「還暦を迎えた高校同窓生の相続のはなし」

先日、地元の高校の同級生で呑み会に出席しました。

本厚木の居酒屋でしたが、殆ど昔の古い話ばかりでした。
担任の先生のはなし、早逝した同級生のはなし、病気のはなし、年金のはなし、
今後の人生のはなし等々・・・

仕事の話になって、自分からは相続のはなしをしてみました。するとやはり出ました、

「うちは財産が少ないから争いなんて関係ないね」

という言葉。半数のものが語気を強めて言いました。

多少の照れや謙遜もあるでしょうが、相続というと必ずこの言葉が出ます。
普通、相続でもめて困っているなんて、人前ではなかなか言えませんね。
家の恥だという意識もあるでしょう。

しかし、現実にあるのです。すべての家がそうだなんて言いませんが、争いは絶対にないという
思い込みは誰にでもあります。思い込みが強いというのは、その人が幸せということ
なのでしょうが、周りも人が同じように思っているとは限りません。自分だけが安心している
のではと考えてみたらどうでしょうか。

家族は家族でも、歩んできた道はそれぞれ違います。そんな当たり前のことに気が付きません。
この様な時に便利でお奨めすするのが、エンディングノートです。

ツールですが、近頃本屋等でよく見かけます。よくまとまって、気の利いたものも出ています。
還暦ではまだ早いと思う人がいるかもしれません。ただ、最後を迎えるかどうかは別として、想いや、
願い、身の周りの物理的、精神的、気持ち的な整理・整頓・見直しをし、それらを書き留めると、
周辺の家族たちが何を考えているかとか、他の人の考えに立ち至ることができたりする
こともあります。

残念ながら、同級生ですとお互いになかなか聞く耳を持ちません。呑み会の場ですし、
それ以上は反論せず、グラスの焼酎をぐいと飲み干しました。

(萩原 和雄)