてみました。

加入要件①の例示(★1補足)
いずれも1週間の所定労働時間が20時間です。労働者Aさんは、通常の雇用保険の高年齢被保険者となり、労働者Bさんは、マルチ高年齢被保険者の要件を満たします。労働者Cさんは、Y企業で週所定労働時間5時間以上の要件に合いません。労働者Dさんは、X・Y・Zの内、いずれの2つの事業所の労働時間の合計が20時間未満ですので、要件に合致しません。

手続きをするのは、労働者本人です。(★2補足)
・要件に合致しても雇用保険加入については、任意ですが、加入後の任意脱退は不可です。
・資格取得・喪失する時、労働者本人が、手続きに必要な書類を事業所に発行してもらい、書類を揃えて自分の住所管轄のハローワークへ直接赴いて手続きを行う必要があります。現段階では、電子申請は行っていません。
・本人の申出日が、資格取得日になります。遡及不可なので、要件を満たしたら迅速に手続きを済ませないと被保険者期間に応じた給付金にも影響が出ることもあります。

【厚労省HP「雇用保険マルチジョブホルダー制度の申請パンフレット」より】

◆高年齢求職者給付金の具体例(★3補足)

・手続きは、手間がかかりますが、上記の例では、雇用保険料差し引いても、1ヶ月分超の給付金が
受給できます。
・また、要件もありますが、育児・介護給付金や教育訓練給付金も受給可能です。

◆今後の『マルチジョブホルダー制度』の拡大

・この制度は、現段階では65歳以上の方が対象で試行的運用ですが、5年を目処に効果が検証されることになっていて対象者が拡大する可能性もあります。

・コロナ禍で在宅勤務やリモートワークが増え、副業・兼業への意識も高まり、『働き方改革』の一環で働き方の多様性に対応した制度です。

・厚労省でも『副業・兼業の促進に関するガイドライン』(2018年に策定、2020年9月に改定)の中で副業・兼業の場合における労働時間管理及び健康管理についてルールが明確化し、企業も労働者も健康を確保しながら安心して副業・兼業を行うことができるよう、本ガイドラインの周知を図っていくと記しています。

・厚労省HPに詳しいQ&Aがあります。積極的活用をお勧めします。

・FPとして今後のルール改正等の情報提供・手続きの助言をしていけたらと思います。

2022年7月  CFP 石黒貴子 


=介護保険制度の現状と最近の改正について=

40歳以上のすべての方が被保険者となる介護保険、制度ができて20年余が経過しました。その間3年ごとに改正されています。気になる現状と今後の見通し、最近の改正について確認してみましょう。

◆介護保険のしくみ

介護保険は、保険料を支払い介護保険に加入している「被保険者」と保険料を集めて運営を行なう「保険者」(市区町村)、そして、都道府県・市区町村の指定を受け、各種介護サービスを提供する「サービス事業者」の三者が担うことで成り立っています。

http://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf

介護保険の運営にかかる費用は、公費(国庫負担金、都道府県負担金、市町村負担金)と、40歳以上の方々が納める介護保険料で支えられています。40歳以上64歳までの方を第2号被保険者、65歳以上の方を第1号被保険者と呼んでいます。第1号被保険者の保険料は、本人または世帯の所得と年金額によって変わり、市区町村の定める基準額に保険料率を乗じて算出され、生涯払い続けます。第2号被保険者の保険料は国民健康保険と協会けんぽ等の健康保険のどちらに加入しているかで異なります。お勤めの方は、半分を事業主が負担し、残り半分を本人が支払います。

https://www.mhlw.go.jp/content/000801559.pdf

この20年間で、介護サービスは高齢者の生活の中に定着し、発展してきました。厚生労働省老健局集計によると、第一号被保険者数が2,165万人⇒3,558万人と1.6倍の増加に対して、介護保険サービス利用者数は149万人⇒494万人と、3.3倍に増加しています。

サービス利用者の増加等により、上の棒グラフのとおり、介護保険費用も年々増加しています。また、65歳以上が支払う全国平均の保険料(第1号保険料)の増加の様子が上の四角い図で示されていますが、平成12年度の2,911円⇒令和2年度には6,014円に増加しています。(この図にはありませんが第2号被保険者が支払う保険料の平均額も、平成12年度の2,075円⇒令和2年度には5,669円になり同様に増加が続いています。)

今後の見通し

今後、65歳以上の高齢者は、2042年頃には3,878万人でピークを迎えると予測されています。一方、介護保険料を負担する40歳以上の人口は、2000年に6,575万人⇒2020年に7,587万人と増加してきましたが、人口構造の推移に伴い、2021年をピークに減少する見込みです。高齢者の増加と現役世代の減少というダブルパンチで先行きは厳しい状況です。介護サービス利用料設定の基になっている介護報酬についても、介護職員の処遇やサービス事業者の経営状況等をふまえ、今後も3年に1度のペースで見直しが予定されています。一方、介護職員の負担軽減の為、ICTを活用したデータ管理や情報共有も認められました。介護ケアの質の向上や、利用者の満足に結びつく事が狙いです。更に介護ロボットの開発も進められています。

2021年の改正の1つ「高額介護サービス費の上限引き上げ」について

介護保険は一定の年齢になれば申請書類が届くといったものではなく、介護が必要となった時に、市町村窓口に申請し、要介護度の「認定」を受けてはじめて、利用できるサービスが決定します。サービス利用時には、利用料の1~3割を自己負担します(自己負担割合は、年金などを合わせた単身または夫婦世帯の所得に応じて決まります)。また、要介護度に応じて、1カ月の利用限度額が設定されており、上限を超えた部分は全額自己負担となります。

