エッ!来年から年間220万貰っても非課税に出来る方法とは

 その方法とは、一人からは相続時非課税制度にて、もう一人からは暦年贈与で貰うという方法です。相続時精算課税制度の改正を利用した、ちょっとウラ技的方法になりますが解説します。

相続時精算課税制度改正案が今年3月28日成立しました。

まず、相続時精算課税制度とは、高齢者の資産をスムーズに次の世代に渡すために平成15年度から設けられた制度で、経済政策の一環でもあり、財産の贈与を受けた人がお金を使い、お金が循環することを期待され導入されました。

制度の概要は受贈者が2,500万円まで贈与税を納めずに贈与を受けることができ、

贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額から相続税額を計算し、一括して相続税として納税する制度です。

計算の結果、相続税の納税を要しない場合には、遡って贈与税がかかることはありません。

しかし、実際には下記のようなデメリットがあり、あまり利用されずにきました。

今までいわれてきた大きなデメリット

1.一度でもこれを使うと後に暦年贈与に戻せない。

 相続時精算課税制度を利用した後は、暦年贈与非課税枠の110万円が一生使えない

.必ず贈与税の申告が必要となる

このため、相続税対策としては、暦年贈与(れきねんぞうよ)を使うのが一般的でした。

暦年贈与とは、年間(1月1日から12月31日まで)に受けた贈与額が110万円以下である場合、贈与税は発生しないという仕組みを利用した贈与の方法のことです。

自分が保有する財産を、年単位での時間をかけて少しずつ生前から贈与していく方法です。

この方法であれば、生前のうちに所有している財産を減らすことにより、将来的に発生する相続税の負担を軽減させることが可能なわけです。

そのように一般的に使われていた暦年贈与ですが、相続には『相続開始前3年以内の贈与加算』という制度があります。

この制度は、家族に相続が発生した場合、

・被相続人の方が亡くなった当日から数えて、『3年以内』に行われた贈与については、・贈与した財産額を亡くなった方の財産に足し戻して相続税の計算をしなくてはいけない、というものです。

でも、この3年以内以内贈与というものが、今年の改正でなんと7年に延長されてしまいました。

このため、高齢になってから生前贈与を始めてもあまり節税にはつながらないことが想定されます。

それに対して、今回の改正で大きく進歩したのが「相続時精算課税制度」です。

さきにあげた大きなデメリットの二つが無くなりました

一度利用開始した相続時精算課税制度をやめて暦年課税に戻すということは出来ませんが、かわりにこの相続時精算課税制度のなかで110万の基礎控除が行われることになりました。

さらには、この110万以内の基礎控除内なら申告も不要となり、手続き面でも楽になります。

このため、2024年からは相続時精算課税制度を使って110万贈与するというのが、生前贈与の一般的な方法になると思われます。

タイトルにあげた一人の人が年間220万貰っても課税されないケースは下記の①のように一人からは相続時精算課税制度により110万貰い、もうひとりからは暦年贈与で110万貰うというケースです。➁のように二人から暦年贈与で110万づつ貰う場合や③のように二人から相続時精算課税制度で110万貰う場合基礎控除が二人で按分され基礎控除を超えた部分は相続時の足し戻し対象になります。

相続時精算課税制度というのは、2500万まで贈与税がかからない制度で、相続時の財産額によっては、将来的に相続税がかかる事もあること念頭に置いておく必要があります。また、年間110万円の基礎控除内に関しては非課税かつ申告も必要ありませんが、110万円を超えた部分に関しては、これまで同様に累計贈与額2,500万円に達していなくとも贈与税申告が必要となります。

詳しいことは、追って国税庁のホームページでパンフレットとかが掲載されると思いますので、来年になったらそちらで詳しいことをご確認ください。

ちなみに、現行制度のパンフレットはこちらになります。

財産をもらったとき

CFP 磯野正美

iDeCoで老後資金を作る!

◆iDeCo開始のステップ
まずは、自分はいくら掛金拠出できるか を調べ ます。【 iDeCoとつみたて NISA比較表】で示しましたが、 職業や勤務先の制度により上限額が異なります。次に、限度額内で いくら 拠出 するか を決めます。
拠出額が決まったら、金融商品選びです。老後資産作りの大切なお金ですから資産運用の基礎を学んで、 どの金融商品を購入するかを選びます。その際、つみたて NISA商品(金融庁が、 手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適した公募株式投資信託等に限定 している) から選ぶのがおすすめです。 商品を選んだら運営管理機関を決めます。運営管理機関によって購入できる商品が異な ります。
決める際は、 商品のラインナップ ・ 手数料 ・ サービス(使い勝手)を検討 して決めましょう。 加入してから運用中 ・ 受給が終わる迄の長いおつきあいになります。変更することも可能ですが、移管手続きは費用・手間・時間もかかるし、収益機会も損失することもあるので、慎重に選び ましょう 。

◆今後のiDeCo制度改革 に期待!
『資産所得倍増プラン』では、少子高齢化の進行を背景に、 老後に向けた資産形成の制度として、 今後も iDeCo制度の改革取り組みが示されています。 手続きの簡素化により 使い勝手のよい制度として 進化することを 期待 しましょう 。
iDeCo開始にあたって 参考になるリンクをはっておきます。 具体的にシュミレーションも出来ます。
興味のある方は、ご覧ください。 FPみらいへのご相談もお待ちしています。

[参考になるリンク]

iDeCo公式サイト|iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)【公式】 (ideco-koushiki.jp)

個人型確定拠出年金ナビ(iDeCoナビ)~イデコ加入ガイド~ (dcnenkin.jp)

2023年 4 月
CFP 石黒貴子

相続した土地、登記していますか? ~来月以降続々と!土地の相続登記義務化に向けて法改正がされます~

ご存じですか?

