自営業・フリーランスの方へ。拡がる「子育て支援」制度 ~「社会保険料免除申請」を忘れずに!~

 昨今、深刻な少子化を背景に子育て・次世代育成支援の制度が拡充されています。出産・育児の際、会社員や公務員には手厚いサポートがあります。加入している健康保険や共済組合から「出産手当金」や「出産育児一時金」が、さらに休業中には、会社員なら雇用保険から、公務員なら 共済組合から「育児休業手当金(給付金)」が支給されます。一方、自営業やフリーランスの方々には、国民健康保険から支給される「出産育児一時金」のみとなります。収入が減少し支出が増えるのに給付金は少なく、会社員や公務員と比較して、公的支援は十分とは言えません。自営業 やフリーランス等の方々にとって働き方と子育ての両立に不安を感じてきた方も多いのではないでしょうか。しかし順次、支援制度が拡大されつつあります。 今回は、自営業・フリーランスの方々が絶対に知っておくべき、支援制度のポイントをお伝えします。

育児期間中の「国民年金保険料免除」制度が2026年10月開始されます!

≪国民年金保険料≫

~産前産後時の免除制度~

➢2019 年4月から「国民年金第1号被保険者」が出産する場合、一定の期間の保険料が免除さ れる制度が始まりました。
・単胎妊娠の場合、出産予定日(または出産日)が属する月の前月から4ヶ月間
・多胎妊娠の場合、出産予定日(または出産日)が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間
➢この制度は、2019年2月1日以降に出産した方が対象です。単胎妊娠の方で2019年2月が 出産(予定)月だった場合、2019年4月分の保険料が免除されます。2019年3月以前の保険料は、 免除されません。

➢保険料が免除されるには、ご自身で市区町村に届出を行う必要があります。届出は、出産予定 日の6か月前から届出を行うことができます。 (提出時の必要書類は、最後に載せた資料をご参考ください。

~育児期間の免除制度~

➢2026年10月からは拡充改正され、これまでの「産前産後」に加えて、お子様が1歳になるま での「育児期間」についても国民年金保険料が免除されます。対象は「国民年金第1号被保険者」 で、父母どちらも免除の対象となります。
・母(実母)の場合 産前産後免除の期間に続き、子どもが1歳になるまで免除期間が延長されます。
・父(実父)や養子を養育する父母の場合 出生日(または養子縁組日)から子どもが1歳になるまで、最大12か月間が免除対象と なります。

出典 (厚労省 国民金第1号被保険者の育児期間における保険料免除措置について

~免除制度のポイント~
➢将来の年金が減らない

・免除された期間も「保険料を全額納付したもの」として扱われ、将来の年金額に反映されます。
すでに免除・納付猶予・学生納付特例が承認されている場合でも、この制度の対象期間は納付済みとして扱われます。
➢休業していなくても対象
・会社員の育児休業とは異なり、仕事を続けていても対象になります。所得制限や休業の条件はなく、実際に休む必要もありません。
➢付加保険料は納付可能
・保険料が免除されている期間でも、「付加保険料」は納めることができ、将来の年金を上乗せできます。※免除手続きの際に申出が必要です。

➢前納分は還付される
・すでに前納している場合、免除対象期間分は後日還付されます。
➢経済的な負担軽減効果
・令和8年度の国民年金保険料は月額17,920円です。夫婦ともに第1号被保険者の場合、月額
で約36,000円、年間で約43万円の負担軽減となります。
国民健康保険料の「産前産後期間の軽減」
≪国民健康保険料≫

➢2024年1月から「国民健康保険の加入者」が出産する場合、一定期間の保険料が軽減される制度が始まりました。
・単胎妊娠の場合、出産予定日(または出産日)が属する月の前月から4ヶ月間
・多胎妊娠の場合、出産予定日(または出産日)が属する月の3ヶ月前から6ヶ月間)
この期間は、国民年金保険料の産前産後免除期間と同じです。
➢この制度は、2023年11月1日以降に出産した方が対象になります。単胎妊娠の方で2023年11 月が出産(予定)月だった場合、2024年1月分の保険料が減額されます。2023年12月以前の保険料は軽減されません。

~軽減制度のポイント~
➢ 保険料が「全額軽減」とは限らない
・軽減の対象は「所得割」と「均等割」の部分です。そのため、「平等割」や「資産割」がある自治体では、保険料が一部残る場合があります。また、すでに保険料の上限額に達している場合は、金額が変わらないこともあります。
※納付通知書を確認し、必要な分は納付してください。払い過ぎた場合は後日還付されます。
➢ 原則として申請が必要
・自治体によっては、出産一時金の手続きと連動して自動的に軽減される場合
もありますが、基本的には申請が必要です。出産予定日の6か月前から申請できます。
➢ 年度をまたぐ場合の取り扱い
・対象期間が年度をまたぐ場合は、それぞれの年度の保険料から減額されます。

国民年金保険料の免除・国民健康保険料の軽減制度は、「ご自身で申請」が原則!
・自営業やフリーランスの方々を対象とした出産・育児に関する社会保険料の免除・軽減制度についてご紹介しました。会社員の場合は、勤務先が手続きを行うことが多いですが、自営業やフリーランスの方は、ご自身で申請しないと制度は適用されません。
手続きをしないままにしてしまうのは、非常にもったいないことです。また、自治体ごとに独自の支援制度が用意されている場合もあります。お住まいの自治体のホームページを確認したり、 窓口に相談することで、利用できる制度を見逃さないようにしましょう。
出産から育児の時期は、生活環境が大きく変わり、出費も増えやすい時期です。利用できる制度はしっかり活用し、家計の負担軽減につなげていきましょう。

2026 年4月 CFP石黒貴子

【参考資料】 日本年金機構ホームページ 産前産後期間の保険料免除制度