コロナ(2020年)以降の暮らしの変化

~ 山田昌弘著 「新型格差社会」を読んで ~

早いもので、マスク生活も3年目となりました。

この間、私たちの生活は様変わりをしました。

①リモートワークで家にいる時間が増えることによって夫婦関係がうまくいかなくなったり②コロナに影響を受ける職種で収入がダウンしたり③そもそも出歩くことに規制がかかり出会いが減って婚姻数が減少④コロナ禍の出産リスクから出生数減少など・・・。

今回山田氏の「新型格差社会」を読んで、FPとしても納得する部分がありましたので共有したいと思います。

 

日本の年金制度はご存じの通り昭和の「働く夫」「家事で支える妻」「23人の子ども」がモデルケースとなっており、3号被保険者、遺族年金など「家族を持った人」に手厚くできています。

現在ではこの「モデルケースの家族」は崩れています。「自分の年金は自分で守る」必要からパート勤めも厚生年金加入になるケースが増えていきますし、確定拠出年金もほとんどの人が加入していく世の中になっていくのではないかと思われます。

この崩れは1990年に、1989年の※合計特殊出生率が1.57と判明した時顕著となりました。夫一人の収入では、妻子を養いながら中流生活を送れないと判明したのです。

その結果共働きが加速し、「若者の14は生涯未婚」、そして「結婚した人の13は一度は離婚する」という現実となりました。

※合計特殊出生率:1549歳までの女子の年齢別出生率を合計したもので、1人の女子が仮にその年次の年齢別出生率で一生の間に生むとしたときの子どもの数に相当する

 

みなさんの家族や周りでもこの数字は納得ではないでしょうか?

ここでは様変わりした①~④を具体的に見ていきたいと思います。

 

①夫婦関係が可視化される

令和になってからのコロナ禍では「主に夫の収入で中流生活を維持する」という戦後型家族が限界点にきています。

かつては、夫は稼いで家族の生活を支えることが妻への愛情、妻は家事をしてあげることが夫への愛情ということで「愛情の役割分業」ができていて、双方にメリットがある限り関係は継続。特に高齢になればなるほど夫の死亡後の「遺族年金」がちらつき、離婚できずにいる夫婦がかなりいるようです。

しかし、平成に入り共働きが増え、さらにコロナ禍では夫婦が一緒にいる時間が長くなり、人間同士のリアルなコミュニケーションを基にした夫婦関係が求められるようになりました。

家庭内に居場所のない夫にとって女性とコミュニケーションができる貴重な場「キャバクラ」や「スナック」が利用できないことや友達とランチをしながら夫の悪口を言うのが息抜きになっていた妻も辛い。イライラがDVや離婚の引き金にもなるようです。

 

②収入ダウン

夫がサラリーマンをして安定した雇用についている家庭でも、ギリギリの水準で生活を続けている世帯は少なくありません。40代の夫が残業代合わせて手取り30万円、住宅ローン10万円、残りの20万円で4人家族が生活。年2回のボーナスを利用して車のローンを払い、中学生の子どもの塾代は妻のパートで得たお金を充てる。

・・・この家庭がコロナ禍で夫の収入が減ったら、一気に隠れ貧困世帯から本当の貧困世帯になってしまう可能性もあります。

 

③婚姻数減少の原因

結婚を控えたカップルが、式場での感染を恐れて結婚の日取りを先延ばしにしたということもありましょう。それ以上にコロナ禍による経済的影響により、一方もしくは双方の収入が減少し、結婚後の経済的生活に関して見通しが立たなくなった。結婚に至る出会いが減少、婚活パーティ中止など。また、女性は男性に経済的条件を厳しく求める傾向が強くなりました。

 

④出生数の減少

コロナに感染する可能性がある。

十分な医療が受けられるか不安。里帰り出産や立ち会い出産が不可能。

子どもの養育費など将来の生活の見通しがつかない。

日本人の結婚数のうち25%(沖縄では40%)ができちゃった結婚である。そのため、コロナによる移動の制限で出会いの機会が減ったことで妊娠を契機とする結婚も大幅に減る。

 

個人的には、上記太字部分が衝撃的でした。

家計相談でも②は頷けるものでした。

そして、これからの夫婦は本当の愛情がなければ続かなそうです。

 

佐藤が所属している団体で、8/27に山田氏をお迎えしてzoom講演会を企画しています。

ご興味のある方は、FPみらいHP「その他問い合わせ」で佐藤までご連絡下さい。

CFP  佐藤 広子