やっぱり「介護は突然やってきた」

介護は突然やってくると言いますが、家族にそのような状態が来ると急に身近な事柄となります。なんとなくアタマの中ではわかっていても、実際に体験するとなるほどこういうことかと実感します。

知人のケアマネージャーからもアドバイスを受けたことも含め、いくつか注意すべきことを挙げてみます。

  • 関係者が多くてびっくりしますが、中心は自分たちだと自覚しましょう
  • 家族の思いを大切にし、どのような生活が望ましいかを関係者に伝えましょう
  • 慌てずに必要なことから少しずつ始めましょう

 

■関係者が多くてびっくりしますが、中心は自分たちだと自覚しましょう

介護状態は病院でスタートすることが多いと思います。それは、骨折などのケガによって入院し、特に高齢者になるほどリハビリによってもこれまでどおりの生活が送れるほどには回復できないからです。

介護を受ける場合、ケアマネージャーが付いてケアプランというものを立ててくれます。要介護者のリハビリや、自宅で生活するためのバリアフリー化などの相談に乗ってくれます。

ベッドや車イスは購入するのでなく、レンタルすることができます。玄関から自宅に車イスで出たり入ったりするためのスロープもレンタルできます。簡易トイレは購入することになりますが、このような一連の介護用品を扱う業者が必要で、特に希望がなければ病院から紹介を受けることができます。

そして、退院後もリハビリする場合は自宅での訪問リハビリを行い、デイケアサービスを受ける場合はそのような施設の選択も必要です。

病院ではそのような関係者がすでにそろっており、一気に話が進んでいきます。退院直前の会議では関係者が多くて圧倒されます。実際、私の母は

「あんなに人がいたら(家族の他に7人)、言いたいことも言えない」

とこぼしていました。
でも、決して圧倒されてはいけません。自分たちの生活のために集まってくれた人たちなのです。彼らは、できれば自分たちのサービスを利用してくれることを期待していると思いますが、それを使うことが前提ではありません。サービスを受けるのも、お金を払うのも自分たちなのです。一人で会議に出ることが心配であれば誰かに付き添ってもらうなど、良い話し合いができるようにしましょう。

 

■家族の思いを大切にし、どのような生活が望ましいかを関係者に伝えましょう

上のこと関わりますが、大切なのは自分たちの生活です。介護によってこれまでのように生活できないことは受け入れるとしても、その先どのような生活を送りたいか、という本人と家族の意思が大切です。人と交流し楽しい生活を送りたい人もいれば、不便ではあっても自宅で生活したい人など、考え方は人それぞれでしょう。
大事なことは、どのような生活を送りたいかを本人と家族で話し合って、それを実現してもらうためにケアマネージャを中心とする関係者に正しく伝えることです。
正しく伝えることができればきちんと対応してくれます。

 

■慌てずに必要なことから少しずつ始めましょう

介護が必要になると、車イスを押しやすいように床のバリアフリー化をしましょうとか、車イスでの生活のためにテーブルの生活に変えましょう、と言ったアドバイスされることがあります。でも、決して一気にやってしまわなくていいと思います。
確かに、要介護者が自宅にいてバリアフリーの工事をするのはたいへんなことは間違いないと思いますが、頭のなかで考えることと実際は違うことが多いです。それでなくても生活に変化が出ますから、まずは要介護者にとって必要と思われることだけ対応してスタートしてみても良いのではないかと思います。意外とやれてしまうこともあるでしょうし、足りないものをあとからやっても大丈夫なのです。

(源田 公平)