~水災に備える~

 

記録的な暑さが続いた今夏、大雨による被害のニュースを多く目にしました。被災された方々には心からお見舞い申し上げます。

私が住んでいる海老名市は?と調べてみると、「土砂災害」「洪水」「内水1」と大きく3種類のハザードマップがありました。中でも、相模川洪水ハザードマップでは、広い範囲が、《浸水した場合に予想される水深
0.5M3.0M未満の区域》であり、《同3.0M5.0M未満の区域》も点在している事がわかりました。これは《おおむね1000年に一回程度起こる大雨で相模川流域48時間567㎜の降雨》を想定最大規模として作成されていますが、先の7月西日本豪雨では、これまでに経験したことのない大雨が現実のものとなっていました。

1内水とは、洪水の“河川の氾濫又は堤防の決壊により発生する浸水”に対し〝排水施設の能力不足や河川の水位上昇によって、雨水が排水しきれずに発生する浸水“です。

平成30 7 月豪雨について

前線や湿った空気の影響で、6月28日~7月8日(9時)までの総降水量が四国地方で1800ミリ、東海地方で1200ミリ、九州北部地方で900ミリ、近畿地方で600ミリ、中国地方で500ミリを超えるところがあるなど、7 月の月降水量平年値の2~4倍となる大雨となったところがあった。また、九州北部、四国、中国、近畿、東海地方の多くで24、48、72時間降水量の値が観測史上第1位となるなど、これまでの観測記録を更新する大雨となった。

気象庁 平成307月豪雨について より引用

https://www.jma.go.jp/jma/press/1807/09b/20180709_sankou.pdf

 続いて8月には、24年ぶりに9個の台風が発生しました。9月は台風シーズン、そこで水災の備えについて考えてみたいと思います。まず現状を調べてみましょう。

  

 

わが町は大丈夫?  ハザードマップを確認する

国土交通省のホームページで、日本各地の災害種別毎のハザードマップが閲覧できます。自宅のある地域のほか、自分や家族の通勤通学路周辺の状況も合わせて確認しておきたいですね。

国土交通省ハザードマップポータルサイト https://disaportal.gsi.go.jp/

また、位置情報を利用して、現在自分がいる場所の「危険度分布」(土砂災害、浸水害、洪水、雨の様子)をスマートフォン等でリアルタイムに把握できるようになりました。

気象庁ホームページ https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/flood.html

 

 

万が一のときの公的な支援は?  さまざまな支援制度があります

万が一、大規模な災害の被災者となってその後の生活再建に向けて歩み出すとき、精神的にも経済的にも苦しい現実と直面することになります。公的な支援を知っておく事で、初めの1歩、の原動力になるかもしれません。

被災者生活再建支援制度】《給付》

この制度は、自然災害により居住する住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に被災者生活再建支援金を支給し、生活の再建を支援するものです。

①基礎支援金(住宅の被害程度に応じて支給する支援金) 

住宅の損害程度

全壊

解体

長期避難

大規模半壊

支給額

100万円

100万円

100万円

50万円

②加算支援金(住宅の再建方法に応じて支給する支援金)

住宅の再建方法

建築・購入

補修

賃借(公的住宅以外)

支給額

200万円

100万円

50万円

支給額は、①②の合計額です。(単身世帯の場合は、各該当欄の金額がそれぞれ3/4となります)

例:住宅が全壊し建築する場合、300万円の支給                       

災害弔慰金】《給付》

生活維持者が死亡した場合

500万円

その他の者が死亡した場合

250万円

 

災害援護資金】《貸付(融資)》

受給者

災害救助法が適用された災害により負傷、または住居、家財に被害を受けた者

貸付限度額

350万円(所得制限あり)

利率・償還期間

3% 10年(据置期間3年(特別の場合5年)を含む)

各表は内閣府ホームページを基に筆者作成(URL3行下に記載)

