信販会社に20年ほど勤めていたこともあり、先月11月28日に始まった 「信用スコア」に興味を持ちました。通常クレジットカードや住宅ローン を申込む時は、カード会社や金融機関は申込者の支払能力を必ず「審査」 します。審査には申込者の年齢、年収、勤務先、勤続年数などの属性に加
えて「信用情報機関」に蓄積されている信用情報が使われます。その信用情報をわかりやすく指数(スコ
ア)化して見られるサービスが、クレジットカード会社や貸金業者などが加盟する信用情報機関のシー・ アイ・シー(CIC) で始まった「クレジット・ガイダンス」です。
今までもCICに個人で開示は申し込めましたが、それはカードやローンの契約件数や支払状況など確認 できても、全体として自分の信用情報がどう評価されるかはわかりにくかったのが、今回CICが始めた 「クレジット・ガイダンス」は総合的に統計処理して200~800のスコアで示し、信用力がどの程度なの か客観的にわかるようになりました。


上記図のように、消費者がクレジットカードを申し込むと、カード会社 は信用情報機関に登録されている情報を照会します。そこで既に保有す るカードの枚数、ローンの借入件数、利用限度額、残債の額、毎月の支 払状況、過去6ヶ月間の新規申込み件数などを確認し、自社で収集する 情報も加味した上で、支払能力に問題がないと判断すればカードを発行 します。そして、その後の利用者の残債額や支払状況などの情報を信用 情報機関に随時登録します。
2025 年 4 月1日からは加盟企業へのスコア開示が始まりますので、審 査に要する時間は短縮されるでしょう。
でも一番大事なのは自分のスコ アを知り、自分で債務超過を防ぐことです。
次に中国や米国も見てみましょう。
中国では、信用スコアを活用したサービスがかなり普及しており、特に電子決済サービスのアリペイ(支 付宝)で有名なアリババグループの傘下「芝麻信用(セサミクレジット、ジーマ信用)」の信用スコアは 事実上、中国の信用スコアの標準として普及しています。
チェック項目は以下の5つです。太字の所は中国らしい特徴があります。
① 身分特質(社会的地位、年齢、学歴、職業など)
② 履行能力(過去の支払い状況、資産など)
③ 信用歴史(クレジット、取引履歴など)
④ 人脈関係(交友関係、相手の身分など)
⑤ 行為偏好(消費の特徴など)
芝麻信用は右表のように5段階評価です。
アメリカFICOスコアは、個人の信用力を300から850の間で評価し、5つの要素によってクレジット スコアが数値化されています。
① 返済履歴:35% 月々の支払が遅延なく行われているか
② 未払い残高:30% 利用限度額に余裕を持っているか。利用限度額の30%くらいまでが理想的
③ 信用履歴の長さ:15% 返済履歴が長いほど信用が増していく
④ 借入の種類や構成:10% クレジットカードだけでなく、車や家のローンなど様々な借入をして いるとクレジットスコアが下がる
⑤ 新しい借り入れ:10% 頻繁に借入をしているとクレジットスコアが下がるため、クレジット カードを作成してから3ヶ月以上の期間を空けないと、次の新しいクレジッ
トカードは承認されにくい
全米平均は680ほどで、大多数の人のスコアは600から800の間に収まるが、720以上の人々は「スー パープライム」、660~719の人々は「プライム」、その下の580~619の人々が「サブプライム」と呼ばれ ています。このあたりから、明確にリスクありとみなされはじめ、借入条件も厳しいものとなります。
(2007 年に起きたサブプライムローンの崩壊)
米国では住宅ローン金利が高まっていますが、すべての人が同じ金利で借りられるわけではなく、 有利な条件で借りられるかどうかは様々な要因で決まり、特に影響が大きいのが信用力スコアとのこと です。なんだか怖い気がしてきました。
以上、3つの国を見てきましたが、日本も信用スコアにより借り入れ 利率も変わるという流れになっていくのか今後も注視していきたい と思います。
CFP 佐藤広子