現在、土地の相続登記は義務化されていない為、国土交通省の調査によると、地籍調査の対象地区(宅地・農地・林地等)のうち、所有者不明率はおおよそ2割、面積では九州より広い面積が所有者不明と推計されています。そして今後ますます増えていくと予想されています。

相続登記とは?

正確には「相続による所有権の移転の登記」といい、土地や建物の不動産の所有者が亡くなったときに、その土地や建物の名義を亡くなった方から遺産を引き継いだ方(相続人)へ変更する手続きのことです。

・所有者不明土地とは?

  • 不動産所有者の登記が行われず現在の所有者がわからない土地
  • 所有者が特定できてもその所在が不明で連絡がつかない土地

・所有者不明土地が増える原因

土地の相続が発生した時に登記の名義変更が行われていない 約63%

所有者が転居した時に住所変更の登記が行われていない 約33%(R2国土交通省調査)

・所有者不明土地による問題点

[政府広報オンラインより]

イラストのように、相続人が相続登記をせず年月を経てしまうと、相続人の特定が困難になり、土地の所有者の探索に多大な時間と費用が必要となります。公共事業や災害等の復旧・復興事業が円滑に進まず、民間取引や土地の利活用の阻害要因になる、また土地が管理されず放置される事で、隣接する土地への悪影響が発生するなど様々な問題が生じています。

・そこで!来年(令和6年)4月1日から不動産の相続登記が義務化されます

所有者不明土地を解消するため、不動産登記法が改正(令和3年4月)され、来年(令和6年)4月1日から不動産の相続登記が義務化され、土地の相続から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。正当な理由がなく申請を怠った場合は10万円以下の過料の適用対象となります。

・先がけて来月4月1日から導入「具体的相続分による遺産分割の時的限界」の新ルール!

この相続登記の義務化に先行して、来月以降、不動産関連の改正が続々と施行されます。来月4/1からは遺産分割に関する新たなルール「具体的相続分による遺産分割の時的限界」が導入されます。

遺産分割のルールは、法定相続分を基礎としつつ、生前贈与を受けたことや、療養看護など特別の寄与をしたことなどの個別の事情を考慮して具体的な相続分を算定するのが一般的です。ところが、遺産分割がされずに長期間経過した場合、具体的相続分に関する証拠がなくなってしまい、遺産分割が更に難しくなるといった問題があります。

そこで、遺産分割がされずに長期間放置されるケースの解消を促進するため、被相続人の死亡から10年を経過した後の遺産分割は、原則として具体的相続分を考慮せず、法定相続分(または指定相続分(遺言による相続))によって画一的に行うこと とルールづけられました。

・【注目ポイント!】改正法の施行日前に相続が開始した場合の遺産分割の扱い

この改正法の施行前に亡くなった方の遺産分割についても、新しいルールが適用されますので要注意です。但し、経過措置により、少なくとも施行時から5年の猶予期間が設けられます。

■長期間経過後の遺産分割のルール

[法務省民事局パンフレットより]

2023年4月が施行ですので、例えば相続開始(被相続人が亡くなった時)が2012年4月の方は図のAのケースにあたります。施行時から5年の猶予期間がある場合、2028年4月以降具体的な相続分による分割となります。Bのケースは、例えば2017年4月の相続開始の場合、2027年4月に10年が経過しますが、やはり2028年4月以降、具体的相続分による分割とされ利益喪失が発生することもある、ということになります。

■例外も確認しましょう

相続開始時から10年を経過していても具体的相続分により分割できる場合もあります。

  • 10年経過する前に、相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をしたとき。
  • 10年の期間満了前6ヶ月以内の間に、遺産分割の請求をする事が出来ないやむを得ない事由が相続人にあった場合において、その事由が消滅したときから6ヶ月を経過する前に、当該相続人が家庭裁判所に遺産分割の請求をしたとき。

◆相続した土地で悩んでいる方には、来月27日にスタートする「相続土地国庫帰属制度」も視野に

所有者不明土地が増加している一因として、都市部への人口移動や人口の減少・高齢化などにより土地のニーズが低下する中で、土地所有に対する負担感の増加も挙げられるでしょう。相続したものの遠方であるため管理ができない、使い道がなく手放したいけれど引き取り手もない、など処分に困っている土地、所有が困難な土地、いわゆる所有者不明土地予備軍について、所有者不明土地発生予防の観点から来月4/27以降、一定の要件を満たせば、国に帰属する事ができるようになります。

・申請できるケース

基本的に相続や遺贈によって土地の所有権を取得した相続人であれば申請できます。制度の開始前に相続した土地も対象ですが、売買等によって土地を取得した方や法人については対象外です。土地が共有地の場合は、共有者全員で申請する必要があります。