但し、この自己負担額(月額)にも上限が設定されており、上限を超えた場合に払い戻しをしてくれます。この仕組みが「高額介護サービス費」です。2021年8月、下の図のように、高所得者の区分を新設し、改正前に44,400円だった世帯の負担上限月額が、最大140,100円に改正されました。これは、健康保険の「高額療養費制度」をふまえて設定されており、その上限額と同額になっています。

https://www.mhlw.go.jp/content/000334526.pdf

◆自己負担上限額について気になるポイント

介護が必要な高齢者は、年金だけが収入源という方がほとんどですが、自己負担額は世帯の所得により区分されます。たとえば現役で働いている子ども世帯と同居している場合などは、世帯所得が高いため、自己負担額が多い区分に入る事になります。この自己負担を(条件により自己負担割合も)抑えるため、世帯分離をする方法がありますが、高額の介護施設に入所する場合などは、親世帯の介護費用が大きく軽減できる反面、国民健康保険加入の世帯の場合などは、各世帯主がそれぞれ保険料を支払う事になり、かえって負担増となるケースもあります。個々の状況により異なります。また、条件により世帯分離が認められていない自治体もありますので、ご検討される際は十分な確認が必要です。(世帯分離とは:同居のまま、住民票の世帯を分ける事)

◆おわりに

介護にかかる費用は、個々により様々で一概に言えませんが、生命保険文化センターの2021年度調査によると、平均月額8.3万円(自己負担費用を含む)、介護期間は平均5年1ヶ月とあります。その他に一時的な費用(住宅改造や介護ベッドの購入費等)が平均74万円です。合計でおよそ580万円余り…貯蓄・保険・資産運用等、自分に合った方法で準備したいですね。

また、高齢者の方の生活上、気になる様子がある時には、早い段階でお住まいの地域の「地域包括支援センター」に相談してみましょう。相談は介護以外にも幅広く対応してくれます。医療・福祉機関やボランティア等と連携を図った支援や、通いの場(体操・茶話会・趣味活動)等に参加する事で介護予防に繋がります。

2022年6月
CFP 依田いずみ

退職金の受け取り方 

 退職金は、退職手当・退職慰労金とも呼ばれることがあるが、会社を退職する時に支給 される、まとまった金額のお金である。
 近年、下図に示すように定年退職時の退職金給付額は減少傾向にあるが、サラリーマンにとっては、 老後の生活資金やローン返済など、定年後のライフプランについての重要なものに変わりは無い。
定年退職時期が近づくと、貰える金額が気に掛かるものだ。

出典 日本FP協会 FP実務の基本データ集より

会社の人事課等の関係部署へ聞くと教えてもらえるので、事前に金額を把握して置くことをお勧めする。
退職金制度は、会社によって異なる部分もある。
最近では、現金のみの給付だけではなく企業型確定拠出年金と組合せでの給付も増えてきた。

ここでは、退縮金の種類(中身)を議論するのではなく、退職金の受け取り方について 考えてみたい。退職金の受け取り方は、概ね次の3つに分かれる。
(ここでは現金として給付される退職金を議論する。)
1)一括で受け取る方法(以下、『一時金払い』と呼ぶ)
2)分割で受け取る方法(以下、『年金払い』と呼ぶ)
3)一時金払いと年金払いの併用
「受け取り方が違うだけで、退職金総額は変わらないんじゃない?」と思われる方も いらっしゃるかも分からない。何が違うのか?第一の違いは退職金に掛かる税金が変わる のである。
 次に、それぞれの受け取り方に対して退職金に掛かる税金の仕組みを見てみよう。
1)一時金払いの場合
 退職金は、サラリーマンの老後の生活資金であることや給料の後払い的性格であることを国も理解しており、通常の税金計算とは異なった方法を適用する。
 その特徴を以下に説明する。
a.分離課税であること
 まず退職金は、その年の給料等の他の収入とは切り離して税金を計算する「分離課税」 となる。つまり一時金で受け取った退職金は、その金額に対してのみ税金を計算し、 他の所得とは合算しない。
b. 退職所得控除が特別
 『永年のお勤め、ご苦労様でした』と言わんばかりに、退職一時金は退職所得控除という優遇処置がとられている。
 退職所得控除額は、何年勤めたか(勤続年数)で計算が異なり;

  • 勤続20年以下の場合:40万円×勤続年数
  • 勤続20年超えの場合:800万円+70万円×(勤続年数-20年)
      
    数式だけではピンと来ないので、具体的な勤続年数で計算してみる。 
      大学を22歳で卒業し、一つの会社に定年退職(60歳)まで勤務した(勤続年数38年)
     と仮定すると:
      退職所得控除額= 800万円+70万円×(38年-20年)
             = 800万円+1,260万円
             = 2,060万円                                   

となり、退職金が2,060万円までは税金がゼロとなる!これは、普通2,000万円に
対する贈与税が数百万になるのと比較して、破格の扱いと言えるだろう。
また税金を計算する際は、退職所得控除後の金額に1/2を掛けた金額を用いる。
税金はさらに低くなる。すなわち;
 課税金額=(退職金-退職所得控除額)× 1/2
一時金払いの場合、二重の意味で課税軽減処置が取られている。

