若者向けの「後払い決済」について

 今月3/8の読売新聞朝刊にPaidy杉江陸社長の記事がありました。 伊藤忠商事などが出資するPaidy(ペイディー、東京・港)は、消費者にインターネット通販の後払い決済サービスを提供しており、クレジットカードがなくても、人口知能(AI)が個人の信用度を確かめた上で、立て替える仕組みだそうです。杉江陸社長は女性が衣料品などを買うニーズに手応えを感じていると話しています。

 私は信販会社に勤めているので、この記事がとても気になりました。 20歳前後の若者が、ゲーム専用のPCを分割払いで購入しているのをよく目にするからです。学生でアルバイトもせず、返済要の奨学金を借りて生活しているのに、20万円以上のPCを分割24回払いなどで購入するのは妥当でしょうか?

 ZOZOTOWNが2017年3月に「つけ払い」が始めましたが、流行に敏感な若者に「今、欲しい」と思う気持ちを優先させ、お金もないのにつけで買わせる方法は、ビジネスチャンスを逃したくない経営側を優先し、相手の将来を考えてくれていない気がします。どんなFPでもつけ払いの利用は反対するでしょう。

 今回のことも同様で、とても不安になります。 以下、ペイディーに関しての記事からです。

━ネット市場が広がり、決済にも様々な需要が出てきました。 「ペイディーは1万5000円以上の買い物について、年率15%の手数料を払えば分割で買える。楽天のフリーマーケットアプリのラクマ6、旅行予約サイトのエアトリの他アパレル通販のサイトなどで使える。導入ウェブサイトも、インナー通販EC「PEACH JOHN」 や東京ガールズコレクション公式通販サイト「SELECT STORE by TGC」、ソーシャルライブコマース「Live Shop!」、ニキビケア「プロアクティブ」など、若年層向けサービス中心。 カードを持たなくても、いま欲しいモノをすぐ買えるサービスに需要はあり、2014年10月のサービス開始以降女性を中心に伸びて、アカウント数は200万を超えた」

━決済の仕組みにAIを使っています。 「サイトの商品購入画面で、メールアドレスと携帯番号を入れると、携帯のショートメッセージに本人確認のための認証コードが送られてくる。コードを画面に入力すれば、AIエンジンが本人の信用度合いを計算する。1秒あれば決済が確定する。利用者はペイディーの専用サイトで銀行口座を登録しておく。ファミリーマートなどコンビニでも支払える

   ━貸し倒れのリスクをどう抑えているのでしょうか・。 「初回の利用限度額は数万円。代金をちゃんと払うと限度額が上がっていく。購入額が限度を超えているとAIが判断した場合は、受け付けを拒否する。支払の期限を守らなかった利用者は評価を落とし、限度額が下がる。貸し倒れは案件数でみて1%程度」 。    

 ━導入企業にとってクレジットカードと比べた利点は。 「事前の会員登録が必要ないため、消費者の取りこぼしが少ない。固定費がかからないため中小規規模の事業者も導入しやすい。ペイディーはサイト運営会社から数%の手数料を得ている。 6月までに店舗での買い物を対象にサービスを始める計画で、2020年までにアカウント数を1100万件にしたい。将来はアジアに展開したい。 ペイディーのエンドユーザーは、20代未満を中心とするクレジットカードヒストリーのない方々が中心で、その方々にクレジットカードライクなサービスを提供していきたいと考えている。アンダーバンクト(underbanked)という言葉があるが、年齢などの理由から十分な金融サービスを受けられていない人が、世界的には50%にのぼるとの調査結果もあるので、そういった方々に本来受けられるべきさまざまな金融サービスを提供したいというところまで視野に入れている」

 私はこの記事を読んで、とても怖く感じました。お金について十分に教育を受けていない若者や自分のお子様などに、機会があったらお話しして下さい。    

CFP 佐藤広子