・国庫帰属が認められない土地の主な例

次のような土地は、通常の管理や処分をするに当たり多くの費用や労力が必要になるので引き取りの対象外です。

・建物、工作物、車両等がある土地

・土壌汚染や埋設物がある土地

・危険な崖がある土地

・境界が明らかでない土地

・担保権などの権利が設定されている土地

・通路など他人による使用が予定される土地

・手続きと納付金

手続きは法務大臣(窓口は法務局)宛に実費等を考慮した審査手数料を納付して承認申請をします。法務大臣(法務局)による書面審査・実地調査を経て、国に土地を引き取ってもらうことが認められた場合は、30日以内に負担金(10年分の土地管理費相当額)の納付が必要となります。下の図のように、負担金は通常20万円、ただし市街化区域など一部の宅地や田畑、森林は面積に応じた算定額となります。



[法務省資料:相続土地国庫帰属制度の負担金より]

この他にも2023年4月以降、不動産関連の法改正が目白押しです。気になる方は法務省のHPやパンフレットなどをご覧ください。(末尾にURL記載あり)

相続とは財産を次の世代に引き継ぐこと…遺されたお子様や親族に、揉め事や悩みの種をも引き継ぐことは誰しも望んでいないでしょう。また、広くは近隣住民や地域の為にも、自分の代でできる事をクリアにしておくことも大切な終活の1つかもしれません。

2023年3月
CFP 依田いずみ

 

=参考資料=

◆「所有者不明土地の解消に向けて不動産に関するルールが大きく変わります」パンフレット

001381764.pdf (moj.go.jp)

◆平成29年度 土地所有・利用概況調査報告書 001237784.pdf (mlit.go.jp)

◆政府広報オンライン 令和4年(2022年)3月31日

なくそう、所有者不明土地! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン (gov-online.go.jp)

siryou2.pdf (cas.go.jp)

◆法務省民事局 令和3年民法・不動産登記法改正、相続土地国庫帰属法のポイント

https://houmukyoku.moj.go.jp/matsuyama/content/001344983.pdf

◆法務省資料:相続土地国庫帰属制度の負担金

https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html

法務省:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法) (moj.go.jp)

◆国土交通省「所有者不明土地の実態把握の状況について」

本検討会で扱う「所有者の所在の把握が難しい土地」とは (mlit.go.jp)

一般庶民にとって投資の王道はあるか?を考える

 岸田総理大臣が2022年5月に、英国金融街シティの講演で、「資産所得倍増計画」を
発表してから、岸田内閣では『貯蓄から投資へ』が一種のスローガンになっている。
また先ごろ、2024年からNISAが新しく拡充されることが発表となり、国を挙げて国民に投資活動を奨励している感がある。

・日本人は投資が苦手?
 一方、日本人は総じて投資が不得手というか、慣れていないのが実態だ。
下図は日本と欧米で家計の金融資産構成を比較したものである。

 欧米、特に米国では資産の中で株式・投資信託の占める割合が5割以上あるのに 対して、日本では現金・貯蓄の占める割合が5割以上となっている。
こういった国民性を持つ日本人に対して、「これからは貯蓄から投資だ」と言われても、 第一、投資のやり方なんて学校で習ってないよ、という声が聞こえてきそうだ。
昔々の高金利時代では、貯蓄さえすれば、それ相応の利子が付き、仕事に精を出せば 給料も右肩上がりで増えていった。
 ところが、超低金利時代の昨今、銀行の定期預金金利は、ほぼゼロに近く、預金しても 利息は物価上昇に負けている。また給料も思うほど上がらない。
とは言え、下手に良く分からない投資に手を出すと、痛い目の合うのではと投資に 踏み切れないと思う人が多いのもうなずける。
 日本人気質の根っこには「お金は額に汗して稼ぐもの」という意識があることは 事実だろう。投資と言うと、人によってはギャンブルとイコールに考えることも ある。ただ日本以外の国(例えば欧米諸国)では、一般庶民がコツコツと投資をして 老後の資金を貯めているのも事実である。
ここでは、プロの投資家ではない、我々一般庶民が投資をする際に「王道」と呼べる 基本的な方法があるかを考察したい。王道とは、囲碁の世界で言うところの「定石」と同じと考えてよい。
また、これから述べることは、筆者の個人的意見であることを、お断りしておく。

・一般投資家に投資の王道はあるか?
 ここからは、投資家をプロの投資家とそれ以外の一般投資家の2つに分ける。
プロでない、一般庶民である我々一般投資家に投資の王道はあるかを考える。
そもそも投資を行う場合、例えば株式市場を例にとると、株を売買するのはプロの
投資家もいれば、我々のような一般投資家もいる。いわば同じ土俵で戦う訳だ。
その中で、一般投資家が投資をして利益を得るような「投資の王道」は あるのだろうか?
 結論を申し上げると、筆者の個人的な見解は「王道」はあると考えている。