2)年金払いの場合
 年金払いの場合は、金額に応じて公的年金等控除はあるが、目立った課税軽減処置は無い。
 控除額を超えた分は、他の公的年金と同様に雑所得として毎年所得税・住民税の課税対象となる。
また、国民健康保険や介護保険等の保険料は所得に応じて算出されるため、退職金と言えども、 年金払いで所得が増えることで、一時金で受け取った場合よりも保険料の負担が重くなる場合がある。
とここまで書くと、一時金払いの方が断然得じゃないかと思われる方も多いだろう。
世間一般に退職金の受け取り方に関する記事には、一時金受取りを勧める内容が多く見られるのも事実である。
 退職金に掛かる税金については前に述べた通り、確かに一時金払いの方が優遇処置が勝っている。
 では次に、それぞれのメリット・デメリット(考慮すべき点)を考えてみよう。
A.一時金払いのメリット・デメリット
 メリットは、前に述べた税金面である。一方、デメリットと言っては言い過ぎかも分からないが、 考慮すべき点として、一時にまとまった現金が入るので、気が大きくなり 高額なものを購入したり、豪華な海外旅行に夫婦揃って行ったりすることがある。
 これも、長年働いた自分へのご褒美と考えれば、あながち方向違いとは言えまい。
 また、退職金を老後の資金として考える際には、まとまったお金の運用を自分で考える必要がある。
超低金利の今日、銀行に貯金して置くだけでは利息は物価上昇に追い付かず、
目減りしてしまう。とは言え、今まで投資とは無縁の生活をしてきた方が、急に焦って投資に走ると、金融機関の担当者の言うがままにお金を投資・・・、とは良く聞く話である。
上記の考慮すべき点は、制度上こうであると言うのではなく、全て本人の気持ち(考え方)であると言えよう。
B.年金払いのメリット・デメリット
考慮すべき点は、税金面である。一方、際立ったメリットとは言い難いが、年金生活で毎月 決まったお金が入ってくるのは、安心な気分となるのは事実だろう。また会社に退職金を 運用してもらえるのはメリットと言えないことは無い。
(最近、生命保険会社の年金運用利率の引き下げ報道が目立つが)
前述の国民健康保険や介護保険等の保険料を軽減する手段として、年金払いの退職金を 受け取りながら社会保険(健康保険・厚生年金)に加入して働く方法がある。 健康保険料は給料収入だけに掛かり、しかも半分は会社が負担してくれる。
国民健康保険料を自分で納めるより、負担が軽減されるという訳だ。
 退職金を一時金で受け取るか、年金払いで受け取るかの正解は無い。
ただ言えることは、自分自身で受取方法を決めなければならないので、 選択する際のルールまたは仕組みは少なくとも知った上で、決めたい。長年働いた結果の退職金なので、 後悔しないようにしたいものである。

CFP 前川敏郎

知識<行動

このブログはFPみらいメンバーが交代で執筆し毎月更新しているものです。前回の私の担当 は「Die with zero」(ゼロで死ぬ・ビル・ハーキンス著)の主張を基に、日頃あまり目にしない「お金の貯め方ではなく、使い切り方」を学び人生を豊かにする知恵を紹介しました。
 今回はお金についての普遍的な真実や知恵が分かりやすく説かれている本として2020年に発行され全世界で約1年に70万部のベストセラーとなった「The Psychology of Money:timeless lessons on wealth,greed,and happiness」(富、欲望、幸福についての普遍的な教訓・著者モーガン・ハウセル)を基に賢くお金と付き合う考え方を学んでみたいと思います。
 著者の根源的な主張は「お金とうまく付き合うには頭の良さより、行動が大切だ」というものですが、以下その主張を見てゆきたいと思います。
なぜ地味な男性清掃員が800万ドル(円貨、120円として960百万円)の資産を残せたか?
 本書の冒頭に紹介されているのがアメリカのバーモント州の田舎で生まれたロナルド・ジェームズ・リードという人物である。彼は高校を卒業後ガソリンスタンドで接客と自動車整備の仕事を25年勤め、その後は百貨店JCペニーの清掃員として17年間パートタイムで働いた。彼の友人たちは彼について「特筆すべきものはなにもない、彼の一番の趣味は薪割りだった。」と語った。
 しかし、彼が2014年92歳で亡くなった時、彼の死は国際的なニュースとなった。彼は遺書に「義理の子供たちに200万ドルを与え、地元の病院と図書館に600万ドル以上を寄付する」と書いていたのだ。彼は宝くじに当たったわけでもないし、親からの遺産をもらったわけでもなかった。彼は若いときから節約してお金を貯め、それを優良株に投資していただけだった。数十年が経過し、小さな投資額は複利効果で800万ドル以上に膨れ上がっていただけだった。そして、パートタイムの清掃員リードは莫大な遺産を寄付する慈善家となった。


再び 知識<行動
なぜファイナンス・投資の世界では清掃員のリードがトップエリートに負けない成果を出し得るのか?理由の1つは経済的な成果は知性や努力とは無関係の「運」に左右される部分が大きいからだ、と著者は言う。2つ目の理由は経済的な成功はハードサイエンス(物理・数学等)では得られないというもの。経済的な成功は「何を知っているかよりも。どう振舞うかが重要なソフトスキルの問題だ」という。そして彼はこのソフトスキルを「サイコロジー・オブ・マネー」(お金の心理学)と呼んで本のタイトルにしている。


