住宅ローン、借換え前にやってはいけないこと

 

長期金利が上昇する傾向を見せている折、現在返済中の住宅ローンの借換えをお考えの方も多いのではないでしょうか。

住宅を購入した時に借入審査が通っているのだから、借換え時も審査はパスするだろうという考え方はアマイ!
借換え時においても、新規借入時と同様の審査が行われます。

◆住宅ローンお断りの理由
次の資料は、民間金融機関が住宅ローン審査で融資を断る理由です。

順 位 断 り の 理 由 割 合
第1位 カードローンなど他の借入の状況や返済履歴 61%
第2位 雇用形態 (自営・契約社員) 40%
第3位 返済負担率が条件に満たない 26%
第4位 勤続年数が短い 25%

(出典:国土交通省 2004年度住宅ローンの実態に関する調査結果)複数回答

第2位は、勤労者であれば、その雇用形態です。公務員か上場企業の正社員あたりは
この条件が良いことになります。自営業者や中小企業の経営者・社員あたりは条件が良い方ではないでしょう。

第3位は、収入ダウンなどにより返済負担率が上昇することです。
返済負担率の計算方法は、「返済額÷年収」で、借換え後の返済額を計算する場合の金利は、実際の適用金利に関わらず「審査金利」(民間金融機関では通常4%)を使います。

収入がダウンしている場合は、借換えが難しくなる場合があります。

第4位は、勤続年数が短い場合や、独立・転職直後の借換えは一般的には困難になるということです。借換え直前の独立・転職は注意しましょう。

◆信用情報いちばん大切
もっとも厄介なのがダントツ第1位の「信用情報」又は「ブラック情報」といわれるものです。

第2位から第4位の理由の場合は、住宅金融支援機構の「フラット35」を検討することや、金融機関を変えることなど代替案は可能です。

信用情報に懸念ありの場合は、金融機関も断る理由をはっきり言いません。そしてこの信用情報をクリアしないことには次の審査項目に進むことすらできません。

◆申請書類の記入もれには気をつけよう
カードローンや商品購入の月賦支払などがある場合は、遅延なく返済していても、そのような借入が存在することを正しく自己申告することが大切です。単なる記載もれとはいえ、条件は不利になります。

金融機関は、あなたの信用情報をたやすく手に入れることができるのです。

 (宮村 昭)

住宅ローンの見直し、今がチャンス?

年が明け、いよいよ安倍新政権が本格的に動き出します。
昨年12月の選挙で自民党が圧勝した後、安倍新総理の強く推し進める金融緩和措置への期待から円安・株高傾向が続いており、このままいくと国債の価格が下がり、長期金利が上がる可能性があります。

実は、昨年12月にフラット35(返済期間21年~35年)の金利が過去最低の1.81%だったのを御存知でしたでしょうか?各金融機関でもこの低金利で、他機関からの借換案件の増強にかなり力を入れてサービス・施策を行っているみたいです。

ある人の例ですが、10年前に2,300万円を35年ローンで旧住宅金融公庫で借りていて、当初10年間の金利が2.55%で11年目からは3.50%になるということで、慌てて借換を検討したそうです。

<その結果>

項目 借換前 借換後
ローン残高 1,840万円
返済期間 25年11か月 25年0か月
適用金利 2.55(3.50)% 2.00%
月々返済額 80,680(89,530)円 77,997円
返済総額 27,746,480円 23,399,100円
借換諸費用 500,000円

 

返済期間は約1年弱(11か月)短縮し、返済総額の差(返済総額 27,746,480円-23,399,100円=4,347,380円)も諸費用50万円を差し引いても380万円以上、年間約15.4万円もの負担軽減となったそうです。さらに、ローン返済とは別に毎年6万円以上払っていた団体信用生命保険の保険料も借換先金融機関が負担してくれるので、その差はかなり大きいです。

実はこの、「ある人」というのは自分なんです。一般的に住宅ローンの借換えでメリットが出る条件として、

「金利差1%以上、借入残額1,000万円以上、残済期間10年以上」

と言われています。私の場合も、ピッタリ条件に当てはまるのでこの様な成果となりましたが、いろいろ調べていく中で今は条件に関係なく、借換えメリットがある場合もあれば、条件に該当していても逆に借換え出来ないケースもあるという事がわかりました。

住宅ローンの見直しで重要なポイントとなるのは、ライフ・プランニングです。「家族構成や退職年齢、リタイヤ後の計画等」によって変わってきます。
例えば教育ローンや車のローンがあると、返済負担率の関係でNGとなる場合もありますし、定年が近い方は金利差がわずかでも、繰上返済する為に手数料等条件の良い金融機関に借換えたほうが良い場合もあります。

2013年、金融緩和で長期金利がさらに下がるか、初めに記した通り債権から株式に資金シフトし長期金利が上昇するか予測は難しいですが、住宅ローンの見直しには、各金融機関の融資条件・サービス等情報収集とライフ・プランニングが不可欠ということですね。

自分だけでは難しそうと思われる方は、どうぞファイナンシャル・プランナー他専門家へご相談を!

(小野 宏治)