・投資の王道は何から学ぶ?
 さて、投資の王道は有ると言ったが、どこを(何を)見ればそれが分かるのか?
投資のバイブルの存在は、あまり聞いたことが無い。
一方、投資について書かれた著書は、世の中に星の数ほどある。
ここで筆者が投資に関する出版物・記事・インターネットの情報などで頻繁に 引用されている本を4冊選んでみた。(最後に参考図書として示す)
どれもベストセラーかつロングセラーである。この著書から投資の王道を抽出すると以下のようになる。

A.インデックス・ファンドへの投資
 インデックスとは日本語で言うと「指数」の意味だ。
例えば、株式投資を行う場合、2つの方法に分けられる。
一つは個別の株を買う投資をする方法。例え個人で個別株を選ばなくとも、
プロが選んでセットした投資信託を買ってもよい。これをアクティブ投資と呼んで いる。もう一つは、個別銘柄を選ばずに株式のインデックスに投資する方法だ。
日本株の場合、東証株価指数(TOPIX)に投資する方法がある。TOPIXとは東京証券 取引所に上場するすべての銘柄を対象として算出・公表されている株価指数のことだ。
ニュースでTOPIXが今日いくら値上がり(値下がり)したと報じられる。
TOPIXに投資することは、いわば株式市場全体に投資することになる。
さて、では何故アクティブ投資ではなく、インデックス投資を勧めるのか?
参考図書1および2に曰く、『プロの投資家が全精力を傾けてアクティブ投資を 行っても、インデックス投資に勝てない』
驚くような内容だが、参考図書1・2には、データを挙げて、その理由が記されて いる。詳しくは、参考図書の1および2を参照願いたい。
またアクティブ・パッシブ投資について、2021年3月の当ブログにも記載が ありますので、ご参考まで。

B.分散投資を行う
 極端な話、全財産を一つの銘柄の株式に投資する人はいないだろう。リスクを避ける ため、色々な分散を行うのも王道の一つだ。
分散とは、投資先の分散、投資する国の分散、投資する時間の分散等がある。
ちなみに、参考図書3に曰く「一に分散、二に分散、三に分散」。

C.定期定額長期投資を行う
 いわゆる積立投資を指す。毎月一定金額を長期にわたって投資する方法だ。
ドルコスト平均法が有名だ。
投資先の価格は日々変動するのが常である。安いときに買いたいのは山々だが、 そうは上手くはいかないもの。そこで相場変動に構わず、一定金額を長期にわたり 投資する。本当にそれで良いのかと思う方は、2018年8月の当ブログを参照下さい。
D.コストの安い投資方法を利用する

D.コストの安い投資方法を利用する
 投資する場合に手数料や信託報酬などに掛かる費用(コスト)は馬鹿にならない。
特に長期投資ではなおさらだ。幸い、最近では手数料無料や信託報酬が低い投資信託
が多く出ている。また利益が出た際に課税される税金もNISAなどを利用することで、
ゼロに出来る。

 以上が筆者の個人的な意見として述べた「一般庶民の投資の王道」である。
投資を職業としない一般投資家は、コツコツ積立投資を行い、リタイアするときに
老後の資産が確保されているのが、ベストなストーリーではないだろうか。
そのような道を探している方には、上記の方法は道先案内にはなると考えている。
投資や相場は人間が行う行為であるので、物理の法則と異なり、絶対に当てはまる
ものでは無いことに留意願いたい。
最後に、今まで述べていたこととは少し外れるが、ひふみ投信を展開するレオス・
キャピタルワークス 藤野英人社長が新聞記事に書いていた言葉を紹介する。
「最も成功する確率の高い投資は、自己投資である」

【参考図書】
1.「敗者のゲーム」  チャールズ・エリス著   日本経済新聞出版社
  – 題名の由来は、投資はアマチュアのテニスゲームのように、いかに自分がミスを
  せずにボールを相手に返すかで勝つことが出来ることに例えたもの。
  1985年初版発行。インデックス投資を推奨。
2.「ウォール街のランダム・ウォーカー」バートン・マルキール著   日本経済新聞出版社
  – 初版発行が1973年の50年におよぶロングセラー書。インデックス投資の優位性
  をデータを元に解説している。
3.「投資の大原則」 チャールズ・エリス、バートン・マルキール共著  日本経済新聞出版社
  – 上記1,2の著者の共著の本。読み易くコンパクトにまとまっているので、
  筆者一番のお勧め。
4.「賢明なる投資家」 ベンジャミン・グレアム著 パンローリング社
  – 著者は投資の神様ウォーレン・バフェットが師匠と仰ぐと言われている。
  1949年初版発行。古典的名著の誉れは高いが、中身のデータが古いのと、
   ページ数が多く(価格も高い)、読むのに苦労する。

CFP 前川敏郎

果たして新NISA非課税枠(360万円)を使いきれるのか?