複利の魔法
 「ウオーレン・バフェット氏の純資産の95%以上は彼が65歳以降に得られたもの」という驚き。彼のバークシャー・ハザウエイ社を率いる「投資の神様」と言われるウオーレン・バフェット氏の純資産は2021年時点で845億ドルと言われているが、その内842億ドルは彼が50歳の誕生日を迎えた以降に増えたもの、だという。類まれな投資家と言われる彼だが、彼の経済的な成功の秘密は若いころに経済的基盤を築き、長期間にわたって投資し続けたことにある。その成功の最大の要因は“時間”だったという。将に複利の力が彼を投資の神様に押し上げた。


自由
 “お金から得られる最高の配当とは、「時間」をコントロールできるようになること” 
確かに私も思う。「蓄えが増えるごとに、人は周りの都合に左右されることなく、自律的に生きられるようになってゆく。」そして、現代人は豊かさと引き換えに何かを失ってきた。それが時間だと思う。著書の中でハウセルは老年学者カール・ピレマーの著書「1,000人のお年寄りに聞いた30の知恵」を紹介している。その中で「長い人生経験から学んだ最も重要な教訓は何か」というアンケート結果を紹介している。その結果は、「1,000人の内誰1人としてもっとお金を稼げば良かったという人はいなかった。誰1人として周りの人と同じくらい裕福になりたいと言った人はいなかった。彼らが大切にしていたのは、温かな友情、高貴で大きな目的のための活動への参加、子供たちとゆったり過ごす充実した時間等だった。」と紹介している。
 モノではなく、時間こそが人生を幸せに導く!人生の先輩の言葉は重く響きました。


「目的のない貯蓄」が最大の価値を生む
 私たちは人生で必要な各イベントの為に目的をもって貯蓄に励んでいる。それは住宅や車そして老後等のためにである。しかし、著者は目的が無くても貯蓄すべきだという。それは予期せぬ出来事・リスクに対する備えになるからという。目的のない貯蓄がをすれば選択肢と柔軟性が手に入る。貯蓄があれば待つときはじっと待てる。考える時間も作れる。自分の意志で人生を軌道修正できるという。この辺になるとそうは言ってもそんな余裕はないよという反論も聞こえてきそうな気がする。しかし著者は 貯金=収入−エゴ(見栄) という考え方をしているようなので、
我々も再度生活を見直しして、見栄の為に車を変えたり、家具を揃えたりしていないか等見直しの必要はあると思います。
 以上、「お金の心理学」の1部を紹介しましたが、この他にも著者は面白い事を言っています。例えば、本当に富を蓄えている人の姿は見えにくく、リッチそうに振る舞う人の姿は目立つ。
そして、死後に莫大な資産を残したリードも生前は誰にも注目されることは無かった。このように富のように目にするのが難しいもののロールモデル(お手本となる人物)を見つけることは至難の業であるとも言えます。
 最後に本書の中でキーワードになっていたのが、投資における「複利効果」です。かのウオーレン・バフェット氏の莫大な資産のほとんどがこの効果のお陰であったという事実は衝撃的でありました。我々も投資の配当を生活やお小遣いに使ってしまわずに、再投資してこの効果の恩恵を受けられるように頑張りましょう!
                          CFP  重田 勉

コロナ(2020年)以降の暮らしの変化

~ 山田昌弘著 「新型格差社会」を読んで ~

早いもので、マスク生活も3年目となりました。

この間、私たちの生活は様変わりをしました。

①リモートワークで家にいる時間が増えることによって夫婦関係がうまくいかなくなったり②コロナに影響を受ける職種で収入がダウンしたり③そもそも出歩くことに規制がかかり出会いが減って婚姻数が減少④コロナ禍の出産リスクから出生数減少など・・・。

今回山田氏の「新型格差社会」を読んで、FPとしても納得する部分がありましたので共有したいと思います。

 

日本の年金制度はご存じの通り昭和の「働く夫」「家事で支える妻」「23人の子ども」がモデルケースとなっており、3号被保険者、遺族年金など「家族を持った人」に手厚くできています。

現在ではこの「モデルケースの家族」は崩れています。「自分の年金は自分で守る」必要からパート勤めも厚生年金加入になるケースが増えていきますし、確定拠出年金もほとんどの人が加入していく世の中になっていくのではないかと思われます。

この崩れは1990年に、1989年の※合計特殊出生率が1.57と判明した時顕著となりました。夫一人の収入では、妻子を養いながら中流生活を送れないと判明したのです。

その結果共働きが加速し、「若者の14は生涯未婚」、そして「結婚した人の13は一度は離婚する」という現実となりました。

※合計特殊出生率:1549歳までの女子の年齢別出生率を合計したもので、1人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する

 

みなさんの家族や周りでもこの数字は納得ではないでしょうか?

ここでは様変わりした①~④を具体的に見ていきたいと思います。

 

①夫婦関係が可視化される

令和になってからのコロナ禍では「主に夫の収入で中流生活を維持する」という戦後型家族が限界点にきています。

かつては、夫は稼いで家族の生活を支えることが妻への愛情、妻は家事をしてあげることが夫への愛情ということで「愛情の役割分業」ができていて、双方にメリットがある限り関係は継続。特に高齢になればなるほど夫の死亡後の「遺族年金」がちらつき、離婚できずにいる夫婦がかなりいるようです。

しかし、平成に入り共働きが増え、さらにコロナ禍では夫婦が一緒にいる時間が長くなり、人間同士のリアルなコミュニケーションを基にした夫婦関係が求められるようになりました。

家庭内に居場所のない夫にとって女性とコミュニケーションができる貴重な場「キャバクラ」や「スナック」が利用できないことや友達とランチをしながら夫の悪口を言うのが息抜きになっていた妻も辛い。イライラがDVや離婚の引き金にもなるようです。