その他、金融機関からの借入が困難な低所得者への緊急小口資金の無利子融資や、学用品の現物支給、学費の減免制度、被災住宅の住宅ローン控除、健康保険・介護保険の保険料等の減免・納付猶予の措置等もあります。制度により、対象となる災害規模や、対象者の要件が異なります。

詳しくは内閣府ホームページへ http://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/index.html

税金についても特別措置があります

災害により、住宅や家財などに損害を受けた場合、確定申告で所得税法に定める雑損控除の方法と、災害減免法に定める税金の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことで、所得税及び復興特別所得税の全部または一部を軽減できます。

詳しくは国税庁ホームページへhttps://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/saigai/8004.htm

ところで 床上浸水は何保険で補償される

 台風や大雨によるもの3「水災補償あり」の火災保険で補償されます。

3同じ床上浸水の場合でも地震による津波が原因の場合は「地震保険」で補償されますので

別途、地震保険の契約が必要です

 

○×保険会社の火災保険契約プラン

保険金が支払われる対象

Aプラン

Bプラン

Cプラン

火災・落雷・爆発

風災・雹(ひょう)災・雪災〈例:台風で屋根が壊れ建物や家財が損害を受けた〉

水災〈例:台風よる洪水や土砂崩れにより床上浸水し建物や家財が損害を受けた〉

台風・暴風雨・豪雨等による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れ・落石等で建物や家財の評価額30%以上の損害、または床上浸水もしくは地盤面より45cmを超える浸水で損害が生じた場合

×

物体の落下・飛来・衝突等、漏水等による水濡れ、盗難…等

×

保険金が支払われる対象や区分は保険(共済)会社により異なる場合があります。表は代表的な例として筆者作成

現在、水災については、補償の有無を選択するタイプが主流です。水災補償ありのタイプはその分保険料が高くなりますので、マンションの高層階など住まいの状況やハザードマップを参考に、我が家にとって必要な補償を選択しましょう。

また旧地名の由来2も手掛かりになるといわれます。気になる方は地元の図書館で古い地形図や郷土資料の閲覧も一方法です。

2:水に関する文字や「蛇」「竜」「龍」などが使われている地名は過去に災害の被害があった場所と考えられています。ただし、その後の開発や水利工事などでリスクが大幅に低減されている場所もあります。

 

ここがチェックポイント♪

保険の内容確認や加入を検討するときに、留意したいポイントです。

◆住宅購入時に加入した長期契約保険について

住宅購入や住宅ローン設定時に加入した長期契約(住宅金融公庫特約火災保険他)が、そのまま今日に至っていませんか。建物のみで家財の補償のないもの、また、古くは水災保障のない保険もあります。

◆「再取得価額」で保障される保険(共済)が安心

再取得価額とは、損害を受けた建物や家財と同等の物を新たに建築、購入するために必要となる金額です。一方、「時価額」は、「再取得価額」から経過年数や使用による損耗を差し引いた金額です。「時価額」に「価額協定保険特約」を付帯して、保険価額を再取得価額と同額に設定できるタイプもあります。

◆火災保険は焼け太り禁止

火災保険は建物の評価額を上回る保険金額を設定する事はできません。仮に設定しても、建物が全損した場合の保険金は評価額が上限となり、結果として多く支払った保険料が無駄になってしまいます。

◆火災保険は、建物と家財にそれぞれ保険金額を設定できます

建物と家財と別々の保険(共済)会社で契約することも可能です。賃貸住宅にお住まいの方も、家財のみ加入する事で補償を得られます。

◆水災による車の被害は

自動車保険の「車両補償」が対象となります。

おわりに

91日は防災の日。災害など不測の出費に備えて、月の生活費の3ヶ月~6ヶ月分の資金を準備しておくと良いといわれます。家族との連絡方法や避難場所の確認、非常持出袋のチェック、住まいの保守・点検等と共に、災害による経済的リスクについても、意識しておきたいですね。

 

20189月 AFP 依田いずみ