注目すべき2つの改正点

 生活者にとって税制を知り、活用することは生活を守り、また運用・投資を考える上で 欠くべからざることである。この意味で令和5年度税制改正は注目するべき改正点が多かった。

 中でも岸田首相の唱える「資産所得倍増プラン」の目玉である少額投資非課税制度「NISA」の改正は将に“少額”であったがために運用・投資の中心ではなく1部の資金の運用という位置づけであった「NISA」が今後はその中核を担う規模になるという点で画期的改正ということが出来る。

だからこそその内容を確認し、今後の運用等を考えてみたい。

 また今回は相続・贈与税制面でも注目すべき改正が行われているので、この点も確認する。

 今回の改正は何が画期的といって、まず時限立法の制度が恒久化した点にある。これによって非課税期間(一般型23年、つみたて型42年)の制限がなくなり、いつ廃止になるか分からない点からも解放された。これからは安心して非課税枠を使って投資・運用が出来ることになる。

 もう1点画期的な点は制度の拡大である。非課税枠が年間360万円に拡大したことで多くの生活者・投資家にとって主要な投資手段になってゆくと思われる。更に便利になると思われるのは生涯投資枠(1,800万円)が売却分を再投資出来るようになった点である。これによって 人生のライフイベントに沿って資金を使っても再び非課税枠を使うことが出来るようになった。

 ここまでは良い点ばかり述べてきたが、ここで私は1つ疑問が芽生えてきた。果たして国民・生活者の何割が360万円の非課税枠を活用できるのだろうか、と。勿論非課税枠が360万円あるからといって全員が枠を使い切る必要はないかも知れない。自分の拠出可能額だけ投資・購入してゆけば良い。例えば、120万円に増額された「つみたて型」なら毎月10万円の投信積み立てが出来る。しかし、毎月10万円の積み立て投資が出来る余裕のある生活者はどれくらいいるのだろうか?更に一般型を含めた年間360万円の枠を使い切れる生活者はどれほどいるのだろうか?

 勿論所得収入ベースで考えると少し多い金額だが、政府の狙いはストックにあるのではないか。日本の金融資産約2,000兆円の半分を占めるといわれる預貯金の1部でも投信購入や株式購入によって産業界に回し、日本経済の発展に役立てようと考えているのだろう。預貯金に眠る資金を非課税枠を使って投資信託・株の購入に回しましょうという訳だ。確かに今回の改正は頭のいい政策だと思う。税制を変更することで日本経済の回復を図ることが出来るし、このために新たな財政出動でお金を作るため国債を増発しなくてもよいからだ。

果たして目論見どおりゆくか?

 ここからは制度の改正点ではなく、実際の投資信託の運用先を見てみたい。私の疑問は制度が改正されても、その資金は欧米に流れ日本には向かっていかないのではないかという点にある。即ち、現在の投資信託の投資先を見ると以下の表のようになる。

 表を見て明らかなように既に日本の生活者・投資家は人口減少社会・低成長経済と化した日本への投資から離れ、国際分散投資特に欧米・突き詰めればS&P500等への投資にその資金を向けている。この方向は間違っているわけではなく、その成長性・収益率を勘案すれば理にかなった投資を実行していると言える。それだからこそ今回の改正によって解き放たれた資金が政府の思惑とは別に欧米特にアメリカ等へ流れていっては元も子もないことになるのではないかと危惧している。

やはり行われた遡り期間の延長(資産課税・相続税)

 税制改正案によると、今回の改正は“資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築”が狙いだという。それは1つには「相続時精算課税」に暦年課税と同水準の基礎控除を創設し、使いやすくすると同時に暦年課税の相続財産に加算する期間が3年から7年に延長された。

 私が注目するのはやはり暦年課税の相続時の遡り期間が3年から7年に延長される点だ。これでいよいよ駆け込み生前贈与は益々難しくなる。これからは長い目で計画的に、早くから贈与を心がけていかないと対策が全て無効になる恐れが出てきた。やはり自分の子供・孫がお金を必要とする時期に助けることがお金を生かしてゆくことに繋がると思う。そして、その時期は自分が

 相続を気にするずっと以前、子供の結婚・自宅購入時等であって、それは自分が50歳、60歳代でも当事者であることを示している。また、この時期を逃した生活者にとっては孫等への「教育資金一括贈与」特例は2026年3月まで延長されたので活用を検討するに値する。

CFP 重田 勉

所得税・住民税を計算してふるさと納税を利用してみませんか?

そもそも何のためにつくられた制度なの?          (出所:総務省)

多くの人が地方のふるさとで生まれ、その自治体から医療や教育等様々な住民サービスを受けて育ち、やがて進学や就職を機に生活の場を都会に移し、そこで納税を行っています。
その結果、都会の自治体は税収を得ますが、自分が生まれ育った故郷の自治体には税収が入りません。

そこで、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた「ふるさと」に、自分の意思で、いくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」そんな問題提起から始まり、数多くの議論や検討を経て生まれたのがふるさと納税制度です。

ふるさと納税とは?