 

②収入ダウン

夫がサラリーマンをして安定した雇用についている家庭でも、ギリギリの水準で生活を続けている世帯は少なくありません。40代の夫が残業代合わせて手取り30万円、住宅ローン10万円、残りの20万円で4人家族が生活。年2回のボーナスを利用して車のローンを払い、中学生の子どもの塾代は妻のパートで得たお金を充てる。

・・・この家庭がコロナ禍で夫の収入が減ったら、一気に隠れ貧困世帯から本当の貧困世帯になってしまう可能性もあります。

 

③婚姻数減少の原因

結婚を控えたカップルが、式場での感染を恐れて結婚の日取りを先延ばしにしたということもありましょう。それ以上にコロナ禍による経済的影響により、一方もしくは双方の収入が減少し、結婚後の経済的生活に関して見通しが立たなくなった。結婚に至る出会いが減少、婚活パーティ中止など。また、女性は男性に経済的条件を厳しく求める傾向が強くなりました。

 

④出生数の減少

コロナに感染する可能性がある。

十分な医療が受けられるか不安。里帰り出産や立ち会い出産が不可能。

子どもの養育費など将来の生活の見通しがつかない。

日本人の結婚数のうち25%(沖縄では40%)ができちゃった結婚である。そのため、コロナによる移動の制限で出会いの機会が減ったことで妊娠を契機とする結婚も大幅に減る。

 

個人的には、上記太字部分が衝撃的でした。

家計相談でも②は頷けるものでした。

そして、これからの夫婦は本当の愛情がなければ続かなそうです。

 

佐藤が所属している団体で、8/27に山田氏をお迎えしてzoom講演会を企画しています。

ご興味のある方は、FPみらいHP「その他問い合わせ」で佐藤までご連絡下さい。

CFP  佐藤 広子

暗号資産(仮想通貨)とは

今回は、暗号資産(仮想通貨)についてブログを書きたいと思います。

興味はあるけど、どんなものかわからないので、手を出したことが無いといった声をよく耳にします。
ではどのようなものなのでしょうか?

日本銀行のホームページによると上記の(1)・(2)・(3)と定義されています。

発行体が国である法定通貨ではなく電子的に記録され、移転でき不特定多数の者に
対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米ドル等)と相互に
交換できる通貨という事になります。

暗号資産の初期の歴史は、以下の様になります。

2008年11月 サトシ ナカモト名義で論文が発表
          P2P(ピア・ツー・ピア)技術を駆使した通貨のアイデアを披露
2009年1月  ビットコインが初めて譲渡される

2010年5月 ビットコインでピザが買われる
         ピザ2枚(25ドル)を10,000BTCで購入

暗号資産の歴史は、まだ13年しか経過していませんが、暗号資産(仮想通貨)を
聞いたことが無いという人は少なくなりました。

またエルサルバドルの様に、ビットコインを法定通貨とするような国が出てきています。

日本では、世界で初めて仮想通貨に対する法律を整え、税制上の取り扱いも世界に
先駆けて規制を設けました。
裏を返せば、自由度が少なく、取引所に対する投資家保護の規制は高いと言われています。

では暗号資産(仮想通貨)投資の特徴について見ていきましょう。

① ボラティリティが高い
価格変動が激しく、リスクが高い

② 保証がされていない
取引所の倒産リスクも考慮が必要

③ 発行量に上限がある
ビットコインは、2100万BTCが上限

④ 税金が場合によっては高額に

(給与所得者の場合)
仮想通貨投資で、利益が年間20万円超になると、原則税務署へ申告が必要となります。
仮想通貨の税金は、住民税と合わせると最大55%とかなり高くなります。

⑤ 通常の分析・予想が通用しにくい

株式やFXの様に既存の分析が通用しない部分がある

様々な特徴をおさえた上で、ポートフォリオに組み込んでみるのも・・・
投資は、自己責任で!

次に実際に投資をスタートする方法をご案内します。

① 取引所を選ぶ

10社以上ある仮想取引所の中から取り扱い仮想通貨の種類や取引手数料
出金手数料など取引所によってさまざまなので比較していただく事をおすすめ
します。

② 口座を開設

開設には次のものが必要になります。

・本人確認書
・スマートフォンまたはPC
・メールアドレス

③ 指定の口座に入金

④ 取扱い通貨を分析し、購入

指値注文または成行注文で購入

基本は値が上がったら売るだけ、株式投資の様にインカムゲインはありません。

公式サイト・公式SNS・公式チャットで情報収集できます。

まとめ
暗号資産の今後は、以下の理由から期待できます。

・使用できる場所が増えている事(決済手段)
・分散型アプリ等の技術活用(プラットフォームとしての価値)
・インフレへの対策(インフレヘッジ)

前にも述べましたが、暗号資産は、投機的な要素が強いので、慎重に検討する必要があります。
いつでも投資出来る様、取引所の口座開設をしておいてはいかがでしょうか?


