知っておこう・・・暮らしと働き方の新しい仕組み!!

私が担当した昨年7月のブログ《知っておこう…暮らし変わる!!》の結びにおいて、次回テーマとして平成30年8月に変更が予定されている下記2点
① 高齢者の介護サービスの自己負担比率(現役並みの収入のある方)2割から3割にアップ
② 今年(平成29年8月)に引き続き高額療養費の自己負担額のアップ
について解説することをお約束しましたが、次回に当たる本年1月のブログでは《雇用形態を見直してみよう!!》をテーマとしたため、《暮らし変わる》については全く触れませんでした。既に施行(平成30年8月1日)されていて行政の各種広報でご存知かとは思いますが、今回改めて取り上げさせていただきます。また今月(平成30年10月)改訂された《雇用・働き方の新ルール》について解説します。
1.社会保障における負担の増加
① 現役並みの所得のある65歳以上の方の介護サービスの利用負担割合が3割へ
基準:年金収入+その他の合計所得金額の合計額が
単身世帯で340万円以上、または2人以上世帯で463万円以上の方
3割になって負担が増える人は約12万人(全体の3%)と試算されています。
なお、月々の利用者負担額には上限があり、上限を超えて支払った分は高額介護サービス費が支給されますので、全ての方の負担が1.5倍になるわけではありません。ご自分の負担割合は、どの負担割合の方も、市区町村から負担割合が記された証(負担割合証)が公付されますので、確認してください。
② 70歳以上の方の高額療養費の上限額の変更
高額療養費とは、ひと月に医療機関に支払った額が高額になった場合に、定められた上限額を超えて支払った額を払い戻す制度で、上限額は、個人や世帯の所得に応じて決まります。

適用区分(所得要件)

自己負担上限額(月額)

 外来+入院(世帯ごと)

課税所得:690万円以上の方

252.600円+(医療費-842.000円)×1%

 〈多数回:140.100円〉

課税所得:380万円以上の方

167.400円+(医療費-558.000円)×1%

 〈多数回:93.000円〉

課税所得:145万円以上の方

80.100円+(医療費-267.000円)×1%

 〈多数回:44.400円〉

課税所得:145万円未満の方

外来(個人ごと)18.000

(注)(イ)上記の表は、上限額が変わった適用区分(所得要件)のみを記載してあります。なお、区分が一般(課税所得145万円未満の方)の【外来+入院(世帯ごと)】と住民税非課税世帯の方の上限額は変わりません。
(ロ)課税所得145万円以上の方については【外来(個人ごと)】区分がなくなりました。
(ハ)多数回:過去12か月以内に3回以上、上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当なり、上限額が下がります。
今回の見直しは
① 医療費の負担の上限額は、同じ年収であっても、高齢者のほうが若者世代よりも低く設定されていて、世代間の公平を図るため、高齢者のうち負担能力のある方について見直すものです。
② 医療費の窓口負担割合については、見直しはありません。

2.最低賃金の引き上げ
最低賃金は日本全国同額ではなく、地域(都道府県)別に定めら、毎年10月に改定されます。今年は、全国平均で26円引き上げられて874円となり、神奈川県は27円増の983円となりました(最高額は東京都で27円増の985円、最低は鹿児島県で24円増の761円、その差は224円あります)。最低賃金は、年齢・性別やパート・学生アルバイトなどの働き方の違いにかかわらず、働くすべての人に賃金の最低額を保証する制度です。人手不足から労働力確保するうえで特に県境となる道路を隔てるようなところでは、低い県側にある事業所では高い県側の賃金を参考に決めなければならない状況もあるかと思います(神奈川県に隣接する静岡県は858円、山梨県は810円と開きがあります)。
政府は、年3%の賃上げ目標を掲げており、今年の引き上げ率は3.1%で3年連続3%増となりました。ちなみに国際比較では下記の通りです。

国  別

最低賃金    (円換算)

最近の引き上げ率

日本

 848円

    3.1%

韓国

7530ウォン   ( 742円)

   16.4%

中国(北京)

  22元     ( 360円)

    4.8%

ドイツ

8.84ユーロ   (1148円)

    4.0%

米国(ニューヨーク州)

10.4ドル    (1156円)

    7.2%

フランス

9.88ユーロ   (1283円)

    1.2%

(数字は、2018年1月時点、出所はJETRO、円換算は直近の為替レートで計算)
【注】2018年7月26日付日本経済新聞より引用
日本の最低賃金は毎年順調に増加し2019年度には東京都と神奈川県は1.000円の大台を超えると推測されますが、今のペースが続いたとしても全国平均で1.000円を超えるのは2023年度ごろと見込まれます。一方、韓国は引き上げがパイペースで、2019年には10.9%の830円(円換算ベース)と見込まれていて、日本とは僅差となる見込みです。
3. 派遣社員が同一の部署で働ける期間を最長3年とする「新ルール」が発動
本年1月のブログにおいて、4月からスタートする〈無期転換ルール〉と10月の改正労働者遣派法の〈3年ルール・・・同じ職場で派遣社員が働ける期間を最長3年とする〉について概要を解説いたしました。
派遣労働者は18年4月~6月平均136万人おり非正規雇用者の6.5%を占めています。派遣労働者が3年の有期期限を迎えるにあたり、① 派遣先企業おいて直接雇用されるか? ② 派遣会社において無期雇用されるか? されれば引き続き同じ仕事に従事できますが、人手不足が続くなかで人材派遣を求める企業は多く、人材派遣各社は経験豊富な人材を新たに無期雇用に切り替え契約した人材の派遣サービスを拡大しています。ただ一方、派遣切りに遭うケースもあって、全てが良い方向に向かっているとも言えません。
「働き方改革」「健康経営」「人生100年時代」などの用語がアドバルーンとして打ち上げられて、職場環境は良い方向に向かっています。しかし、まだまだ“パワハラ”“いじめ”
のニュースもマスコミで取り上げられており、好景気の持続と生活の安定・向上を期待しましょう!!

                     FPみらい ブログ 平成30年10月
社会保険労務士・健康経営アドバイザー・行政書士・AFP  若林富雄