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附(ふるさと納税)を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される制度です(一定の上限あり)。自分の生まれ故郷だけでなく、お世話になった自治体や応援したい自治体等、どの自治体でもふるさと納税の対象になります。

~所得税計算式は参考資料参照~
367 万円×20%-427,500 円=306,500 円(所得税額)
367 万円×10%=367,000 円(住民税※)
※厳密には住民税と所得税の課税所得は異なるため概算金額

【2】上記条件でふるさと納税を102,000 円すると・・

所得控除は153 万円+10 万円(ふるさと納税-2,000 円)=163 万円となり、
357 万円×20%-427,500 円=286,500 円(所得税額)
確定申告することによって所得税△20,000 円が還付され、次年度の住民税で80,000 円が控除されます。そして返礼品を受け取れます。
実質2,000 円で返礼品が受け取れるというわけです。

尚、下記図のように控除に限度額がありますのでふるさと納税サイトのシミュレーションを利用するのがよいでしょう。

11/29 よりふるさと納税でPayPay 商品券の利用ができる自治体が北海道、山形、栃木、愛知、三重、兵庫、奈良、山口、香川、福岡、熊本などの一部市で始まりました。
この機会にお世話になった自治体、応援したい自治体に出かけてみてはいかがでしょうか?
タクシーや食事、お土産などに使えて利便性は良さそうですし、今後参加する自治体は増え そうです。
日本の中でも行ったことのないところ、たくさんありませんか?

CFP 佐藤広子

介護について

 今回は、介護についてブログを書きたいと思います。

いつかは迎える介護、親の介護や自分自身の介護と高齢化社会には、避けて
通れない世の中になってきています。

現在、苦労されている方もいらっしゃるかもしれませんが、これからという
方も事前に介護の事情を知っていただき今後の参考にしていただけると
幸いです。

まず下の図は、介護保険の要介護(要支援)の認定者数の推移です。

 出典:厚生労働省ホームページ介護保険事業状況報告

年々、右肩上がりで、認定者数が増えています。

団塊の世代の多くが、75歳を迎える2025年以降には、更に介護保険の認定者は
増えていくと考えられます。

公的介護保険制度で、要介護認定を受けた方の約9割が75歳以上です。

高齢のご夫婦だけでなく高齢の子が親を介護する「老老介護」も懸念されています。

出典:厚生労働省ホームページ介護保険事業状況報告

出典:厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」

生命保険文化センターによると介護期間は、平均5年1カ月(61.1カ月)という
統計結果が出ています。

出典:生命保険文化センター

また誰に介護してもらうか?ですが、イメージされている方も多いと思いますが
同居の家族に介護してもらうという結果が出ています。家族への身体的・精神的負担、経済的な負担を考慮する必要があります。

出典:厚生労働省「令和元年国民生活基礎調査」

実際に身近な人が介護になった場合の費用はどのくらいかかるのでしょうか?

出典:生命保険文化センター2021(令和3)年度「生命保険に関する全国実態調査」

一時的な費用が平均74万円、月々の費用が平均8.3万円とデータがあります。
結構費用がかかる事がわかります。

では先々のリスクとしてとらえた場合、どの様に備えたらいいでしょうか?

いくつか方法があると思いますが代表的な方法を解説致します。

<一般的な例>
① NISAやiDeco等を活用し、資産運用を行う。
② 雇用延長や再就職等長く働く。
③ 民間の介護保険を利用する。

その他にも方法はあると思いますが、先のリスクへの備えを行っていけば
介護リスクに備える事ができます。皆さまも介護対策早めにやっていきましょう。

 CFP 児美川 崇弘

寡婦年金って、なに?

寡婦とは死別や離婚で夫を失った女性のことを言います。表題の寡婦年金は自営業・フリーランスで働いていた夫が亡くなった時に妻が受給できる年金のことです。
公的年金は大きく3種類あるのは皆さまはご存じのこととおもいます。65歳からの「老齢年金」、身体が不自由になったときの「障害年金」、ご家族の大黒柱が亡くなった時の「遺族年金」。
「寡婦年金」を話す前に、三番目の「遺族年金」についてザックリとふれます。
家族の中の生計の担い手が亡くなった場合、亡くなった方の年金の納め具合や残された家族の年齢等で、受給できる遺族年金(遺族厚生年金、遺族基礎年金または両方)が決まります。そのうちの遺族基礎年金は18歳未満の子がいる時だけ支給されます。
つまり、子がいない、または18歳以上の子しかいない妻には遺族基礎年金の受給資格はありません。そこで、登場するのが、寡婦年金です。
自営業やフリーランスで働いた夫が今まで払ってきた国民年金を掛け捨てにしないための年金です。
子のいない女性のみが60歳から65歳の間に支給されます。
さて、気になるのはその支給要件です。

①亡くなった夫の要件
・国民年金の第1号被保険者としての保険料納付済期間が10年以上(免除期間も含む) ある。(注:2017年7月までに死亡の場合は25年)
・老齢基礎年金をもらったことがない、または障害基礎年金をもらえるようになったことがない。

②残された妻の要件
・夫の死亡時65歳未満であった。
・夫によって生計を維持されていた
・結婚の期間が10年以上つづいていた(内縁・事実婚でも可)。
・老齢基礎年金の繰り上げ支給を受けていない。
・遺族基礎年金の資格がない。
・特別支給の老齢厚生年金をもらわない。
・遺族厚生年金をもらわない。

③支給額
夫が65歳からもらえるはずであった老齢基礎年金の4分の3です。
例えば、亡くなった夫が国民年金の第1号被保険者で25年保険料を納付したときは、妻が貰える寡婦年金の金額は
780,900円(2021年の満額)×25年(納付期間)÷40年×3/4=366,047円
(注)円未満は四捨五入。付加年金は計算には含みません。国民年金基金は別途一時金の対象。