CFP 児美川 崇弘
                                   

つみたてNISAのおさらいと制度改正

つみたてNISAは「積立による長期投資を強く後押ししよう」と2017年の税制改正により創設され、2018年から開始されました。今年は5年目となります。なぜ、投資信託を長期に積み立てる投資を勧めるのか?それは
このグラフをご覧ください。

これは、資産・地域を分散して積立投資を行った場合の運用成果の実績です。

上が5年。下が20年の保有期間した時の出現頻度を運用成果年率別にあらわしたものです。黒い線から右は利益、左は損失いわゆる元本割れが発生していることをあらわしたグラフです。
ポイントはここです。(赤丸部分)
保有期間5年では、元本割れ(損すること)がこの確率で発生します。
それが、保有期間20年では なくなっています。
投資信託(商品の分散)を長期間、積立投資続けると、運用益が次から次に原資となり、まるで雪だるまをころがすみたいな複利効果で資産が大きくなり、さらに、価格変動リスクがドル・コスト平均法(時間の分散)の効果で小さくなり、その結果、元本割れする可能性が低くなるのです。投資による、安定した収益が期待できます。 2018年の当初よりつみたてNISAを利用した人のなかには、そろそろ長期投資の手ごたえを感じはじめている人もいるのでないでしょうか?
さらに、つみたてNISA は対象商品が金融庁により厳選されています。約6000本もの商品から長期の積立・分散投資に適した一定の投資商品を選定しています。
その投資信託(ETFを除く)の選定要件は、以下の通りです。
なお、文中のインデックス型とアクティブ型については、昨年(2021年)3月の筆者ブログ「な~んだ、そうなんだ!納得のつみたて術(投資信託の運用の巻)」を参照ください。
投資信託の選定要件とは
①投資対象
・主な投資対象に株式を含むこと
・ヘッジ目的の場合等を除き、デリバティブ取引による運用を行っていないこと
インデックス型は加えて、指定されたインデックスに連動していること
②手数料
・販売手数料:ゼロ(解約手数料、口座管理手数料についてもゼロ)
・信託報酬:
インデックス型は国内資産を対象とするもので0.5%以下(税抜)、海外資産を対象とするもので0.75%以下(税抜)
アクティブ型は国内資産を対象とするもので1.0%以下(税抜)、海外資産を対象とするもので1.5%以下(税抜)
③運用方針・実績
・信託契約期間が無期限又は20年以上であること
・分配頻度が毎月でないこと
アクティブ型は加えて
・純資産総額が50億円以上であること
・信託設定以降、5年以上経過していること
・信託の計算期間のうち、資金流入超の回数が2/3以上であること
④情報提供・その他
・受益者ごとの信託報酬等の概算値が通知されること
・金融庁へ届出がされていること

分散投資されていて 、手数料が安くて、運用が安定している」投資信託だけが選ばれています。

年々、選定された商品が増加しています。くわしくは、金融庁のホームページ「NISA特設ウェブサイトのつみたてNISAの対象商品」へアクセスしてください。

つみたてNISA の忘れていけない大事なもう一つのポイントは「非課税制度」であることです。20年間は普通分配と売却時の運用益に税がかかりません。

下図の縦軸は「つみたてNISA 投資可能期間(2018~2037年)」をわかりりやすくしたものです。2018年から始めると2037年まで20年間毎年積立が可能です。皆さまもお気づきでしょう。これだと翌年(2019年)以降から始められた方は期限が2037年までだから、19、18,17年と投資可能期間が短くなっていきます。そこで今回の改正(2024年以降実施予定)です。制度期限(2037年)を5年間延長することになりました。2023年までに開始すると20年間は積立投資が優に可能です。また、成年年齢が18歳になることで、2023年1月1日時点で18歳以上の人はNISA口座開設が可能で、非課税枠が利用できるようになります。

私達の「つみたてNISA」はこのように社会の変化に伴って、使い勝手が益々よくなってきています。まさに、鬼に金棒、鎧兜の資産運用です。使わないともったいない制度です。是非、ご活用ください。ただし、投資は元本保証はありません。積み立て投資は長いお付き合いとなりますので、よく吟味し、自分の責任で判断し、商品を選択されてください。

楠本智子 CFP認定者(ファイナンシャル・プランナー)

2022年1月10日

人生100年時代 アーリーリタイアに必要な資金を年齢階層別に考えてみる

サントリーホールデイングの新浪社長が45歳定年制の導入を提言し物議を醸しだしています。

日本人の平均寿命は毎年伸続け、2020年現在で女性は87.7歳、男性は81.6歳、また女性の4人に1人は95歳まで生きる時代になっています。また100歳以上の高齢者は30年前より50倍も増えるなど、100歳迄生きることが当たり前の時代になりつつあります。

人生100年時代に向けて、企業の要請か自主的かは別として早期の退職が現実的かを年齢階層別に退職後に必要となる資金の観点から考えてみます。

総務省の家計調査報告(2019年)の「世帯主の年齢階級別1世帯当たり1か月間の収入と支出」(出所1)及び「二人以上の世帯のうち高齢無職世帯の家計収支」の収入と生活費のデータを使用して、人生100年を過ごすにあたり退職時に必要となる金額を65歳から公的年金を受給することを前提にミュレーションしてみました。

ミュレーションの条件:

1.勤務の継続

 ①  退職後は全く勤務しない(フルリタイア)

 ② 退職後は半分の給与で, 厚生年金に加入しながら64歳迄勤務を継続(セミリタイア)

2.生活費

 ① 退職後も従来の生活費のレベルを維持

 ② 退職後は基本生活費を10%低減

3.退職時の金融資産の運用

 ① 保有する金融資金を運用せずに生活費に取崩し

 ② 保有する金融資産を年率3%で運用しながら生活費に取崩し

図2は人生100年を過ごすにあたり退職時に必要となる資金を退職時年齢35歳、40歳、45歳、50歳、55歳の場合についてシミュレーションした結果です。35歳でフルリタイアし生活費も削減せずまた金融資産の運用もせずに取り崩していった場合、退職時に必要となる金額は1.8億円にもなります。 退職の形態をセミリタイアとし退職時の金融資産を運用しながら取り崩す場合は退職時に必要な金額は約5分の1の35百万円迄下がる結果となります。

