今回の火災保険改定のポイント

毎年10月に、暮らしや働き方に関する仕組みが変わっていますが、今年も食料品の値上げや厚生年金保険料率の引き上げ、最低賃金の引き上げ等がありました。中でも大きな話題になったのは、やはりマイナンバー制度と火災保険の改定ではないでしょうか。ということで、今回はその火災保険の改定についてお話ししてみたいと思います。今回の改定内容のポイントは2点です。

  1. 参考純率の改定…住宅総合保険の参考純率を平均3.5%引き上げ
  2. 火災保険の参考純率は保険期間10年までの契約に適用  

改定の背景としては、自然災害の増加、及び冬季の凍結や老朽化などで水道管等に生じた水濡れ損害による保険金支払が近年増加していること。また近年の地球温暖化研究の成果によると、自然災害の将来予測に不確実な要素が増していることが明らかになってきており、火災保険においても長期のリスク評価が難しくなってきたことなどがあります。

結果として、従来住宅ローンの期間に合わせて最長36年の保険期間を設定することが可能でしたが、10月以降の契約より最長10年までとなりました。そこで9月までに、駆け込みで火災保険の見直し契約をされた方も多かったみたいですね。私のところでも数件ご相談の対応をさせて頂きました。

ところで既に10月に入ってしまったので、もはや見直しても無駄かと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな事はありません。何故かというと、今回の改定は火災保険だけで、地震保険は含まれていないからです。地震保険は既に昨年7月に改定済み(平均15.5%の引上げ)ですが、2017年1月から3段階に分けて、またもや改定が予定されています。

ちなみに予定されている改定の内容は、以下の通りです。

(1)基準料率の改定
全国平均で+5.1%の引上げとなります。改定率は都道府県・建物の構造    区分別に異なり、最大引上げ率は+14.7%、最大引下げ率は-15.3%とな    ります。 

(2)損害区分の細分化
地震保険の損害区分を定めている「地震保険に関する法律施行令」の改    正(2017年1月1日実施)により、現行の損害区分(全損・半損・一部損の3区分)の「半損」が2分割され、損害区分は4区分(全損・大半損・小半損・一部損)となります。今回届出された基準料率は、この損害区分の細分化が織り込まれたものとなっています。

既契約の内容にもよりますが、地震保険は最長で5年間の契約を結べるので、2016年末迄に更改(見直し)をすれば、5年間は現状の地震保険料で加入出来ることになりますし、地震保険に加入されてない方でも短期間(1年契約等)で火災保険に加入されている方は、長期契約(最長10年)にすることでまだまだ保険料の節減が可能です。

私が相談を受けた、都内の一戸建てにお住いのS様の事例ですが、

[築7年の木造住宅(新価評価額2,540万円)]

A保険会社:1年契約保険料     45,230円(建物のみ・地震なし)

B保険会社:10年長期一括契約保険料323,940円(建物のみ・地震なし)

今後10年間保険料改定が無かったとして計算すると、A社の1年更新の契約を10年継続した場合の合計保険料は452,300円ですから、B社の長期契約に切替えた場合との差額は、

452,300円-323,940円=128,360円となり、

 約28%の節減となりました。

過去の改定経緯から見ても、今後10年間改定(引上げ)が無いとは考えにくいので、節減幅はさらに大きくなるかもしれませんね。

実際の保険料算出に関しては、建物の所在地・構造によっても違ってきますし、今回は補償内容はほぼ同等(若干の特約の違い有)ですが、保険会社も替っていますので、この様な結果が出ましたが、全く同条件でも保険契約期間を長期(1年→10年)にするだけで、18%は節減出来ますので十分検討する必要があるのではないでしょうか。

自分だけでは難しそうと思われる方は、どうぞファイナンシャル・プランナー他専門家へご相談を!

FPみらい 理事 小野 宏治