④支給期間
妻が60歳になってから65歳になるまでの間です。下の図を参考にしてください。
(例1) 夫が亡くなった時、妻が60歳未満の場合は、60歳になるまで寡婦年金は支給されません。

(例2) 夫が亡くなった時、妻が60歳以上の場合は、その時点から65歳まで支給されます。

寡婦年金と、別の選択肢 同じように国民年金の第1号被保険者が亡くなった時の給付に「死亡一時金」があります。名前の通り、一度だけですが、すぐに支給されますし、支給要件の範囲が「寡婦年金」に比べてやや広くなっています。寡婦年金が諸事情でもらえない時などにはご利用できるケースもあります。支給額は最大でも32万円と多くの場合は寡婦年金の合計よりは少ないです。どちらか一方の選択です。もちろん、両方の選択時のときは、じっくりと検討すべきです。一度決定すると原則変更はできません。

⑤「死亡一時金」の要件など
死亡した人
国民年金保険料納付期間が36月以上
老齢基礎年金や障害基礎年金を受けていない
支給を受ける人
死亡した人と生計が同じだが、生計を維持されていなくてもいい
優先順位 配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹
遺族基礎年金の支給を受けていない
支給額
死亡した人の保険料納付期間に応じて12~32万円
付加保険料を36月以上納めていた場合は、一律8,500円加算
権利の時効
死亡日の翌日から2年
寡婦年金にしても、死亡一時金にしても、金額はそれほど多くは望めません。転ばぬ先の杖、将来の資産設計については、いまからご準備されることをご提案します。私達FPみらいは皆さまのご相談をお待ちしています。

楠本智子 CFPⓇ認定者(ファイナンシャル・プランナー)
2022年10月15日

老齢年金はいつから受け取るのが良いか ~人生100年時代 寿命との関係で考えてみる~

今年4月から、昭和27年4月2日以降に生まれた方を対象に老齢年金の繰り下げ受給の上限年齢が70歳から75歳に引き上げられました。

年金の受給開始を75歳からとすると65歳から受給する場合に比べ、年金額は84%増額します。人生100年時代の中、健康寿命、平均寿命、各年齢での生存確率を確認してゆきながら、老齢年金はいつから受給するのが良いか考えてみます。

図表1は、老齢年金の受給開始年齢を70歳及び75歳に繰り下げた場合、65歳から受給を開始する場合と比較した 年金受給総額のグラフです。

社会保険料や税金が差し引かれる前の年金受給総額で比較すると、70歳受給開始の場合82歳以上、75歳受給開始の場合86歳以上生存すれば65歳受給開始の年金場合の年金受給総額を上回る結果となります。 社会保険料や税金を考慮すると分岐点の年齢は2~3歳上昇します。

2021年の簡易生命表を基に65歳時点の平均余命から算出した平均寿命は、男性が84.9歳、女性が89.7歳です。

図表2は、2021年の簡易生命表を基に65歳を起点とした90歳から100歳までの各年齢での生存確率をまとめたものです。

確率的には、男性の場合3人に1人が90歳迄10人に1人が95歳迄、女性の場合は3人に1人が95歳迄10人に1人が100歳迄生存すると予測されます。まさに人生100年時代が近づきつつあることを示す数値です。

図表3は、2001年から2021年まで65歳を起点とし90歳、95歳、100歳の各年齢での生存確率の推移を5年毎にまとめたものです。
男女とも着実な長寿化の傾向が見て取れます。

図表4は、65歳を起点に100歳迄の各年齢での生存確率を2001年~2021年まで5年ごとの簡易生命表を基にグラフ化したものです。

65歳受給開始の場合と比較し年金総額が上回る受給開始年齢は、税金や社会保険料を考慮した場合前述のように70歳からの受給開始では84歳~85歳、75歳からの受給開始では88歳~89歳です。

男性の場合65歳の平均余命から算出した平均寿命は84.9歳ですので75歳からの受給開始では65歳からの受給開始と比較し年金受給総額が下回ることになりますが、2021年現在男性の3人に1人が90歳迄生存し生存確率は今後も増加してゆくと予測される中、長生きのリスクに対応するため終身年金である老齢年金をできるだけ繰り下げて受給する重要性は高まっていると言えます。

女性の場合は65歳の平均余命から算出した平均寿命が89.7歳であることや2021年現在3人に1人が95歳迄存命であることを考慮すれば、繰り下げ受給は男性以上に重要です。

65歳迄の雇用確保を義務化する改正高年齢者雇用安定法が2021年4月に施行されましたが 、老齢年金を65歳以降に繰下げ受給するまでの間、生活費の不足には一般的には働くことで対応することになります。

年金の受給をいつまで繰り下げるかは、いつまで健康でいられるかにかかってきます。

図表5は、厚生労働省の健康日本21(第2次)推進専門委員会の資料から取りまとめた2001年から2019年までの健康寿命の推移です。資料で健康寿命とは「日常生活に制限のない期間の平均」と定義されています。

健康寿命は20年間で男女とも約3年伸び2019年では男性は72.7歳、女性75.4歳となっており、今後も健康寿命の伸びが予測されます。

男性の場合、健康面からは73歳まで働き74歳から年金を繰下げ受給すると前述の通り65歳受給開始の場合の年金受給総額を下回る結果となりますが、生活習慣病予防が健康寿命改善の一因であることから生活習慣の見直し等により健康寿命を伸ばすことで働く期間を伸ばすことも可能になります。