退職時の年齢が高くなるにつれ、厚生年金の加入期間が長くなり受給する年金額も増えるため退職時に必要となる資金も下がることに加え、フルリタイアとセミリタイア間や資産運用の有無・生活費削減の有無による必要資金の差も小さくなります。

55歳退職では、退職時に必要となる資金はフルリタイアの場合で39~47百万円、セミリタイアでは9~13百万円となります。

図3はフルリタイアで生活費の削減や退職後の資産運用を行わない場合の金融資産残高の推移です。45歳でセミリタイアし 退職後の資産運用を行う場合についても加えています。

図4は、22歳で勤務を開始する条件で退職時に必要となる資金を確保するために必要な年間積立額をシミュレーションした結果です。

35歳でフルリタイアする場合、退職までの13年間で必要な年間積立額は1,374万円にもなります。34歳以下の世帯主の年間給与収入が460万円程(出所1のデータ)であることから、給与収入だけでは実現不可能な積立額となります。

総務省の家計調査報告によれば給与収入(手取額)の2~3割を預貯金に回していますが、図5は給与収入(手取額)の2割程度に相当する100万円を退職時まで毎年積立し運用し運用した場合、退職時に必要な資金を確保するために必要となる運用利回りをシミュレーションした結果です。

35歳でフルリタイアする場合に必要となる1.8億円を勤務開始から退職までの13年間積立し運用により確保するために必要な運用利回りは年利で34%、セミリタイアの場合でも81百万円の資金確保に必要な運用利回りは年利25%で実現可能な数値ではありません。 

退職時年齢が45歳の場合は、勤務開始から退職までの期間が23年間あるため、退職時に必要な金額を確保するために必要な年間リターンは、セミリタイアで退職時に資金を運用しながら取り崩す場合、必要となる積立金の運用利回りは年利で0.4%まで下がります。

今年4月から70歳までの雇用が企業の努力義務になるなど雇用の延長が進む中ですが、45歳以上を対象に早期・希望退職募集が高水準で推移しています。産業構造の転換により、一企業内で従来の経験や知識が生かすことが困難な状況も出てきている中、好むと好まざるとにかかわらず会社を早期に退職する事態が今後増えてゆくことが予想されます。

退職後の経済的な自立を実現するため早い段階から目的をもって貯蓄を行うことに加え資産運用の知識を身に着けておくことが増々重要になります。

45歳であれば、今までの会社を退職し新しい仕事に取り組む際の知力・体力にまだ余裕があることや退職後に自由時間の多い生活を送る事も資金的に可能になり45歳は人生100年時代の節目の年齢といえます。

CFP 岩船康則 

老後2,000万問題、実はもう無くなっている?

2年前に騒がれた2,000万問題、当時足りないといわれた2,000万ですが、逆に最新のデータで同様に計算すると足りないどころか、逆に余る状況です。 それでは、なぜそうなったのかを順にみていきましょう。

そもそも老後2,000万不足というのは、令和元年6月に公表された金融審議会  市場ワーキング・グループ報告書「高齢社会における資産形成・管理」の報告書が発端でした。

この報告書では、高齢社会においてどのように資産形成・管理すべきかとの報告書ですが、その報告書の中の一部のみを取り上げて問題視したものです。 それは、報告書の内容の該当箇所を抜粋すると

————————これより報告書の抜粋————————–

(1)長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要

前述のとおり、夫 65歳以上、妻 60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では 毎月の不足額の平均は約5万円であり、まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1,300 万円~2,000 万円になる。

——————————抜粋おわり——————————

詳しくみてみると

・ 実収入:20万9,198円(うち社会保障給付:19万1,880円・91.8%)
・ 実支出:26万3,717円(消費支出※:23万5,477円、非消費支出※:2万8,240円)
実収入-総支出=▲5万4,519円(毎月の生活費の不足)
▲5万4,519円×12ヶ月×30年=1,963万 約2,000万
このデータ2017年の総務省の家計調査データです。
この数字っていつも同じなのでしょうか?
その後のデータを見ると、次のようになります。

2018年は同条件で実収入222,834円実支出264,607円で▲4,1873円
2019年は同様に実収入237,659円実支出270,929円で▲3,3270円
2020年でみると同様に実収入257,763円実支出259,304円で▲1,541円
▲1541円×12ヶ月×30年=▲55万

ということで、最新のデータでみると、2,000万問題じゃなく55万不足で、問題にならない数字ということになります。

さらに上記データは、すべて夫65歳以上妻60歳以上夫婦のみの無職世帯のデータですが、2020年のデータは夫婦65歳以上で無職世帯のデータも開示されています。

そのデータがこちらです。

これを見ると実収入256,660円実支出255,550円で毎月1110円のプラスということで、2,000万不足するどころか、逆に余るということに。

でも、これは、新型コロナということで一人10万の補助金があったり、外出自粛で旅行、外食費などが減少したりとかの影響も大きそうです。

もともと、2年前の報告書でも述べられてますが、「この金額はあくまで平均の不足額から導きだしたものであり、不足額は各々の収入・支 出の状況やライフスタイル等によって大きく異なる。」とあるように、平均の数字ではなく、ご自身の立場で老後の生活設計をしてみることが大事です。