総務省の労働力調査によればシニア層の就業率は年々増加しており、2021年平均では65歳~69歳の年齢階層では男性で6割、女性で4割が、70歳~74歳でも 男性で4割、女性で2.5割が就業しています。

65歳以降できるだけ長く働き、終身年金である公的年金を繰り下げ増額した年金を受給することは、人生100年時代の中で長生きのリスクに備える有効な手段ですが、いつまで働く必要があるかは、ご自身が会社員か自営業か、共働きか否か、家族世帯か単身世帯か等世帯のタイプや働き方、老後の暮らし方、退職金や金融資産の額等により個人ごとに大きく異なります。

キャッシュフロー表とは、これら個人ごとに異なる年間の収入と支出、生活費等を基に将来にわたる金融資産残高の推移を見える化することで家計の問題点を把握し、条件を変えながら試算を繰り返すことで解決策を見出してゆくためのツールですが、ご自身で作成することが難しい場合はファイナンシャル・プランナー(FP)に相談しFPとともに人生100年時代に備えてご自身の解決策を考えてみてはいかがでしょうか。

CFP 岩船

株主優待投資始めてみませんか?

 元将棋の騎士であった桐谷さん、「月曜から夜更かし」などで優待投資家として紹介され、生活はすべてが株主優待で成り立っていると話されています。
 株主優待とは、会社の株主になることによって、お中元やお歳暮みたいなものを会社の決算に合わせて、年に1回か2回、配当金とは別に頂けるというもので、上場している企業の1490社(2021年10月末現在)が実施しています。
 優待品は、配当金とは異なり、持ち株数に比例して豪華な品になるということはなく、100株以上の株主全て同一、または100株は○○、200株は△△、500株以上は□□というように株数に応じて差を付けている会社もありますが、一般的には最小投資単位である100株でも、何万株の株主でも同じ商品ということが多いです。
ということは、優待品が貰える最小単位での投資(通常は100株)が一番投資効率の良い投資ということになります。
 つまり数百円の株価の会社だと数万円の投資で優待品を貰える権利を手にすることが出来るということになります。
ただ、優待の権利を獲得するには会社の決算に合わせた日に株主になっていることが必要で、8月末権利の会社を9月に購入しても来年の8月まで待たないと権利は発生しません。
また、権利を獲得したからといって、すぐに優待品が届くのはまれで、 通常は権利確定日から2ヶ月から3ヶ月後に配当金などと同じ時期に送られてくるのが一般的です。
 優待品は食品や食事券、生活用品、クオカードなどの金券などが多く、その会社の地域特産品を選べるカタログギフトなどの会社、さらには、○○会社プレミアム優待倶楽部などと云って、株数に応じてポイントを付与してグルメ、スイーツ、ドリンク、酒、電化製品、生活雑貨、ビューティ・ヘルス、ファッション、ベキー・キッズ、ペット、ゴルフ関連、アウトドア、花・グリーン・園芸、防災グッズ、旅行、など3500種類以上といわれている、膨大な商品の中から、自分の好きなものを選んで送ってもらえるなどというものもあります。
 冒頭に紹介した桐谷さんは、1000社以上の会社の株主になっているとのことで、生活に必要なものはほとんど優待品で揃ってしまうということです。マスコミに紹介されるときは、身につけている洋服、メガネ、時計、リュックなど全て優待品で揃えて登場することが多いです。飲食店などの会社は自社店舗で使える優待券を発行してくれるので、映画(年間100本程度観ているとのこと)を観に行くときも食事は飲食店の優待券で、映画は映画会社の優待券で鑑賞するなど、現金を使わない生活を満喫されているようです。
 桐谷さんがよく講演などで勧めているのが「10万円あったら数万円で買える会社を2-3社選んで買いましょう。」というもの。また投資する会社を選ぶ際には、「投資額に対して、配当金と優待品の価値を足したものが4%以上あるのを投資基準としたらどうでしょうか」ということでした。
 桐谷さん曰く、株主優待投資は商品を貰えるという直接的なメリット以外に
①自転車で期限切れになる優待を使いに行くので健康が保たれる
➁余った優待を人にあげることで健康になる(長生きに影響を与える要因を調べたところ、肥満解消、運動、禁煙よりも「人とのつながり」が長生きへの影響力が高い)
というメリットもあるとのこと。
みなさんも株主優待投資初めてみませんか?
 ただ、株価は業績に応じて上下します。桐谷さんは優待が廃止されない限り、損切(買った値段より安い値段で売却すること)しないとおっしゃっていますが、業績悪化に応じて優待改悪や廃止もあります。昔、私が保有していたアプレシオというマンガ喫茶を運営している会社は業績悪化して株価が下がっても優待廃止とならず、優待利回りが数十%となってもそのまま保有していたら、優待廃止の発表前に会社倒産となって大きな損失を被った経験もあります。このため、保有している銘柄については業績動向もウオッチしておくのが賢明です。

今月我が家に届いた優待商品例

CFP 磯野 正美