不安がある方は一度、ファイナンシャルプランナーに相談して、将来のキャッシュフォロー表を作ってもらってはいかがでしょうか

                            CFP 磯野正美

育休・産休中は、税制上の『扶養』に入れるかも

 近年、共働き世帯数が増加しており、「妻がフルタイム」「妻がパート」で一定額以上の収入がある場合、『扶養に入る』ことが出来ず『扶養』に縁がないと思われていた方、必見です。
女性の社会進出、男性の育児・家事参加、働くことに対する意識が変化し、産休・育休支援制度の充実を背景に出産・育児で退職するのでなく休暇後に職場復帰する傾向にあります。
産休・育休中の収入が減少した場合は、要件を満たせば、配偶者の『扶養』に入ることできて、配偶者の税金を減らすことができたり、保育料が安くなったり、企業にもよりますが、「扶養手当」なんておまけがついてくるかもしれません。というお話です。

◆そもそも『扶養』って?

・「扶養に入る」の『扶養』には、社会保険上の『扶養』と税制上の『扶養』の2種類あります。

  • 社会保険上の『扶養』

健康保険では、「被扶養者」、厚生年金では、国民年金の「第3号被保険者」という扱いになり、夫の保険料で自分の健康保険料や年金がカバー出来ます。産休・育休の前に自分で社会保険に加入していた場合、事前に申請をすると産休・育休中の社会保険料は免除で、自分の健康保険や厚生年金に加入し続けることができるので、改めて夫の扶養に入る必要はありません。

  • 税制上の『扶養』

共働きで各々に収入がある場合、それぞれの給与から税金が徴収されますが、一方の収入が一定金額以下の場合、もう一方の収入から控除を受けることができます。「配偶者控除」と「配偶者特別控除」です。この控除により、扶養している人の所得税や住民税等が軽減されます。

この2つの扶養は要件も異なり、制度としては全くの別物です。

今回お話するのは、産休・育休による収入減少で受けられるのは②の税制上の『扶養』です。

  (以下、納税者を「夫」、配偶者を「妻」と想定して話を進めます。)

◆税制上の扶養に入るための要件

・「配偶者控除」あるいは「配偶者特別控除」を受けることの出来る控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、①から④のすべての要件に当てはまることが必要です。

≪要件≫

  • 民法の規定による配偶者であり、(内縁関係は該当せず)納税者と生計を一にしていること
  • 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないことまたは白色申告者の事業専従者でないこと(専従者給与、専従者控除が受けられるため)
  • 合計所得金額が133万円以下であること
  • 納税者の合計所得金額が1,000万円以下であること

「配偶者控除」「配偶者特別控除」の違いは、下記の通りで、いずれかを受けることができます。

「配偶者控除」・・・合計所得金額が48万円以下。控除額は、38万円ですが、配偶者の年齢によって控除額が異なり、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の場合、控除額は、48万円。

「配偶者特別控除」・・・合計所得金額が、48万円超133万円以下。所得に応じて控除額が異なる。

◇控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額及び配偶者の合計所得金額に応じて次の表のようになります。

・A、B、Cさんは、2020年は、フルタイム勤務で税制上の『扶養』から外れていました。
・2021年中に、3名とも出産し、出産・育児休暇を取得しました。
・出産月の違いで、2021年の給与所得が異なり、A・Bさんは、『扶養』に入りAさんは、配偶者控除を受け、Bさんは、配偶者特別控除を受け、それぞれ夫の税額が、軽減されました。Cさんは、所得が、133万円超で『扶養』に入ることができませんでした。
・2022年は、引き続き育児休暇や復職後の時短勤務などによる収入減で控除対象となる場合もありますので、年間の収入額によっては、『扶養』に入って税額が軽減できるかもしれません。

◆手続きのタイミング
※すべてご主人側の手続きになります。
ア) 年末調整で申告する。・・・「給与所得者の配偶者控除等申告書」「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」へ記入・提出する。
イ) 確定申告・・・(ア)を忘れた場合、翌年の確定申告で申請する。
ウ) 5年以内の還付申告/更生の請求・・・(ア)(イ)を忘れ、5年以内であれば遡及申請できる。その年に確定申告を実施していた場合、更生の請求となる。

*遡及できるとはいえ、年末調整で済ますのが、簡単だと思います。
ご自身の会社の給与担当者に年間の収入額を確認してみてください。もしも実際よりも収入を少なく書いて多く控除をされてしまうと、翌年に税務署から是正の案内が来て追徴されることになります。逆に収入を多く書いて少ない控除を受けた場合は損をしてしまうことになるので正しい金額を確認するのが間違いないと思います。正確な額をご主人の年末調整の用紙に記入し、控除を受ける手続きをしてください。

◆ポイントのまとめ
・配偶者(特別)控除は、所得税減税だけではありません。翌年の住民税の納税額も減額されます。
・通常、認可保育園の保育料は住民税額によって決まるので、『扶養』に入ることで、住民税が安くなれば保育料が下がる可能性もあります。
・企業によりますが、扶養手当制度のある場合、出産育休中でも加入できることもあります。制度の有無の確認と条件をチェックしてみましょう。
・産休・育休取得年度だけでなく、復職後の時短勤務などによる収入減で控除対象となる場合もありますので、復職後でも年間の所得額によっては思いがけず節税できるかもしれないので、ぜひ確認してみてください。
・過去に手続きを忘れていた方も5年間遡及申請ができます。

2021年10月                        CFP 石黒貴子